つみたてNISAは手軽にはじめやすい

つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、非課税で積立投資ができる制度です。投資できる上限金額は年間40万円までと決められていますが、最低積立額は金融機関によって異なります。
大手主要銀行の場合、三菱UFJ銀行や三井住友銀行の最低積立額が10,000円から、みずほ銀行やゆうちょ銀行の最低積立額は1,000円からです。これに対し、主要ネット証券の最低積立額は100円からが大半と、かなり手軽な金額から投資ができます。

【図表1】主な金融機関の最低積立額

■主要ネット証券

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

最低積立額
SBI証券 100円以上1円単位
楽天証券 100円以上1円単位
マネックス証券 100円以上1円単位
松井証券 100円以上1円単位
カブドットコム証券 500円以上1円単位

■大手主要銀行

最低積立額
三菱UFJ銀行 10,000円以上1円単位*
三井住友銀行 10,000円以上10,000円単位
みずほ銀行 1,000円以上1,000円単位
ゆうちょ銀行 1,000円以上1,000円単位

*Eco通知を利用し、インターネットバンキングから申し込みの場合は1,000円以上1円単位の設定が可能

インデックスファンドが優勢

つみたてNISAで投資できる金融商品は、主に投資信託です(ETFを扱う証券会社もあります)。ただし、すべての投資信託に投資できるわけではなく、金融庁に届け出が行われた特定の商品のみが対象です。

投資信託は、大きく分けると「インデックスファンド」と「アクティブファンド」があります。
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった市場全体の動向を示す指標や指数に連動して価格が変動する投資信託です。一方、アクティブファンドとは、特定の指数をベンチマーク(基準)とし、これを上回るリターンを目指すものを指します。
アクティブファンドは、インデックスファンドより高い利益を得るために、アナリストやファンドマネージャーなどがさまざまな調査を行ったり、市場動向にあわせて積極的に銘柄を入れ替えたりするといった手間やコストを費やすため、インデックスファンドと比較して運用コストが高い傾向にあります。

投資信託協会によると、2018年12月時点の投資信託は6,134本あります。このうち、「つみたてNISA対象商品」として金融庁が認可したものは、2018年10月31日時点で159本。その内訳はインデックスファンドが大半を占め、全部で142本。アクティブファンドはわずか17本です。
投資信託全体数6,134本からかなり厳選されたとはいえ、投資に不慣れなひとから見れば、実際に159本のなかから投資する商品を選ぶ際は迷われるかと思います。

そこで、一般投資家の目線という視点で参考の1つとなるのが、個人投資家である投信ブロガーがおすすめする投資信託を投票によって決定する「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」というイベントの集計結果です。2017年度のTOP10は下記の通りでした(2018年1月13日公表)。

【図表2】「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2017」1~10位

順位 投資信託名
1位 楽天・全世界株式インデックス・ファンド ◎
(楽天投信投資顧問)
2位 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド ◎
(ニッセイアセットマネジメント)
3位 楽天・全米株式インデックス・ファンド ◎
(楽天投信投資顧問)
4位 野村つみたて外国株投信 ◎
(野村アセットマネジメント)
5位 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) ◎
(三菱UFJ国際投信)
6位 ひふみ投信
(レオス・キャピタルワークス)
7位 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス ◎
(三菱UFJ国際投信)
8位 たわらノーロード 先進国株式 ◎
(アセットマネジメントOne)
9位 バンガード・トータル・ワールドストックETF
(ザ・バンガード・グループ・インク)
10位 iFREE S&P500インデックス ◎
(大和証券投資信託委託)

(◎はインデックスファンド)

つみたてNISA対象商品の内訳と同じく、こちらもインデックスファンドが大半を占めました。9位の『バンガード・トータル・ワールドストックETF』は通常の投資信託とは異なり、「海外ETF」と呼ばれるやや特殊な商品に分類されますが、これも株価指数に連動するインデックス運用。アクティブファンドは6位の『ひふみ投信』のみという結果でした。

上記の10商品のうち、『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』と『バンガード・トータル・ワールドストックETF』以外の8本はつみたてNISAの対象商品で、ネット証券では100円から積立投資ができます。

信託報酬は長期運用に大きな影響を与える

ここ数年、上記にあるように低コストなインデックスファンドが選ばれやすい傾向が続いています。
投資信託にかかる主なコストは、「販売手数料(購入時の手数料)」と「信託報酬(運用管理費用)」の2つあります。販売手数料は、投資信託を購入するときに、購入金額に対して1~3%程度の手数料を支払うものですが、なかには「ノーロード」と呼ばれる、販売手数料が無料の商品もあります。つみたてNISAの対象商品はすべてノーロードです。
これに対して信託報酬は、運用期間中(資産を保有している間中)日々資産から差し引かれます。たとえ年1%未満のコストであっても、長い間運用を続ければ、支払うコストの総額は大きくなっていきます。そのため、信託報酬がなるべく安いものを選ぶことが、長期投資の定石と考えられています。

国民の長期的な資産形成を促すため、金融庁はつみたてNISAの対象商品の信託報酬の基準を低く定めています。インデックスファンドの場合、「国内型」は年0.5%以下(消費税抜き。以下同じ)で、「海外型」は年0.75%以下。アクティブファンドは「国内型」は年1.0%以下で、「海外型」は年1.5%以下です。

試しに、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2017」のトップ10の中で、2019年1月18日時点で“つみたてNISAで積立投資が可能な”投資信託の管理費用(信託報酬を含む)を比較してみました。

【図表3】各商品の管理費用を比較

順位 投資信託名 管理費用
(含む信託報酬)
1位 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.11772%
2位 楽天・全米株式インデックス・ファンド 0.1696%
3位 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 0.20412%
4位 野村つみたて外国株投信 0.2052%
5位 たわらノーロード 先進国株式 0.2160%
6位 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 0.2296%
7位 iFREE S&P500インデックス 0.2430%
8位 ひふみ投信 1.0584%

※楽天証券を利用する場合(2019年1月17日更新データ)。費用は消費税込み

上図を見ると、唯一ランクインしたアクティブファンドの『ひふみ投信』の管理費用が1.0584%と目立ちますが、その他のインデックスファンドはいずれもつみたてNISA対象商品の基準を大きく下回っており、長期投資に適したコストといえます。

もちろん、商品を選ぶ基準は信託報酬だけではありませんが、検討する時にはチェックが欠かせない要素です。複数の商品で迷われている場合、信託報酬を比較するのも1つの手段といえるでしょう。

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