テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第97回は、チベット体操でおなじみの脚本家、梶本惠美さん。

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ビフォー

梶本惠美さんの写真
梶本惠美
脚本家 チベット体操伝導師マスター
air era story LLC代表
日本放送作家協会会員

第16回創作テレビドラマ懸賞より作家デビューさせてもらったのは30代。
子ども2人、専業主婦だった。シナリオセンターまでママチャリで通う。
月謝&ベビーシッター代がかかる。最短距離で卒業しなくちゃ。
月に4本の作品をみてもらえて、課題は本科が20本。研修科で30本。上の子は公園で遊ばせ、下の子はベビーカーでグルグル廻って寝かしつけ、ベンチで書いていた。

とにかく、お金は余分に無い。結婚してから細々と貯めて来た虎の子の70万

ゼミ後は仲間と飲みに行く。資料は図書館で借りたりもしていたけど、いよいよわたしの本性が現れだした。70万は使い切った(夫には内緒)。子どもたちのお年玉を預かっていた分も使い切った。創作テレビドラマ1席入選して賞金は50万。先行投資した分にはちょっと足りなかったが、ま、その何年後かには無事、回収出来、プロへの道へと進む。

貯金するイメージ
専業主婦時代にシナリオセンターに通い、虎の子の貯金や子どものお年玉も使い切った

わたしの金銭感覚は丼&ザルだ。お金は貯まらない。貯めようとしたことがない

それはある意味、DNA?? 父は昭和5年生まれの九州男児。母は京女。父は映画制作畑だったが、新婚時代、自腹を切ってしまったのか? 東京まで兄(檀一雄)に借金をしに行き、その帰り道に全部使って来てしまったと、母から何度も聞かされた。

一方、母は堅実かつ、財テク型の良妻賢母。父の金遣いの荒いのを危惧して内職を始めた。京友禅の反物を描いて、当時父が2万の給料に対して、母は月20万は稼いでいた。父が女房が働くことを嫌う為、いつも父が寝てから夜中に仕事をしていた。父は母の財テクのおかげで家も持つことが出来たと思う。

明らかに私は父譲りの金銭感覚。プロになり、仕事がどんどん来るようになり、稼いでいたが……何も残らない。全部、使う人だった。金銭感覚は狂っていたと思う。当然、子どもたちにもそれは遺伝(?)する。

当時、有名なフリーアナウンサーM氏の息子がうちの息子と同学だった。ママ友となったMさんはうちの母に似て、質素、堅実、賢い妻、母だった。と、あろうことか、うちの子どもの方がこづかいも学校で使う食費も多い。携帯代も当然のように私は払ってやってたが、Mさんちの息子はちゃんとバイトして賄っていた。いや、あの頃はまずかった……。私自身が狂っていた。

ここまでが「チベット体操ビフォー」である。

40代半ばでチベット体操に出逢う。放送作家協会の方で「カジモト=チベット体操」をご存じの方はいらっしゃると思う。アジアドラマカンファレンスでは健康部門担当とかで、「さあ、みんなでチベット体操」をさせて頂いたこともある(これは吉村さんから指令を受けたからです)。

NHKの時代劇の打合せに出かけると、金子成人先生が出逢うなり「梶本さん、チベット体操を教えてくれる?」と言われる。打合せのあとの飲み会で、先生、監督、プロデューサーに伝授する、などなど。業界でも体操伝授。

ネットで検索すると「脚本家・梶本惠美」より、「チベット体操・梶本惠美」がヒットしてしまう。教室を開いたり、ワークショップしたり、本も2冊も出したし。脚本家よりそちらの活動が楽しくなっていた時期もあった。

tibet-taisou.com

さて、チベット体操を始めた

チベット体操のルーツはインドの古代ヨガ。身心エネルギーを整え、活性化する。本来の自分に成って行くツールである。で、本来の自分とズレていると、好転反応が起きて、軌道修正して行くのだ(身体に出る人、出来事に出る人)。

わたしはチベット体操を始めてみるみる若返り(若返りの秘儀とされてます)、中年太りしていたのが、デニムのサイズが30インチから26インチへ。と、いいことずくめ?……の体操だった。

が…ここで、思わぬことが起きる。

アフター

人生というのは本当に奇なるもの。我が梶本一族に大事件が起きた。

夫の実家が破産。保証人になっていたサラリーマンの夫は借金をかぶった。破産にたどり着くまでのドラマの中で、わたしは息子の大学の学費として残していたお金を「闇金」の支払いに振り込み、京都に飛び、父に明日、落ちるという残りの70万を振り込んでもらう。全部、捨て金である。でも、払わなくては債権者が押し寄せて来る。金策もつかず、どうしようもない中、最後は義父、義母を京都の山奥へ夜逃げさせた。

