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Special Interview~ESGに隠された真実に迫る ESGは株式投資そのもの。一過性のブームにしてはいけない
Special Interview~ESGに隠された真実に迫る ESGは株式投資そのもの。一過性のブームにしてはいけない

企業の財務情報だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを評価し、投資銘柄を決定するESG投資が注目されています。ESG投資を標榜する国内の公募投資信託(ファンド)も相次ぎ設定され、好調なパフォーマンスを背景に資金流入が加速しているようです。気になっているMonJa読者もきっと少なくないでしょう。一方で「リターンとの因果関係が不明確」、「見せかけESGファンドもある」など、実はよくわからないのがESGかもしれません。そこで今回は、ESGの分野で定評がある仏系資産運用会社コムジェスト・アセットマネジメントの高橋庸介社長と、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんにESGについてイチから教えていただきます。

「ESG投資」という言葉は存在しない

── 個人投資家の間でもESGやSDGsへの関心が高まっており、ESG関連ファンドへの資金流入額も足元で大幅に伸びているようです。改めて、ESG投資について教えていただけますでしょうか。

高橋ESG投資……。いきなりひっくり返して申し訳ないのですが、ESG投資という言葉を使っているのは実は日本だけなんです。英語ではResponsible InvestmentやSustainable Investmentといった言葉を使っています。これはESGという考え方がなぜ生まれ、なぜ投資の世界でそれが重視されなければならないのかといった背景への理解が進まないうちに、ESGという言葉が日本の資産運用の世界に入ってきて、一種のブームのような形で独り歩きしているからだと思います。ESG投資という言葉があるのは実は日本だけなんです――高橋氏

深野そう。ESGは一過性のブームにすべきではないのに、何となく今ブームになっていますよね。ファンドを売るためのテーマというか……。

高橋ですから、今日はMonJaの読者にESGという言葉が生まれた背景からきちんとお話ししたいと思います。

── ぜひよろしくお願いします!

高橋ESGという言葉が使われたのは、2006年4月に国際連合(国連)で提唱された国連投資責任原則(PRI)が最初です。PRIは全部で6つの項目からなるのですが、そのうちの3項目でESGという言葉が使われました。

  • 「投資の分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込む」
  • 「活動的な株式所有者になり、株式の所有方針と慣習にESG問題を組み込む」
  • 「投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求める」

の3項目です。

でも、なぜ国連がこんなことを言い始めたのでしょうか?国連の仕事は、国際平和の維持や貧困の撲滅、人権の推進や国家間の友好関係の構築などでしょう。

株主資本主義・短期主義の行き着いた先は?

── 確かにSDGsというと、まさに国連の仕事である思いますが、投資責任原則を提唱する理由はピンときません。

高橋1980~90年代に、特に欧米の企業を中心に株主リターンに偏重した短期主義が横行しました。企業経営の頂点に株主がいて、とにかく短期的な利益を追求し、株価を上げることだけを重視するような経営です。株価を短期で最大化させつつ、経営者はストックオプション(自社株購入権)で莫大な利益を得るというわけです。

そのような企業は、株価を上げるために、環境破壊や従業員の酷使、無理なコスト削減など、とにかくひどいことをたくさんやったのです。代表例の一つが、2001年の米エンロンの破綻です。エネルギー会社としてスタートしたエンロンは、金融やITなどにも進出し経営の多角化を進めたように見えましたが、やっていたのは会計事務所と結託した不正会計。負債を全て子会社に付け回し、表面的には利益が出ているように見せかけていたのです。

破綻によって、エンロンの従業員やその家族、取引先、地域社会など多くのステークホルダーが被害を受け、人生を狂わされました。結局、株主価値もゼロです。これが短期主義の行き着く先です。

欧州は2000年代初頭から、企業の短期主義の弊害を問題視し、アクションを起こしていましたがグローバルには、アメリカも含め具体的な行動は取られていませんでした。そこで国連が介入し、投資家に目先の株価だけを追求するのではなく、投資家としての責任を果たすように求めたのが責任投資原則で、責任投資の手段がESGなのです。

ESG投資という何か特別な投資手法があるわけでありません。私たちのような資産運用会社が投資をする際に、短期主義ではなく、「企業の持続的な成長」を見ているかどうかが問われているのであり、「企業の持続的な成長」を見極める手段がESGなのです。

ESGは近江商人の「三方よし」の考え方に近いと思います――深野氏

深野日本でも昔から近江商人の「三方よし」ってありますよね。長く商売を続けるためには「買い手よし」、「売り手よし」、「世間よし」で、皆が幸せにならないといけないという経営理念。あれと非常に近い考え方だと思います。

── ESGを重視して投資先企業を選べば、ステークホルダー全員を幸せにするような企業に資金が届くようになり、それがより良い社会づくりにつながる、ということでしょうか? なんだか、長期で成長する企業を見つける際には、当たり前の視点のような気がします。

高橋そう、当たり前。テーマでも、特別な考え方でもないんです。当社の運用では、すべての企業調査にESG分析が入っています。企業のESGを見るというのは、株式投資の銘柄選択には欠かすことができないプロセスだと考えています。

ESGはパフォーマンスに寄与すると確信
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