福沢 隆雄
若葉マークの株式投資 代表

得意銘柄とは、投資企業の商品やサービス内容をよく把握し、必要とする市場が分かり、その企業の将来性が見込め、株価の動きに慣れて、投資対象として自分で納得できる銘柄のことをいいます。

取引所には約3,700もの銘柄が上場されています。投資対象の銘柄が絞れていないと、雑誌の推奨銘柄や株価の上昇している銘柄に目がいき、場当たり的に次々と新しい銘柄を選定しがちとなり、収拾がつかなくなります。堅実投資を目指し、安定成長する企業の中から自分で理解できる得意銘柄を作りませんか。

得意銘柄の作り方

自分で理解できる企業を探す

投資対象は、自分が理解できる企業、身近な企業としましょう。例えば、家や街の中から消費者の視点で優れた商品やサービスのある企業を探しましょう。職場や趣味・レジャーの中から見つける投資先もあります。こうした中から、優れていると思われる企業をピックアップしましょう。

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家や街、職場、趣味・レジャーの中から自分が理解できる投資先を探しましょう

安定成長企業の中から探す

次は、その中から安定成長企業を選別しましょう。安定成長企業については、第3回第4回の記事を参照ください。過去5年ないし10年と安定して成長してきた企業は、その実績に、さらなる努力を積み重ねていきます。効率性が向上し、経験も一層積み重ねていくので、その商品・サービスがよりよくなっていきます。必要とされる市場があり、ブランド力・知名度を上げて、経営上の基盤を強化し、利益を上げていきます。ゆるやかでも安定して成長する企業を見極めましょう。

安定成長企業の1株当たり利益の推移の例

少額投資で経験を積む

得意銘柄を作るため、実際に投資をしてみましょう。まずは少額投資としましょう。通常の株式買付最小単位は100株で、数万円~数十万円で1銘柄購入できます。また、ネット証券の中には1株などの少額投資ができるところがあります。1株単位ですと数百円~数千円で1銘柄購入できます。特定の証券会社では「株式累積投資(るいとう)」といい、特定の同一株式を毎月定額(1万円以上1,000円単位)で買付ける仕組みがあります。少額の積み立て方式での株式の買付けです。まずはリスクを抑えた投資金額としましょう。

買付けの記録(株式投資ノート)を作ろう

投資対象企業の選定の記録を残しておきましょう。銘柄の選定理由(商品・サービス、それを必要とする市場)、買い値(安値圏)などの検討記録です。買付の根拠、買い値の検討など投資の判断はとても大切です。気になるポイントを残さず記録しておきましょう。また、投資企業のHPを見たり、関連するメディア情報を参考にしたりして、投資企業をさらに深く理解していきましょう。

買付後は、月単位の株価の記録(高値、安値、終値)を残しましょう。例えば、給料日、月末などにチェックするといいでしょう。安定成長企業は中長期保有が原則で、大きな株価変動もあまりありません。よほどのことがないかぎり日々の株価変動に一喜一憂しないことです。1年経つころには株価の動きが分かってきます。得意銘柄の安値、買い時、売り時などがわかったらしめたものです。

自分の頭で考え、銘柄選定や買い値検討を行い、その結果を振り返ることにより、金融リテラシー(知力)が身についていきます。少額投資で特定の銘柄に絞り込んで投資経験を重ねていき、得意銘柄を作りましょう。

得意銘柄、まず1つ

得意銘柄、まず1つ作りましょう。ついで2つ3つと増やしてみませんか。銘柄数は、最大5銘柄までとしましょう。自分で把握できる範囲の銘柄です。会社の儲けの仕組み、業界の動き、株価の動きを知れば、しめたものです。それがあなたの得意銘柄です。マスコミのニュースなどに動揺することが少なくなり、株価の変動に対する忍耐力も養われてきています。

得意銘柄で資産を形成しよう

得意銘柄を資産形成の一つとして位置づけましょう。自分と相性のよい銘柄を得意銘柄としましょう。良ければ一生持ち続ける。あまりに株価が上がりすぎたら一旦売却し、安くなったらまた買う方法もあります。身近な安定成長企業を得意銘柄として資産形成をしてみませんか。

次回(7月31日)は、企業の見方の予定です。投資企業をより深く学ぶための方法を説明します。

第7回 安定成長企業を「安値圏」で買う

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