本連載は、日興アセットマネジメントの研修機関「日興AMファンドアカデミー」による、銀行や証券会社などで働く投資信託の販売担当者に向けたセミナー講義の内容を採録したものです。
〈記事提供:日興アセットマネジメント

経済は右肩上がり ― ある意味「宗教」かも

自ら定めた目標水準に気持ちをフォーカスする逆転の発想によって、日々の変動というストレスへの耐性を増し、投資を成功させて最後に笑いましょうという話をしてきました。ところで、その考え方をするためには、「時間をかければ証券の価格というものは上がるものだ」、あるいは「経済っていうのは右肩上がりなものだから、それを反映する証券市場も本来右肩上がりのはずだ」という考え方への同意が必要になると思います。いわば「経済は右肩上がり教」という宗教への信仰です。不謹慎とお叱りを受けるかもしれませんが、投資というものが、行なっている最中は心が揺れることが多く、何かを信じないとやってられないストレスがあるものだという意味では、やっぱり宗教に似ていると思います。

経済は右肩上がり

とくに株式についてはその側面が強いと言えます。このグラフを見てください。グラフの実線は世界株価指数といって、世の中の主要諸国の株式の値動きを総合的に表すものです。途中2回ほど大きく下がっていますが、基本的には一貫して上がっていますね。そして、面で色を付けている部分は、世界全体の経済規模を表しています。

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【図表】世界の名目GDPと株価の推移


IMF「World Economic Outlook Database,April 2018」および信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
GDPはIMFの予想値(2023年まで)を含む。世界株価指数はMSCI ACワールド指数(配当込、米ドルベース)、期間は1987年12月末~2018年5月末
上記データは過去および予想であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。

GDP(国内総生産)というのを聞いたことがあるでしょうか。世界全体のGDPの実額がこの面で表した部分です。基本的にこれも右肩上がりで増えていますね。つまり世界全体で見れば、経済はずっと大きくなってきたということです。

もうお気付きと思いますが、このグラフが興味深いのは、実線と面とが概ねリンクして動いている点です。株価は経済成長とまさに歩調を合わせるようにして動いてきていますよね。GDPの方は2023年までの予想値が入っていますが、株価は2018年5月末まで。ということは、世界経済がこの予想通りに成長していくなら、大ざっぱに言って世界の株価全体も上がっていくと考えていいのかなと思えます。

世界経済の成長≒株価の成長

このグラフで気付くべきポイントはまだあります。それは、短期間で見ると、両者のリンク関係が壊れている時期があるという点です。グラフの2000年頃を見て欲しいんですが、経済成長の角度の割にずいぶんと株価が上昇していますよね。覚えているでしょうか、ITバブルと後から言われたあの頃ですよ。世界中で「.com(ドットコム)」という社名がついた企業の株が、ただそれだけで上がりました。たとえ赤字であっても。その後ITバブルははじけて結局元通り、というか落ち着きどころにまで下がって止まります。
2008年頃の株価も急落していますね。いわゆる「リーマン・ショック」の頃のことです。ただその下落も、GDPの減り方からすると下げ過ぎだったのか、2009年を過ぎた頃から反発していますね。そして現在に至っています。

世界経済は常に何かしらの試練を受けてきました。しかしどの時も皆必死になって問題を克服し、経済は成長してきました。これからもきっとそうなんだろうなと、私は大ざっぱに、楽観的に考えています。だって経済というものが人の営みの総体であり、人というのが「もっと豊かになりたい」っていう欲の塊である以上、やはり経済は成長するんだと思うわけです。

人に欲がある限り、経済は右肩上がり

第16回 頑張って利益を上げる企業がいるから、株は上がる
第14回 遠い目標を定め、途中を無視する

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