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2021年05月22日(土)、セゾン投信とコムジェスト・アセットマネジメントは、資産運用を始めて間もない投資家に向けたコラボセミナーを開催しました。長期投資を続ける以上、「○○ショック」といった多くの試練を避けて通ることはできません。その試練に打ち勝っていくためにどのような心構えを持つべきなのでしょうか。3部構成で行われたセミナーの模様をご紹介します。

長期投資の心構え7箇条
~にわか投資家にならないために~

何でも上がる「金融相場」から選別が求められる「業績相場」へ

皆さん、こんにちは。セゾン投信代表の中野でございます。今日は『セゾン資産形成の達人ファンド』の運用パートナーであるコムジェスト・アセットマネジメントとのコラボセミナーです。アクティブ運用の神髄は、第2部にて高橋社長にお話しいただきます。私はその前段階として、長期投資で合理的に成果を享受するための原理・原則をお伝えしたいと思っています。

まず、株式市場のチャートをご覧ください。

主要株価指数の騰落率推移
主要株価指数の騰落率推移

  • MSCIACWI MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス 。先進国 23 カ国と新興国 27 カ国の計 50 カ国で構成されており、世界の株式市場の値動きを表す指数です。MSCI Index に関する著作権、知的財産権その他の一切の権利は MSCI に帰属します。また、MSCI は指数の内容を変更する権利及び公表を停止する権利を有しています。
中野晴啓氏
セゾン投信
代表取締役会長CEO
中野晴啓

青が世界全体、赤がアメリカ、緑が日本です。3本とも右肩上がりで気持ちの良いチャートですが、直近では少し動きが変わってきていますね。

それ以前まで1年超にわたって続いてきたのは、いわば大金融相場です。コロナ禍に見舞われた経済を支えるために各国政府が強力な金融緩和を行い、相場の上昇要因になりました。良い株もそうでない株も一様に上がっていく金融相場は、マーケットの自然な姿ではありません。それがここにきて、ファンダメンタルズを反映した業績相場に移行しつつあるようです。

アメリカの株式市場が上昇を続けているのも、ファンダメンタルズの好調さが背景にあります。新型コロナのワクチン政策に成功し、本格的な活動再開が始まっています。片や日本では、いまだに緊急事態宣言が出されている。ワクチン政策に大失敗し、接種率は断トツ先進国の中で最下位。アメリカとは雲泥の差が開いてしまいました。それが直近のマーケットの動きに反映されていると思います。

金融相場の最中で投資を始めた人は、「投資って簡単なのね」と思っていらっしゃるかもしれません。しかし、足元の日米の株式市場を比べるとこれだけ大きな差が出ている。これこそがマーケットの本来の姿なのです。

「にわか投資家」にならないよう、心を鍛錬しておく

本講演の副題は、「~にわか投資家にならないために~」です。コロナ禍の上昇相場を見て、「長期投資をやろう」と一念発起して株式市場に参加した人は多いでしょう。しかし、人間はそう思い通りに行動できる生き物ではありません。皆さんにはこうなってほしくないという戒めとして、にわか投資家の残念な典型例を紹介しましょう。

投資によくある残念なケース
投資によくある残念なケース

左のほうからご覧ください。まずありがちなのは、せっかく将来に向けて資産形成を始めたのに、ちょっとプラスになっただけですぐにリカク(利益確定)してしまうケース。未来にある喜びより目先にある喜びをより優先してしまう心理を「現状志向バイアス」と言います。

その後再び上昇基調が来ると、「しまった、売っちゃったのに…。乗り遅れる前にもう一回買わなくちゃ!」と慌てて買い直すのもよくあるケース。「ハーディング効果」と呼ばれる人の性で、周りの人と同じ行動をとって安心感を得ようとします。

