投資をかたる詐欺の手口が近年、巧妙になっています。日頃、投資や資産運用をしている人でもだまされてしまうケースがあります。被害に遭わないためには、詐欺の手口を知っておくことが大切です。本記事では、近年増えている投資詐欺の代表的な手口を紹介します。怪しいと思ったらきっぱりと断り、適切な場所への通報を心がけましょう。
- 投資の世界に必ず儲かるはない。「必ず儲かる」を謳う投資は全て詐欺
- 「元本保証で高配当」の投資はない。そう謳う投資は全て詐欺
- 「自分はだまされない」と思っている人でもだまされるので過信しない
後を絶たない投資詐欺事件
岸田首相による「貯蓄から投資へ」のかけ声で国民の投資への関心が高まっている中で、ある有名お笑い芸人が、「投資トラブル」によってテレビ番組の出演を急きょ取りやめたことが話題になっています。有名人による投資詐欺の話は、たびたびテレビやネットのニュースを賑わせています。
投資を始める際には、信頼できる金融機関や金融サービスを選ばなくてはいけません。しかし、怪しげな会社の怪しげな投資商品にコロッとだまされる人々が後を絶ちません。職場の先輩や同僚が勧めるから大丈夫だと思ったら、取り返しのつかないことに……。そうした投資詐欺事件は近年、増加傾向にあるので注意が必要です。
例えば最近では、国際ロマンス詐欺と呼ばれるネットを使った詐欺事件が増えているようです。出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った相手から投資を進められ、少額で投資すると、最初は配当金が支払われます。しかし、その後より多くの金額を出資すると、連絡が途絶え、投資資金も出金できなくなる……というのが典型的なパターンのようです。
こうした国際ロマンス詐欺も詐欺の手口としては、「ポンジスキーム」という非常に古典的なものだったりします。「元本保証で高配当」とうたう事業に投資したところ、配当金があったのは最初だけで、徐々に配当金もなくなり元本も返ってこなかったというようなパターンです(ポンジスキームについては、後ほど解説します)。
一般的に投資詐欺は、投資商品の取り扱いに慣れていない人や高齢者が狙われやすい傾向があります。普段から投資をしている人は「自分はだまされない」と思っているかもしれませんが、そういう人がだまされるケースももちろんあります。ですから、どのような手口があるのか、知識だけでも持っておくことが大切です。
投資詐欺の手口とは?
近年被害の多い投資詐欺の手口から、代表的なものを4つ紹介します。知識があれば回避できる詐欺も多いので、詐欺のターゲットになった時には毅然と断れるようにしておきましょう。
①未公開株
「証券取引所に上場していない株式で上場確実なものがあるので、今買って上場後に売却すれば大きな利益が得られる」などといって、虚偽の株式を売りつける詐欺です。未公開株を使って利益を出す投資手法は実際にあるものですが、上場確実なものを都合よく購入できることなどありえません。仮に「上場後に確実に利益が出る未公開株」があったとしても、それを見ず知らずの人があなたに紹介することは絶対にありません。
②ポンジスキーム
「出資金を集め、運用益は配当金として支払われる。元本は保証される」といったうたい文句で資金を集める手法です。アメリカで天才詐欺師といわれたチャールズ・ポンジがその名の由来です。新しい出資者からの出資金を配当金として支払うので、最初のうちは配当金が支払われるのが特徴です。実際には運用は行われず、破たんを前提に資金を集め続けます。要するにねずみ講です。
日本でこのポンジスキームを使った大型の年金詐欺がありました。2021年に発覚したAIJ事件です。顧客である年金基金などに対して虚偽のファンド運用実績を提示し、わかっているだけでも約248億円もの資金をだまし取った事件です。
③外国通貨
「大型開発プロジェクトが進行している新興国通貨を、今のうちに買っておけば将来大きな利益が出る」などといって、外国通貨を購入するようほのめかします。もちろん、実際に外国通貨が手に入ることはありません。
また、外国通貨を使って取引するFXで「確実に利益が出る」などと語り、投資を誘うケースも増えています。投資資金を振り込ませ、アプリ上で架空の運用画面を表示し、利益が出たと誤認させることによって、さらなる出資を誘う手口です。
④架空の権利
「広告権を買えば電子クーポンが手に入り、資産が増える」「風力発電や太陽光発電の発電設備を設置する土地の権利が格安で手に入る」など、冷静に考えるとよく分からない権利や、その時々に話題のキーワードを盛り込んだ架空の権利を餌に勧誘するケースです。テレビなどのマスコミで話題のテーマを絡めてくるため、リアリティを感じてしまう人もいるようです。
詐欺に騙されないために気を付けるべきポイント
詐欺の特徴に「(ほぼ)確実に儲かります」という甘い言葉があります。普段から投資をしている人ならだまされることはないと思いますが、投資の世界に必ず儲かることなどありえません。もしそんな商品があるなら、人に紹介せずにすべて自分で買ったほうがよいはずです。
また、聞いたことがない会社にも注意してください。金融商品を販売するためには金融庁の厳しい許可を取る必要があり、どんな会社でも販売できるというものではありません。調べても情報が出てこないような会社なら、詐欺の可能性が極めて高いでしょう。
もし「投資詐欺かも」と思ったら、金融庁金融サービス利用者相談室、または証券取引等監視委員会情報提供窓口に情報提供するか、最寄りの警察署にすぐに相談してください。他の人が被害に遭うのを防ぐことにつながります。