本連載は、日興アセットマネジメントの研修機関「日興AMファンドアカデミー」による、銀行や証券会社などで働く投資信託の販売担当者に向けたセミナー講義の内容を採録したものです。
〈記事提供:日興アセットマネジメント ※毎週火曜日更新

債券はマイルドな資産だが、金利上昇が弱点と覚えておく

次は債券です。債券というと国債、例えば「個人向け国債」などを思い浮かべる人は多いでしょう。他には、横浜市債とか大阪府債といった地方債もありますし、一般企業が資金を集めるために発行する債券もあります。事業債とか社債と呼ばれます。

これら債券の最大のメリットは、債券の出し手(発行体)が資金繰り難などのマズいことにならない限り、満期(償還日)になれば額面が返ってき、それまでの間、半年に1回ずつなど、定期的に利子が受け取れる点です。

さて、投信を通じて債券を考える場合、ぜひ理解しておいてほしいのは、この債券の最大の魅力が、投信のかたちにした途端になくなってしまうという重大な事実です。多くの場合満期はないし、ある場合でも満期時の元本保証はありません。そう考えると、普通に債券で買えるものを、わざわざ投信のかたちで買う必要はないのかもしれません。個人で日本国債が買えるなら、わざわざ日本国債を投信のかたちで買う必要があるだろうか、という疑問です。

でも「日本国債は利払いが半年に1回だけだけど、自分はどうしても毎月の現金が欲しい」という場合は、毎月分配型投信のかたちで買う意味が出てきます。あるいは、いつでも換金できるようにしておきたいなら、やはり投信で持つ意味があります。普通の債券は投信ほど簡単には途中売却ができないからです。また、複数銘柄に分散投資したければ投信でないと難しい。お金がすごくかかってしまいますから。あと、外国の債券は個人が日本から直接買うのが難しい場合が多いんですね。米国債とかならまだしも、世界中の国債を買うなんてことは、投信でないとまず無理でしょう。


たとえば中国の政府関係機関や企業が発行する債券に、日本の個人投資家が投資することはきわめて難しい

世の中の金利が上がると、債券価格は下がる

いずれにしても、こうした「なぜわざわざ、債券の最大のメリットを放棄してまで投信で買うのか」を自問自答することは意味があります。そして、もうひとつ債券で押さえてもらいたいことは「債券も下がることがある」ということ。

非常に単純化して言えば、債券は「景気がいい時に損をしがち」な投資資産です。景気がいい時って金利はどうなると思いますか。上がることが多いんですね。景気がいいとお金の回りが良くなり、お金の需要が高まるので金利が上がることが多いんです。日銀や政府なども、企業への貸出金利とか個人の住宅ローン金利を上げて、景気がオーバーヒートしないよう、バブルになる前のブレーキとして金利上昇を誘導しようとしたりします。

さて、金利が上がるとどうなるでしょうか。例えば、以前1%の利率で出た債券を私が100万円持ってるとしましょうか。で、お金が入り用になって友達に売りたい今、世の中の金利が3%に上がっているとします。すると多分、私の友達は100万円では買ってくれません。だって今なら3%の債券が買えるんですから。

何としても売りたい私がどうするかというと、満期になったら100万円で返ってくるこの債券を、悔しいけど値下げして売るんです。90万円とか。すると友達は「利率は1%だけど、90万円で買ったものが100万円で返ってきたら差額10万円が利益になるからOKだな」などと計算するわけです。どうでしょう、お分かりいただけましたか。これが「世の中の金利上昇で、既存の債券の価格が下がる」理屈です。

ですから、今後景気が良くなる国の債券は、価格面では損をしがちな資産ということになります。景気が良くなると世の中の金利が上がることが多いからですね。すると投信の基準価額にも下落の力が働きます。逆に景気が悪い時は、金利が下がりがちなので債券価格には上昇の力が働くことになります。債券は不景気に強い資産ということですね。

【図表】金利と債券価格の関係

しかし、忘れてならないのは、いい時も悪い時も、半年に1回などの利払いはコツコツ発生している点。債券価格は世の中の金利動向で上下するものの、それとは関係なく利払いは発生し、投信の中にコツコツとお金が入ってくる点は債券ファンドの大きな強みです。実際、債券の価格も下がることがあるとはいえ、株式のように大きく下がることは多くなく、一方コツコツ入ってくる利払いはあるので、株式などに比べるとやはり安心感のある資産だというのは事実です。

利率1%の債券と10%の債券の違いとは?

ひとつ大事なことを忘れていました。債券の利払いの、その利率はどう決まっていると思いますか。投資する方からすれば、利率1%より10%の債券がいいですよね。でも、同じ時点で同じ(満期までの)長さの債券の利率に1%と10%の違いがあるなら何かが違うはず。単純に言えば、それは10%の方が「より危ない発行体」だということに他なりません。

債券の条件で一番大事なのは「満期までつぶれないかどうか」ですよね。国の出す国債は、まぁつぶれないだろうと思う人が多いから低い利率でも発行される。でも国より信用力の劣る企業が出す場合は、国債より高い利率が付いてないと買う人が現れません。だから、より高い利率の債券として発行されるんです。つまり、債券の利率(利回り)は高ければ高いほどいいわけではない。高い理由である「発行体の信用力(安全性)」との兼ね合いで判断しなければなりません。

最初に言った、債券を投信のかたちで買う理由のひとつはこれです。たった1つの債券だけへの投資だと、その発行体がつぶれたらパーですが、投信を通じて複数の銘柄に投資していたら傷は浅くなりますよね。そう考えると、信用力の劣る発行体の債券こそ、たくさんの銘柄に分散されていている投信で買うべきだとも言えます。

さて、債券についても結構深いところまでお話しました。こんな感じで整理しておきましょう。

債券は相対的に安心感のある投資資産。
値動き小さめで、コツコツ金利を稼いでくれる。
ただし以下を理解しておくべき。

1. 債券の価格は下がることもある。
世の中の金利上昇が債券価格の押し下げ要因となる。

2. 債券の利率(利回り)がより高いということは、発行体の安全性がより低いということ。
そのトレードオフを理解しておく。

(第30回「リートの特徴と3資産の値動きの比較」は6月18日公開予定です)

第28回 株式―利益の上がる企業の株価は長期的には上がる