買った後でまた大きな調整があるとどうなるでしょうか。損失が増えるにつれて気持ちが萎えてきて、それだけならまだ良いですが、次第に恐怖心も芽生えてきます。自分の投資したお金がゼロに近づいていく怖さが極限まで高まると、「もうダメ、我慢できない」とまた売却してしまう。ここでは、利益で得られる満足感よりも同額の損失による苦痛のほうが大きく感じる「損失回避性」という心理が働いています。

しかし、マーケットは下がり続けません。底をつけて急激な回復を見せると、「私はこんなに損したのに、上がってる! 売らなければよかった」と、今度は悔しい気持ちがめらめらと湧いてきます。最後には、「私には向いてないんだ。もう投資はこりごり…」となってしまうわけです。変化や未知のものを避けて、現状維持を望む心理。この「現状維持バイアス」も、人間が持つ自然な心の動きです。

このように、自分の中にある心の弱さに従って動いてしまうと、長期投資で手に入るはずの成果は毛頭得られないのです。金融相場で投資を始めた人は、マーケットが大きく下がる事態を想定できていないかもしれません。しかし遅かれ早かれ、まとまった調整局面は必ずやってきます。そんなときは、ぜひこの話を思い出してください。「にわか投資家」にならないよう、自分の心をしっかりと鍛錬しておいていただきたいと思います。

明るい未来を信じる人は最強の長期投資家になれる

私は「積立王子」と呼ばれています。積み立て投資の大切さを説き続けているのは、この投資行動を選択することで、誰もが立派な長期投資家になれるからです。一朝一夕で資産をどんと大きくすることはできません。少額でコツコツ、人生の長い時間をかけて成果を出していくのが積み立て投資です。

毎月1万円ずつ、30年間積み立て投資を続けるとしましょう。『セゾン資産形成の達人ファンド』が想定する期待利回り7%とした場合、約1100万円になります。もうちょっと頑張って毎月3万円にすれば、30年で3000万円を超える資産づくりができるのです。年金2000万円は実は全然怖くないことがお分かりになるのではないでしょうか。

長く続けることが大切
長く続けることが大切

  • 年複利、利息は期末で組み込み、税金等は考慮しておりません。千円以下は四捨五入して記載しています。
  • 積立による購入は将来における収益の保証や、基準価額下落時における損失を防止するものではありません。
    また、値動きによっては、積立よりも一括による購入の方が結果的に有利になる場合もあります。
  • 当該数値はあくまでもシミュレーションであり、将来の運用成果等を示唆、保証するものではありません。

最後に、長期投資をしっかりと続けるための心構えを紹介します。


第1条は、「投資目的をしっかり見据えること」。皆さんが投資を始めたのは、将来において豊かな人生を実現するためではないでしょうか。そうであれば、ゴールは遠い先にあるはずです。目的を意識していれば、少しの儲けでリカクするような行動選択はあり得ないと思います。目先の利益に惹かれるときは、ぜひこの第1条を思い出してください。

もうひとつ強調しておきたいのは、第7条の「長期投資家は明るい未来を信じる」。コロナ禍が続き、今は世の中が真っ暗に見えるかもしれません。しかしこの体験をきっかけに、私たちは地球の持続可能性を自分事として考えるようになりました。脱炭素という言葉がすっかり定着したように、次の世代に豊かな地球社会を引き渡していこうという動きが社会通念として広がってきています。

こうした大きなトレンドは長期投資にも波及します。それを実現しようとする産業界の純粋かつ熾烈な競争に直結するからです。例えば、次世代エネルギーとして水素を活用しようという話は、少し前までは絵空事でした。でも、皆が本気で取り組むことで世界の燃料の主役になる日が近づいてきているように思います。新しい技術が生まれ、それを活用した新しい製品が開発され、新しいサービスもどんどん積み上がってくる。これが私たちの生活をより豊かにしてくれる、経済成長のサイクルなのです。

明るい未来を当たり前のように信じて、日々生きていける人は最強の長期投資家になれます。この7カ条を皆さんと共有して、私からのお話を終わります。ありがとうございました。