夜逃げするイメージ
夫の実家が破産し、どうしようもなくなり義父と義母を夜逃げさせた

3カ月ほど身を隠してもらい、大晦日の夜、川崎の我が家に2人はやって来た。当時、夫は大阪に単身赴任。わたしと子どもたちとの3人暮らし。玄関を開けて迎えた時、184cmほどあるはずの義父が2まわりほど小さく見えた。――ああ、この人たちはもう何処にも行くところがないんだ……。そう思うとわたしの中からはあたたかいものしか湧いてこず、手料理でもてなした。
それから、ジジババ、子どもたちとの暮らしが始まる。娘の部屋を両親の部屋に献上し、それでも和気あいあいと暮らせた。おこづかいはあげられない。大学の学費も払えない。学費はわたしの父に子どもたちがそれぞれ借用書を書いて借りた。

その頃、娘が私に言った。

「ママやお父さん、おじいちゃんおばあちゃんにとっては大変なことだったけど。わたしと圭(兄)にとってはよかったと思う。あのままだとわたしたち出来損なってた

そう、ビフォーで書いたように、わたしは子どもたちにかなり丼勘定でこづかいを渡して育てていた。金銭感覚の負の伝授をしていたのだ。

子どもたちは大学卒業後、それぞれがちゃんと私の父に借金を返した。偉いなと思う(お年玉を使い込むような母親ですから)。

さて、「チベット体操と金運」というテーマ。

チベット体操して実家が破産して……どこが金運上昇?

ところが。ここからなんです

夫は一度も愚痴をこぼすことなく(わたしもこぼしたことはない)、働いたサラリーはすべて保証人でかぶった借金返済へ。

わたしの方は?……。この事件が起きるまでは、わたしがシナリオライターをしていることについて、家族は「好きだからやってんでしょ」とか、母は「子どもたちがかわいそう」とか。とにかく誰からも賛成、サポートはなかった。だが、この「破産騒動」のおかげで、母なんか「あんた、もう殺しでも何でもいいからどんどん書きなさい」と言う。夫の両親からは「世界一の嫁」と称賛された。シナリオライターであることを大手を振って生きることが出来るようになったのだ。

さらに。借金を返しきった夫は、どんどん出世して行った。夜逃げして空き家になった梶本の実家は火事で燃えた。もう、なんか知らないけど、色々と因縁とか滞っていたものが全部、浄化されたのだろうか? 金運の巡りが好転し始めたのだ。

チベット体操をすると、自分の本道に戻って行く。ズレはおのずと修正される
そうすると、金運にしろ、仕事運にしろ、愛情運にしろ、全部よくなって行くのだ。
「運」というより、自分自身の流れがよくなれば、つながるところも、引き寄せるところもよくなって行く。
何より、わたしがチベット体操をお伝えし続けているのは、「健康」になるから
結局、健康が一番ですよね。他の何があったとしても……命あってのものだね。身体あっての「金運」でしょ?

合掌するポーズのイメージ
チベット体操をすると、金運や仕事運、愛情運もすべて好転していく

5年前に長野県の蓼科に家を建てました。丼&ザルの梶本がやっと持ち家を持ったのです。そこに仕事場を移して、八ヶ岳、南アルプス、白馬岳に囲まれて、美しい自然の中に暮らしています。「金運」というよりは「豊か」な暮らしをしています。畑もあり。空気は美味しい。ここでクリエイト出来る日々に感謝しつつ……。

チベット体操、みなさまにお勧めします。詳しくはホームページをご覧下さいませ。
みなさまの健康&金運上昇を祈って!

次回は滝本祥生さんへバトンタッチ!

是非、見てください!

NHK土曜ドラマ「ひきこもり先生・シ-ズン2」が12月17日、24日に前・後編として放送されます。

「ひきこもり先生・シ-ズン2」ポスター表紙

あと、2023年1月14日、愛知県知立市で舞台上演。
これは2013年「平和への祈り・朗読劇」として初演して以来再演し続けて来た作品です。コロナ前に現代能の演出家・笠井賢一先生との出逢いにより「芝居」に生まれ変わりました。来年は各地で再演の予定です。

「アンネ・フランク」ポスター表紙

あと、チベット体操に興味ある方はホ-ムペ-ジまで!
チベット体操~梶本恵美のビュ-ティエイジングライフ~

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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