本連載は、日興アセットマネジメントの研修機関「日興AMファンドアカデミー」による、銀行や証券会社などで働く投資信託の販売担当者に向けたセミナー講義の内容を採録したものです。
〈記事提供:日興アセットマネジメント

分配のそもそも-「出したらその分減る」

まず口数の話にいったん戻ります。取得口数っていうのは、購入金額と購入時の基準価額とで、お客様ごとにビシっと決まるんでしたよね。100万円で基準価額5,000円の投信を買うと、100万円÷5,000円×10,000で、取得する口数は200万口だというように。

そしてこの人が受け取る分配金の金額は、この口数に運用会社が決めた「1万口あたり分配金」というのを掛け算すると出てきます。例えば今月の分配金が「1万口あたり50円」だとすると、200万口×50円÷10,000で、この人が手にする分配金は1万円となります。

ということは、確かに口数が大事そうですね。先ほどの例だと基準価額10,000円の投信の場合は取得口数が100万口でしたもんね。ということは、同じ1万口あたり50円の分配金だと、100万口×50円÷10,000で5千円と、さっきのケースの半額になってしまいます。やっぱり基準価額は低ければ低い方がいいんだって思ってしまいそうです。

でもそうではありません。すでに一度お話ししてるんですが、改めて確認したいのは、分配金とは自分の資産からの払い出しだという点です。

例えば100万円が110万円になった後「さあどう分配するか」という段で、基準価額5,000円が5,500円に1割上がったAファンドが50円分配するとどうなるでしょうか。さっき計算したように、100万円で200万口分を取得しているので分配金は1万円でしたね。となると、どうなるでしょうか。分配金を出した後の「残り」は110万円-1万円で109万円です。そりゃそうですよね。

一方、基準価額10,000円が1割上がって11,000円になった、つまり100万円が110万円になったBファンドの場合は、100万口しか取得してませんから分配金はAファンドの半分の5,000円でしたよね。となると、どうなりますか。分配金を出した後の残りは109万5,000円です。Aファンドの残りより5,000円多い。

どうしても預貯金の利息と混同してしまいがちで、AファンドもBファンドも分配金を出した後の残りが両方とも同じ100万円、あるいは110万円かのような錯覚をしてしまいます。いわゆる元本はそのままに、付いた利息が出ているかのように。だから5,000円よりも1万円の方がお得なように思えてしまう。

預貯金の利息と投資信託の分配金

でも違うんですね。もうお分かりいただけていると思いますが、投信の分配は「出したらその分『残り』が減る」ってことなんです。

分配金は自分の資産の払い出し
「出したらその分『残り』が減る」

さっき言った通り、Bファンドは分配が5,000円少ない分、「残り」が5,000円多いわけです。つまりAとBは分配時の払い出し率、取り崩し率が異なってるだけなんですね。同じ50円ですから、基準価額5,000円のAにとっては1%ですが、基準価額10,000円のBにとっては0.5%じゃないですか。Aの方が大きく削ってる、Bの方がAに比べて余裕を残して削ってる、単にそういうことです。

分配金があってもなくても、投資の本質は同じ

基準価額と分配金の関係を結構詳しく説明してきました。結論は、分配金はあくまで運用中の自分の資産の切り崩しなので、分配金を受け取っていることだけをもって良しとしてはいけない、ということです。

前に「インカムの器」の話をしましたよね。毎月分配型など分配重視の投信は「自動解約機能付き投信」だと。今はさらに理解が深まっているのではないでしょうか。分配は自分の資産の取り崩し。解約と同じです。その払い出しの頻度が毎月などと高く、その払い出し率・取り崩し率が比較的高めの投信が「インカムの器」向きの投信だと言えます。定期的な現金創出機能を重視して保有しているわけなので、そのお金はしっかり使うことが大事、ということでしたね。

〈資産運用の「土台と柱と器」〉
資産運用の「土台と柱と器」

さてさて、長い話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。以上で私のお話はすべて終わりです。もしかしたら「メーカー」としての勝手な想いを、暑苦しくお話しし過ぎてしまったかもしれません。でもどこか一部分でもいいので、今日のお話が、皆さんの本気の投資の背骨みたいなものになってくれたらうれしいです。

「途中のストレスを無視して最後に笑う」――そうした骨太な資産運用を始め、続けていただき、本当に最後に笑っていただきたいと願っています。その時、「ずいぶん昔に日興アセットの話を聞いたおかげ(かもな)」と思っていただけたらうれしい限りです。長時間お付き合いいただき、ありがとうございました。

第34回 投資信託の「口数」に関する誤解

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