株式投資は社会のインフラ作り

株式投資の意義は、値上り益や配当を得たり、株主優待を受けたりすることだけではありません。皆さんのお金が、株式投資を通じて世の中の役に立っていきます。日本企業のサポーター(株主)となり、日本社会のインフラ作りにつながっています。株式投資によって自分の選んだ企業に資金提供をすることで、社会に積極的に関わりをもっていきます。

例えば、朝起きて、歯を磨き、テレビを見て、鉄道に乗って勤務先に行く。あるいは日常の暮らしの中での生活用品や食料品、医薬品、休日にはレジャーと、身の回りには商品やサービスがたくさんあります。これらは多くの企業により提供され、私たちの生活が恩恵を受けています。特に上場会社の場合は、事業規模も大きく、社会のインフラ作りに大きな役割を果たしています。

「配当金」は、企業収益を株主と企業とで分かち合うもの
企業は、収益を上げるとその利益の一部(平均して30%程度)を配当金として投資家に分配しています。この結果、東証1部上場企業の平均配当利回り(配当金/株式買付け代金)は、現在約2%(100万円の投資に対して年2万円の配当)となっています。また、年々企業の収益が増加すると、さらに配当金が増え、株価が上昇していきます。

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株式投資の「こわい、わからない」からの脱皮

株式投資の本を読むと、ほとんどの本にチャートや決算書が出てきます。株式市場にはさまざまな銘柄があり、中には急騰銘柄、テーマ株式、新興市場銘柄など、株価変動が大きくなるものがあります。このため、株式チャートを学ぶべきとの考え方です。また、業績が悪化する企業の見極めなど、企業業績の変化を分析して投資の判断をするためには、決算書を基礎から学ぶ必要が出てきます。

しかし、株式投資の初心者にとって、株価変動はこわく、またチャートや決算書を学ぶのは難しいものです。こうしたことから、株式投資は「こわい、わからない」といった声があちこちから聞こえてきます。

このようなチャートや決算書の学習は、海で泳ぐための練習に似ています。海では危険がたくさんあります。例えば、荒波にもまれたり、深みで足をすくわれたりします。このため、海で泳ぐためには相応に注意や訓練などが必要となります。

一方、プールでの泳ぎは違います。海のようなリスクはありません。プールでは、水に慣れて体が浮けば、すこしずつでも前に進むことができます。株式投資もそれと同じです。株価変動の大きな銘柄(急騰銘柄、テーマ株等)を避け、堅実な企業に投資をすれば、初心者でも株式投資に近づくことができます。

初心者は、堅実企業「安定成長企業」に投資しましょう

上場企業は全部で約3,700社あります。この中から初心者向けの堅実な投資対象企業を探してみましょう。

まず「JPX日経400」に注目しましょう。JPX日経400は、国際基準に基づき収益性などから選定された日本を代表する企業で構成されています。その400社の中から自分で理解できる「安定成長企業」を選んで投資をしましょう。JPX日経400の中には、安定成長企業がたくさんあります。

初心者のための堅実な銘柄選び

JPX日経400とは
JPX日経400は、日本証券取引所グループと日本経済新聞社が2014年から公表している、投資者にとって魅力の高い企業から構成される株価指数です。従来の指数の算定基礎となる企業は、売買高や時価総額といったサイズで機械的に選定していました。それに対してJPX日経400は、資本の効率的活用(ROE)や営業利益などを考慮の上、企業の質の内容が評価されたグローバルな投資基準で選定された企業で構成されています。

安定成長企業の3つの要素

安定成長企業とは、安定して成長する企業で3つの要素「安定性(つぶれない)、収益性(利益がでている)、成長性(会社が大きくなる)」からなります。業績がおおむね順調に成長している企業を選び、今後の業務の方向性を検討するものです。

このため、決算書を基礎から学ぶ必要はありません。また、チャートの図形を学ぶ必要もありません。買う時は安値「安値圏」で買いましょう。安値圏は電卓で算出します。

安定成長企業のイメージ

投資の基礎を学びましょう

何かを始める時は、基礎を学びます。例えば、車の運転では、まず学科を学びます。次に実技です。教習所内で、隣に教官がいて横で指導してくれます。仮免でようやく路上運転です。免許をとって1年間は、若葉マークのワッペンをつけての運転です。まずは自分の知っている慣れた道を運転します。するとリスクも少なく、安心です。

株式投資も同じです。まず基礎を学び、少額の堅実投資をから始めましょう。安定成長企業投資を行う場合には、チャートや決算書など難しいことは学びません。このため、株式投資の知識が全くなくても、比較的短期間で学ぶことができます。

堅実投資の基礎を学び、自分の理解できる1つの企業を1年間フォローして(月1回の株価などのチェック)、得意銘柄を作ります。良い株式はずっと持っていましょう。慣れてきたら金額を増やし、さらに別の得意銘柄を作りましょう。

金融リテラシー(知識とスキル)を身につけましょう

投資の勉強をしてから実際に投資をしても損をすることがあります。しかし、その損失から学ぶことにより、金融リテラシーが身に付きます。投資には経験が必要です。

何も勉強せずに人から言われた銘柄を買うのは、ギャンブルと言われても仕方がありません。まずは1株で構いません。年月が経過するとリスク感覚が磨かれてきます。リスクに対する免疫力をつけましょう。株式は、1回の外食分の資金(数千円)で1株から買えます。この投資リスクは授業料とみたらいかがでしょう。

資産形成のシミュレーション

株式投資による資産形成のシミュレーションをしてみましょう。例えば、月1万円の積み立て投資を10年間続けた場合、想定運用利回り2%では最終積立金額は133万円、同様に4%では147万円です。30年間続けた場合、想定運用利回り2%では493万円(内、運用収益133万円)、同様に4%では694万円(内、運用収益334万円)となっており、長期投資では運用収益の額が大きな比率を占めています。

シミュレーションの要件
・毎月1万円分の株式投資を行う
・運用利回りは年2%と4%で試算
 考え方:2%(東証1部株式の平均配当利回り)、または4%(配当利回り2%+値上り益2%)
 (各年の収益は、翌年の元本とする複利計算とする)
・運用期間は、10年、20年、30年とする

想定運用利回り 年率2%
運用期間 10年 20年 30年
最終積立金額 133万円
(13万円)
295万円
(55万円)
493万円
(133万円)

想定運用利回り 年率4%
運用期間 10年 20年 30年
最終積立金額 147万円
(27万円)
367万円
(127万円)
694万円
(334万円)

・(  )内数値は、最終積立金額の内、運用収益の金額です。
・投資にはリスク(価格変動など)があります。このため、運用収益がマイナスになることがあります。
・資産運用のシミュレーションは、金融庁のNISA特設サイト内「資産運用シミュレーション」を試みてください。「毎月の積立金額、想定利回り(年率)、積立期間」を変えて、様々に算出できます。

株式貯蓄のすすめ

株主になると、いままでの預貯金とは全く異なる世界が見えてきます。企業や企業を取り巻く環境、ニュースなどさまざまなものに関心を持つようになります。

安定成長企業への投資で、株式を貯蓄の感覚で資産を増やしませんか。今の預金金利では、お金を寝かせているのと同じです。貯蓄とは、財産を蓄え増やしていく行為です。金融リテラシーが身についてくると心のよりどころが増えていきます。

投資は人生の選択技を増やす手段です。人生100年時代にむけて新たなライフスタイルを作っていきましょう。

長い間お読みいただき、ありがとうございました。

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