どんな場面でも常に高いリターンを上げられる金融商品はありません。どんな金融商品にも必ず「得意な局面」と「苦手な局面」があります。現役証券アナリストの佐々木達也さんが、今人気の金融商品や注目セクターの「とくい」と「にがて」を徹底分析する連載。第8回のテーマは「REIT」(リート)。オフィスビルやマンションなどの不動産を投資対象とするREITの中でも、日本国内で上場しているJ-REITを中心に、その特徴と得意局面・苦手局面について見ていきます。

  • J-REITは収益の90%以上を分配するため、高い分配金利回りが期待できる
  • REITは個別銘柄だけでなく、投資信託・ETFを活用した投資も可能
  • REITはインフレ局面・経済回復期に強いが、金利上昇局面を苦手とする傾向

定期的な現金収入が期待できる「高配当株」

REIT投資とは?

REIT(Real Estate Investment Trust)とは、多くの投資家から集めた資金をオフィスビルやマンションなどの不動産に投資し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みの金融商品です。
日本では「不動産投資信託」と呼ばれ、特に国内のものは「J-REIT」という名称で親しまれています。

実物の不動産投資には多額の資金が必要ですが、証券取引所に上場しているREITは小口での売買が可能であり、株式と同様に売買の流動性が高い点が大きな魅力です。

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また、J-REITには「収益の90%以上を分配する」などの条件を満たすことで、実質的に法人税が免除されるという仕組みがあります。通常の企業が利益から法人税(約40%)を引いた後に配当を出すのに対し、REITは利益の大部分をそのまま分配に回せるため、一般的に株式よりも高い分配金利回りを享受できるのが最大の特徴です。
直近のREITの平均分配金利回りは約4.5%程度です。

東京の高層ビル
東京都心のオフィスビルや商業施設、ホテルなどの中にもJ-REITが投資しているビルがあり、その賃料収入が投資家に分配されている

REITに投資する方法は?

REITへの投資は、株式と同様に証券会社で口座を開いて個別銘柄を直接選ぶ方法と、複数の銘柄に分散投資する投資信託・ETFを利用する方法があります。

REITの個別銘柄への投資

現在、東証REIT市場には約60銘柄が上場しており、投資対象によって特徴が異なります。

■オフィスビル型

法人のテナントが入るオフィスビルに投資するタイプのREITです。『日本ビルファンド投資法人』(8951)など、時価総額も比較的大きいものが多く、J-REITの主軸です。
最近ではテレワークから出社回帰の流れで、需要もやや回復傾向です。景気変動の影響を受けやすい点には注意が必要です。

■住宅(レジデンス)型

マンションなど賃貸住宅に投資するREITです。景気変動に強く、賃料収入が安定しているのが強みです。反面、景気回復期には賃料の上昇は抑えられやすくなります。
『アドバンス・レジデンス投資法人』(3269)などがこれにあたります。

■商業施設型

ショッピングモールや都市型の商業施設に投資します。『イオンリート投資法人』(3292)、『森ヒルズリート投資法人』(3234)など商業施設の名前を冠したREITもあります。
オフィス型と同様に景気変動の影響を受けやすい点が特徴です。

■ホテル・旅館型

宿泊施設に投資するタイプのREITです。インバウンドなどで客室単価がひと頃よりも値上がりしている点で注目が集まりつつあります。
主なところでは『ジャパン・ホテル・リート投資法人』(8985)や『星野リゾート・リート投資法人』(3287)などがあります。

■物流施設型

郊外などの物流施設に投資するタイプです。AmazonなどECの普及で最近注目が高まっています。オフィス型や商業施設に比べて契約期間が長く、賃料の変化は緩やかです。
主なところは『日本ロジスティクスファンド投資法人』(8967)、『ラサールロジポート投資法人』(3466)などです。

投資信託・ETFを通じた投資

「どの銘柄を選べばいいか分からない」という場合は、ファンドマネージャーに運用を任せる投資信託やETFも活用しましょう。
例えば、投資信託では三菱UFJアセットマネジメントの『eMAXIS Slim 国内リートインデックス』、ETFでは『NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信』(1343)などが、J-REITの市場平均を示す東証REIT指数(配当込み)への連動を目指して運用しており、残高も多くなっています。

【図表】東証REIT指数の推移(2025年1月6日~2026年2月6日)
東証REIT指数の推移(2025年1月6日~2026年2月6日)

REIT投資の得意な局面・苦手な局面は?

REIT型の投資が得意とするのは、インフレ局面、経済回復期です。 REITは物価上昇に合わせて賃料を改定しやすいため、インフレに強い資産とされます。特に景気が上向く局面では、ホテルや商業施設の稼働率が上がり、分配金の増加や価格上昇(キャピタルゲイン)が期待できます。
また、株がボックス相場の展開でも、安定した賃料収入をベースに、高い利回りを確実に受け取れることが期待できる点は魅力です。

一方で、金利の上昇局面は苦手としています。金利が上がると、物件購入のための借入コストが増え利益を圧迫するほか、リスクの低い債券(利回り)との比較でREITの相対的な魅力が低下し、価格が売られやすくなります。
また、オフィスビルの供給過多など、特定の不動産需給が悪化する局面も不得意です。

現在のような円安局面では、為替リスクがなく、高利回りを狙いやすいJ-REITをポートフォリオの一部に検討してみてはいかがでしょうか。

REITの活用法と注意点

  • 不動産の賃料収入などの利益のうち、大部分を分配金に回せる仕組みのため、高い分配金利回りを期待できる
  • REITの投資対象はオフィス、住宅、商業施設、ホテル、物流施設などがあり、それぞれ特徴が異なる

REITの得意・有利な局面

  • インフレ局面や経済回復期に強い。テナントの収益や稼働率の向上が賃料の上昇につながる
  • 株式市場がボックス相場の時は、分配金利回りが相対的に高い傾向があるREITが有利

REITの苦手・不利な局面

  • 金利上昇局面ではリスク(値動き)が小さい債券に注目が集まりやすく、REITの魅力が相対的に低下
  • 例えばオフィスビルの供給過多といったような、投資対象特有の要因により需給が悪化する場面も苦手

次回(2月24日公開予定)は、金利の上昇で注目が高まっている「債券」の“とくい”と“にがて”を見ていきます。