NYダウの銘柄を採用する基準は「現代の産業をけん引する企業」

NYダウはダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)と言い、元々は、ニューヨーク証券取引所に上場していた鉄道系の銘柄で構成されていたようです。

しかし、現在のNYダウに採用されている銘柄には、例えば、日本でもお馴染みのマクドナルドがありますが、マクドナルドは外食産業であって、さすがに工業株とは言えないですよね。ニューヨーク証券取引所には上場していますが。

それから、アップルやマイクロソフトも、NYダウに採用された銘柄ですが、コンピュータやソフトウェアの企業で、やはり工業株には該当しませんし、そもそも上場しているのはニューヨーク証券取引所ではなく、ナスダックという別の株式市場です。

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どういうことなのでしょうか?

NYダウは、当初こそ、先ほど申し上げた通り、工業株のみを30銘柄、選んでいたようです。
しかし現在では、工業株はむしろ少なくなっている印象です。

NYダウの銘柄一覧(CNBC、英語サイト)

NYダウは、時代に合わせて入れ替えが行われています。採用する銘柄を選ぶ基準は、収益性や成長性に優れ、また財務的基盤も磐石な、現代の産業をけん引する世界のリーディングカンパニーです。

ちなみに、NYダウに採用されるような優良銘柄のことを「ブルーチップ銘柄」とも言うそうです。語源は定かではないようですが、ブルーといえば、「競争相手が少ない未開拓の市場」を指す「ブルーオーシャン」もブルーですよね。

まるでアクティブファンドのようなNYダウ

日経平均とNYダウ、それぞれの銘柄を採用する基準が大きく違うことにお気づきいただけたと思いますが。
「NYダウって、まるで、アクティブファンドみたい」
と、思わず声にされた読者もいらっしゃるのでは?

ですよね。これにもし“運用哲学”が語られれば、NYダウはもう、アクティブファンドですよね。

まるでアクティブファンドのようなインデックスファンド、これがNYダウなのです。

前稿では、アクティブ運用を「肉食系」、インデックスファンドを「草食系」にたとえました。
このたとえに沿うならば、NYダウは「野菜を原料とした代替肉」、つまり本稿のタイトルにある「フェイクミート」といえます。NYダウ(に連動するインデックスファンド)は、インデックスファンドでありながらとても草食系とは言い難い、むしろ肉食系なのだと言いたくなります。

フェイクミート
「草食」だけど「肉食」な、まるでフェイクミートのようなNYダウ(のインデックスファンド)

ここで、いったん、まとめます

ニューヨーク株式市場とナスダックに上場している銘柄数を合わせると、東京証券取引所第一部のそれの2倍を超えます。NYダウは、その膨大な銘柄数の中から、厳選された30銘柄といえるのでないかと、筆者は思っています。

その一方で、上場している銘柄数はアメリカの株式市場と比べれば少ないのに、採用されている銘柄数が225銘柄と多いのが日経平均株価です。

高値更新のNYダウと、回復にとどまる日経平均の違いは、「厳選30社のNYダウ」と「流動性を重んじる225社の日経平均」という違いに落ち着くのではないでしょうか?

同じ株式のインデックスでありながら、流動性=価格の安定性を重視する「草食系」の日経平均に対して、成長性を重視して銘柄を厳選する「肉食系」のNYダウ。これが、「フェイクミートみたいなインデックスファンド」というべきNYダウの正体だと筆者は考えます。

ファンドを選ぶには?

本稿では、NYダウと日経平均のそれぞれが、どのような基準で銘柄が選ばれていたのかというお話でしたが、このお話は、もともと前稿で「ファンドを選ぶなら、アクティブファンドとインデックスファンドのどちら」というところから始まっています。
ここからは、他ならぬ、私たちの話です。

さて、読者の皆さま、アクティブファンドとインデックスファンド、選ぶとしたら、どちらでしょうか?
繰り返しますが、NYダウに連動する投資信託もインデックスファンドのひとつです。NYダウの銘柄を採用する基準を知った今、選ぶのなら、アクティブもインデックスも何もない、「やはりNYダウ」という結論になるのでしょうか?

早々と結論に至るも良し。しかし、もう少し、インデックスのお話をしていこうと思います。

(次回は12月7日を予定しています)

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