レポート提供:ニッセイアセットマネジメント(2019年5月14日)

  • 2019年3月末の中国の米国債の保有額は約2年ぶりの低水準。米国債の売却傾向が続く。
  • 中国が米国の関税引上げに対抗して米国債の売却に言及したり売却を加速させる場合、世界経済は大きなダメージを受ける可能性もある。

(1) 中国の米国債の保有額は約2年ぶりの低水準

米財務省データによると、2019年3月末時点の海外勢の米国債(短期債含む、以下同じ)保有額約6.5兆ドル(約720兆円)のうち、国別トップは中国で全体の17.3%、2位が日本で16.7%。2カ国で約3分の1を占めています。その中国が2018年秋頃を境に米国債の売り越し姿勢を強めつつあります。

同データによると、中国は米国債を2019年3月に205億ドル(約2.3兆円)売り越しました。売り越し額は2016年10月の258億ドル(約2.8兆円)以来の大きさです(図表1)。また、2019年3月末の米国債保有額は1兆1,205億ドル(約123兆円)と、2017年5月末(1兆1,022億ドル)以来約2年ぶりの低水準まで減少しました(図表2)。中国の経常収支(ある国が外国との経済取引で生じた収支)の黒字額は減少傾向にあり(図表3)、米国債の買い余力が低下しつつあるようです。2019年4月のIMF(国際通貨基金)予想では2022年には赤字に転落する見通しとなっています。
米中貿易摩擦で経常収支の黒字額は更に減少する可能性もあります。保有額2位の日本との差は2019年3月末時点で約424億ドル(約4.7兆円)。早ければ年内にも逆転するのではとの見方もあるようです。

中国の米国債売却等を背景に、世界の外貨準備に占めるドルの比率は2015年1~3月期の66.0%をピークに、2018年10~12月期には62%まで低下しています。

【図表1】中国の米国債売買状況
【図表1】中国の米国債売買状況
出所:米財務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表2】中国と日本の米国債保有額
【図表2】中国と日本の米国債保有額
出所:米財務省のデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表3】中国の経常収支
【図表3】中国の経常収支
出所:IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

(2) 大幅売り越しの背景

中国の米国債大幅売り越しについて、貿易摩擦に関する対抗措置として米国債を売却しているのではと懸念する向きもあるようですが、3月は米中協議に進展が見られていた時期であり、その可能性は低いものと考えます。中国は金の保有を増やす等対外資産の分散を進めており、そのことが米国債売却に影響しているものと見ています。
しかし今後については注意が必要であるように思われます。米国は5月10日、中国に対する制裁「第3弾」の追加関税率を最大10%から25%に引上げました。仮に中国が、対抗措置として米国債の売却に踏み切れば、米中関係が更に悪化し、また米金利の上昇等を通じて世界経済に大きなダメージを与える可能性があります。

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