苦境を逆手にとってバネにするしなやかさが良い結果をもたらす

3代目の社長に就任して、15年が過ぎた惠子さんは、女性の事業承継の先駆者として、よく知られた存在になりました。
しかし、女性経営者として後にひけない踏ん張りを続け、そして時代に合わせて、家業に様々な変革をもたらしたこの15年に、さまざまな苦労や葛藤があったのは明らかです。

惠子さんの事業承継を誰もが手放しで歓迎してわけではなく、反発もあり、また辞めていった古株の社員もいました。
しかし、それが、かえって惠子さんを奮い立たせ、どんな苦境も乗り越えようといったバネになったといいます。

「どん底になったときこそ、メラメラとチャレンジしたくなって。社長になってすぐリーマン・ショック、そして東日本大震災、少し落ち着いたと思ったらコロナ禍。でもね。そういうときこそ新しい工場を建てたり、事業を拡張してきたんです」
と、惠子さんは、誰もが尻込みする時期に、果敢に勝負に出て、会社を発展させてきました

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会社の成長イメージ
誰もが尻込みする時期に、惠子さん果敢に勝負に出て、会社を発展させてきた

その潔さと、肝っ玉の据わったところは、天性であるし、広告代理店当時に培われれた先を読むチカラが良い相乗効果をもたらしているのかもしれません。

話題になった創業100年のポスターも、撮影までは「工場の作業を止めてまで何事か?」とブーイングの嵐だったそうです。
しかし、撮影が始まれば、頑固な古株の方々もノリノリに!
惠子さんの魔法に見事かかってしまい、社員がそれぞれ持ち前のキャラを発揮したポスターは、新聞などの紙面も賑わしました。

100周年記念ポスター制作秘話

すべては、コミュニケーションなんですね。思っていることをなんでも話し合える関係性の構築。だって、私一人じゃ何もできなし、全部手の内を見せながらやっていくしかないいんです」という惠子さんは、やがて4代目社長を継ぐことになる息子さんや、惠子さんのサポートをしてくれる娘さんにも、「いいときばかりがすべてではない」と会社経営の悩みや苦しいことも今からしっかり共有しているといいます。

「父の時代とは違うので。事業承継に役立つことは、みな可視化して言語化、数値化して次世代と共有していこうという考えです」

ここ最近、イケメンの工場男子は注目されて、写真集も売れています。
惠子さんの会社にも、素敵な工場男子が勢ぞろいしています。
女子のハートをわしづかみにするのは、見た目も大事ですが、仕事の中身と仕事にかける情熱の素晴らしさが要!
それは、男子だけに限らず、女子でも同じ。若者に限らず、熟年でも同じ

仕事にかける情熱
仕事にかける情熱が美しいのは、男子も女子も、若者も熟年も同じ

惠子さんの事業承継物語には、時代に合わせた変革だけでなく、代々にそして未来に引き継がれていくべき日本のものづくりの文化の継承がしっかりと根付いていることもわかりました。

コロナ禍のこの2年間は、定年を迎えたベテランの職人さんが若手に技術を教えるという教育にも時間をかけてきた惠子さんには、父親から知らず知らずのうちに受けついだ日本のものづくり業の矜持というものが感じられ、年齢を越え、性別を超え、未来という光にベクトルを向ける惠子さんのしなやかな経営者としての在り方に、筆者も大いに刺激をうけたのでした。

和久田惠子さんが代表取締役を務める株式会社ダイワ・エム・ティのHPはこちら

話題になった創業100年のポスターもHPのギャラリーで見られます!

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