蝮さん、峰さん、さんまさんから学んだこと

こうした豪快な金遣いのルーツはどこにあるのかと考えると、何人かのタレントさんの振る舞いが思い浮かぶ。まずは毒蝮三太夫さんだ。
新卒後、最初に就いたのは「TBSラジオ954キャスタードライバー」というラジオカーを運転しながら各地からリポートを入れる仕事だった。そのとき、週に1~2回、仕事をしていたのが毒蝮三太夫さん(以下、蝮さん)。キャスタードライバーが気軽に話しかけられる唯一のタレントさんでもあった。

私が子供の頃には、石井伊吉という名前で『ウルトラマン』(TBS系)の「アラシ隊員」としておなじみだった蝮さんは、『笑点』(日本テレビ系)の座布団運び中、「毒蝮三太夫」に。私たちキャスタードライバーは、蝮さんがメインの『ミュージックプレゼント』(TBSラジオ)という番組で中継のサポートをしていたのだ。

TBSがある赤坂は、昔も今も飲食店がたくさんある街だ。『ミュージックプレゼント』の中継後の帰り道、蝮さんは我々キャスタードライバーを色々な店に連れて行ってくれた。なかでもTBS会館(当時)の『ざくろ』と『Tops』には何度連れて行ってもらったかわからない。他にも、お寿司、お蕎麦、焼肉など、行きつけのお店が何軒もあり、私はキャスタードライバー在籍中の4年間で、お会計の作法や有名飲食店や有名料理人との距離感などを学ばせてもらった気がする。

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蝮さんからは、会計の作法や有名料理人との距離感などを学ばせてもらった

続いては峰竜太さんだ。峰さんがパーソナリティを務めるラジオ番組に出させてもらったり、峰さんが麻木久仁子さんとMCをしていた『ザ!情報ツウ』(日本テレビ系)の作家をしたりと、何かと御縁があったのだが、もっとも驚いたのは、その『~情報ツウ』がスタートする直前の記者会見のとき。

峰さんは、100人程は集まったであろう記者やスチールカメラマン全員分のお土産を自腹で用意したのである。立派な紙袋に日本酒(確か5合瓶)と『八竹』の茶巾寿司、あと、お饅頭か、どら焼きが入っていたと記憶する。
峰さんが当時所属していた「石原プロモーション」が、所属俳優の仕事先に尋常ではない数の「おはぎ」を差し入れたり、記者やリポーターを招く新年会で豪華すぎる景品が当たるクジを用意したりするのを御存知の方も多いだろう。

加えて、峰さんは、奥様が海老名美どりさんゆえ、「林家三平一門」の流儀もダブルで身についている。
その美どりさんも本当に気遣いの方で、贈り物の達人でもある。前述のラジオ番組に、美どりさん自らが出演者やスタッフ全員分のクリスマスプレゼントを抱えていらしたこともあれば、峰さんの豪邸を取材に行ったタレントに、ブランド品のバッグをポーンと渡すことも……。数年前、『1周回って知らない話』(同)で、こうした豪快な話を知らない世代の岡田結実ちゃんが実際、ブランド品のバッグをお土産に持たされ、目を丸くして驚いていたのを見た。確かに、いまの芸能界では、なかなか聞かない話である。

そして明石家さんまさんだ。今年も私は、さんまさんからお年玉をいただいた。『~から騒ぎ』を担当し始めてからずっとなので、もう30年近く、もらい続けている。『~御殿!!』のみならず、さんまさんは他のレギュラー番組のスタッフや共演者、さらに小さな子供さんがいるスタッフや共演者にも子供の人数分、お年玉をわたすそうだ。だから時々、子供の人数を多めに申告するスタッフがいると聞く。

明石家さんまからもらったお年玉
さんまさんからいただいたお年玉のポチ袋。もう30年以上、お年玉をもらい続けている

それでも、それをネタにして笑っているさんまさん。さらに、手作りのアクセサリーをいただくこともある。もらったことは言ったり書いたりしていいけれど、中身については触れないように……が、さんまさんからのお達し。他の女性にも「スペシャルなプレゼント」として渡しているためだそうだ。『明石家サンタ』(フジテレビ系)で私がもらったモノと同じピアスを着けた八木亜希子さんを見て、なるほど、そういうことかと納得した。八木ちゃんは、ずいぶん丁寧にピアスの説明をしてしまっていたが……(苦笑)。

もちろん、蝮さんや峰さん、さんまさんのお金の遣い方とはケタが2つ、3つ、異なるとは思うが、多少の背伸びをしてでも、豪快にお金を遣えば、自分の仕事の幅や可能性さえ広がるような気がしてならない。この癖はもう変えられないし、立ち止まることも、やめることもできないのだと思う。それでもいい。
これからも私は、好きな仕事をして、お金をもらって、楽しく遣いまくる!!!

次回は、放送作家の高須光聖さんへ、バトンタッチ!

ぜひ、ご覧ください!

踊る!さんま御殿!!』や、出演している『1周回って知らない話』『サンデージャポン』なども、よろしくお願いします。
雑誌やWEBの連載は月間30本以上、書いています。こちらも、お読みいただけますと幸いです。

まもなく連載100回!高須光聖さん、鈴木おさむさんが登場!!

100回記念告知画像
一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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