レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年10月8日)

  • 8月の米貿易収支の赤字額は548億9,600万米ドルと、市場予想を上回る赤字。財のみの貿易でみると、中国に対する赤字額は289億1,400万米ドルと、前月から2.5%減少。
  • 10日に中国の副首相をはじめとする代表団が米国を訪問し、米中貿易交渉が再開される予定。今後の交渉の行方に伴う人民元相場の動きが注目される。

8月の米貿易赤字は全体としては増加

4日に米商務省が発表した8月の米貿易収支の赤字額は548億9,600万米ドルと、市場予想の545億米ドル(ブルームバーグ集計)を上回る赤字で、前月から1.6%増加しました。「モノ(財)」のみの貿易でみると、赤字額は744億2,400万米ドルと、前月から1.1%増加しました。

財の内訳をみると、輸入は前月から0.6%増加しました。石油製品や原油のほか乗用車が大幅に減少したものの、半導体を中心とした資本財のほか携帯電話や家庭用品などの一般消費財が幅広く増加しました。9月1日に発動した追加関税を前に、駆け込みの動きとなった可能性もあります。輸出は前月から0.3%の増加にとどまりました。燃料油や大豆などは増加したものの、民間航空機や医薬品が大きく減少しました。

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各国・地域別では、中国に対する赤字額は289億1,400万米ドルと、前月から2.5%減少しました。中国への輸出が前月から7.3%増加した一方、輸入は0.1%減少しました。このほか、メキシコに対する赤字額は83億9,400万米ドルと、前月から5.8%減少、欧州連合(EU)に対する赤字額は156億2,000万米ドルと、前月から1.6%減少しました。これに対し、ドイツは前月から11.0%、日本は前月から3.1%、それぞれ赤字額が増加しました。

【図表1】米 貿易収支の推移
米 貿易収支の推移

※期間:1999年8月~2019年8月(月次)
季節調整済み、マイナスは米国の赤字を表す
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

人民元相場の動きが注目される

米中貿易交渉については、10日に中国の副首相をはじめとする代表団が米国を訪問し、協議が再開される予定です。7日には、中国は幅広い通商協定での合意に消極的な姿勢を示しているとの報道がありましたが、トランプ米大統領は、部分的な合意は望んでいないとしており、協議が進展するかは引き続き不透明な状況です。

中国本土外で流通する人民元(オフショア人民元)の動きをみると、8月5日に1米ドル=7人民元を超え、9月2日には7.19人民元まで米ドル高人民元安が進みました。その後は7.10人民元をはさんでもみ合いとなっています。

米中貿易摩擦が拡大するなか、8月5日に米国は中国を為替操作国に認定するなど、トランプ大統領は人民元安を断続的に避難しており、今後の米中貿易交渉の行方に伴う人民元相場の動きが注目されます。

【図表2】米ドル/人民元(オフショア人民元)の推移
米ドル/人民元(オフショア人民元)の推移

※期間:2011年10月7日~2019年10月7日(日次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

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