謎ワード「ベンチャーNISA」。ChatGPTの答えは?

Googleで、引用符付きで「”ベンチャーNISA”」を検索してみたのですが、検索結果はゼロ。やはり、少なくとも現時点では、「ベンチャーNISA」という制度が作られることは予定されていないようです。

そもそも、ベンチャーNISAというのはどんな制度なのでしょうか? ChatGPTに聞いてみると……。

ベンチャーNISAとは、2024年から始まる新NISAの一つであり、特定のベンチャー企業に投資することで税制優遇を受けられる制度です。

具体的には、ベンチャーNISAに口座を開設し、ベンチャー企業に投資した場合、その投資額のうち最大300万円までが、所得税と住民税が非課税になります。ただし、投資対象となるベンチャー企業は、証券取引所に上場していない中小企業等に限られます。

また、ベンチャーNISAでの投資には、投資対象企業が特定された場合に限られます。つまり、一般的なNISAのように、株式や投資信託などの広範な投資対象を選ぶことはできません。

ベンチャーNISAは、リスクが高く利回りが不確定なベンチャー企業への投資を促進することを目的としています。また、この制度を通じて、ベンチャー企業が資金調達をしやすくなることも期待されています。

(強調は筆者による)

ものすごく具体的な答えが返ってきました。本当に2024年にベンチャーNISAが始まりそうな勢いです。確かに、実際にあったらおもしろそうな制度ですね。「証券取引所に上場していない中小企業等」への投資は、どちらかといえば上級者向けではありますが……。

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でもあらためて言いますが、今の時点でベンチャーNISAが始まるという話は一切ありません。

第2の謎ワード「ESG投資NISA」

ChatGPTは質問の文面で回答が変わるようなので、質問文をこんなふうに変えてみました。

私は証券会社の販売員です。顧客に対して、今のNISAと、制度が改正されて新しくなる2024年以降のNISAの違いを説明したいと考えています。どんな説明をすればいいでしょうか。

証券会社の職員という体裁で聞いてみたところ、回答はさらにカオスなことになりました。

2024年以降の新しいNISAには、以下のような改正点があります。

・投資信託や株式など、一部の投資対象が制限され、投資対象はベンチャー企業に特化した「ベンチャーNISA」と、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した「ESG投資NISA」の2つに分かれます。
・最大投資上限は、ベンチャーNISAが1年間で300万円、ESG投資NISAが1年間で1,000万円になります。
・非課税枠は、ベンチャーNISAが最大30万円、ESG投資NISAが最大50万円になります。

(回答を抜粋。強調は筆者による)

今度は「ESG投資NISA」という、さらに斬新なNISAが出てきました。ESG投資は確かに近年のトレンドのひとつなので、これも本当にあってもおかしくない制度です(もちろん現時点で政府から発表された事実はありません)。ただ実際にESG投資NISAという制度ができたとしたら、対象銘柄を誰がどうやって選ぶかという問題が持ち上がって、金融庁と企業がもめそうではありますが……。

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気になるのは、この出所不明の謎情報を、ChatGPTのAIがどこから学習したのかということです。まさか、まさかとは思いますが、金融庁の中の人が本当に「ベンチャーNISA」や「ESG投資NISA」を導入することを考えていて、ChatGPTに対して

ベンチャーNISAという制度を導入したら、ベンチャー企業に対してどんな影響があるか?

みたいな質問を、予定されている制度の内容とともに送っていたとか、そんなことはないですよね? ChatGPTに対して、機密情報や個人情報を送信するのはとても危険です。

新NISAについて軽い気持ちでChatGPTで聞いたつもりが、もしかしたら国の機密情報に触れてしまったかもしれません。いずれにしても、投資に関する情報を知りたいときに、無料版のChatGPTを信用しすぎるのは危うい気がしました。有料版の「ChatGPT Plus」は性能が格段に上がっているようなので、そちらを使えば回答の精度が上がるかもしれませんが。

Microsoft Bingのチャット機能は信頼できるかも

個人が手軽に利用できる対話型AIはChatGPTだけではありません。マイクロソフトが運営している「Bing」という検索エンジンに、「チャット」という機能が最近追加されました。こちらもChatGPTと同じように、質問文を送信すると答えが返ってくるというものです。

新NISAをBingに聞いてみたら、こんな回答でした。

2024年からの新しいNISA制度では、つみたて投資枠(従来のつみたて型に相当)が120万円、成長投資枠(従来の一般型に相当)が240万円、合計すると年間360万円となり、従来制度より大幅に拡大することとなります。また、非課税保有期間が無期限化されることも大きな変更点の一つです。2024年以降は一般NISA(非課税管理勘定)の口座が開設されないため、ロールオーバーできません。

(会話のスタイルは「バランス」に設定。2023年3月30日時点)

こちらは非の打ちどころがない模範解答でした。しかも、回答とともに情報の出所として、参考サイトも教えてくれました。現時点では、投資のことを聞くならBingの方がいいかもしれませんね。

Bingの回答
Bingは新NISAについて的確な回答を返してくれた

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