レポート提供:ニッセイアセットマネジメント(2019年4月3日)

  • インド株式(SENSEX指数)が4月2日、約7カ月ぶりに史上最高値を更新。中国景気の底打ち観測による投資家心理の改善やRBI(インド準備銀行)の金融緩和期待等が要因か。銀行株セクターの上昇が目立つ。
  • 下院議会選挙を巡る思惑等で、今後は高値波乱となる可能性も。

SENSEX指数が約7カ月ぶりに史上最高値更新

4月2日のインド株式(SENSEX指数)は39,056で引け、昨年8月28日につけたこれまでの史上最高値(38,896)を約7カ月ぶりに更新しました。上昇の要因として、以下が考えられます。

① 中国景気の底打ち観測による投資家心理の改善:3月31日に中国国家統計局が発表した3月製造業PMI(購買担当者景気指数)が拡大と縮小の節目となる50を5カ月ぶりに上回り、中国景気の底打ち期待が強まったこと。

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② 銀行株セクターの先行き懸念の後退:2月20日のインド政府による国営12行への総額4,824億インドルピー(約7,700億円)の資本注入計画発表で、銀行株セクターの先行き懸念が後退したこと。

(注1)同セクターの動きを示す代表的な指数であるムンバイ銀行株指数の年初から4月2日までの上昇率は12.4%と、SENSEX指数の8.3%を上回る(図表1)。

③ RBIの金融緩和期待:物価の落ち着きや米金利低下によるインドルピー安(対米ドル)懸念の後退等を背景に、RBIが景気刺激のために金融緩和姿勢を強めるとの見通し。

(注2)中央銀行の金融政策の影響を相対的に受けやすいとされる満期までの期間が短いインドの国債金利は低下傾向(図表2)。

④ 上記等を受けた海外投資家のインド株式・債券投資の積極化:2019年3月月間の買越額(株式と債券合計)は約7,600億円と、2017年3月以来の高水準を記録(図表3)。

【図表1】SENSEX指数とムンバイ銀行株指数
【図表1】SENSEX指数とムンバイ銀行株指数
出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表2】インド国債金利の推移
【図表2】インド国債金利の推移
出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表3】海外機関投資家の投資状況(ネット)
【図表3】海外機関投資家の投資状況(ネット)
出所:NSDLデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

下院議会選挙を巡る思惑でインド株式は高値波乱も

インドでは5年に一度の下院議会選挙が4月11日から5月19日にかけて実施されます(一斉開票日は5月23日)が、モディ政権の苦戦が予想されています。2014年の選挙で党首を務めるインド人民党(BJP)が単独過半数を握り誕生したモディ政権ですが、昨年末の5州の州議会選挙の内3州で敗北する等、人気に陰りが見え始めているとの指摘があります。軍事衝突を背景にパキスタンへの強硬姿勢を貫くモディ政権を支える与党連合NDA(国民民主同盟)の支持率が一時に比べて上昇しているとの一部調査結果も出てはいますが、依然予断を許さない状況にあるようです。当選挙を巡る思惑でインド株式が高値波乱の展開になることも想定されます。

(注3)「Times Now-VMR」によると、NDAの支持率は1月時点の46%から3月時点では52%(過半数越え)まで上昇。

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