本連載は、日興アセットマネジメントの研修機関「日興AMファンドアカデミー」による、銀行や証券会社などで働く投資信託の販売担当者に向けたセミナー講義の内容を採録したものです。
〈記事提供:日興アセットマネジメント

「投資教育」って何か変では?

日興アセットのセミナーにようこそ。今日ここに来ているということは皆さん、資産運用について勉強されたい方なんだと思います。でも変な言い方ですが「勉強」はしなくていいんです。「投資教育」って言葉がありますが、私、誰も「教育」なんてされたくないんじゃないかと思うんですよね。

もちろん、子どもたちに無計画な借金の怖さやリボルビング払いの注意点を教えたり、マスコミの影響なのか、20歳になっても国民年金は払わず、その一方で無理して民間の年金保険に入っているような非合理について教えたりする必要は感じますが、今日の皆さんのように将来に対する健全な問題意識をお持ちになった方々には、教科書的な「投資教育」を順を追って行なうというのは違うと思うんです。

資産運用の勉強とか投資教育とかではなく、自分の指針となるような考え方の軸を持つことが何より大切だと思っています。「投信の選び方」のようなハウツー本を何冊も買い込んだり、インターネットの断片的な情報で混乱したりすることは避けた方がいいと思います。

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今日私がお話する内容は、何かを「教育してやろう」というものでも、何か「当社の商品に誘導してやろう」というものでもありません。今日は、私たち個人が自分の人生設計に資産運用を取り入れようとする場合に必要にして十分な知識、そして今後ずっと皆さんの拠り所になるであろう考え方についてお伝えします。お付き合いください。

さて、まず私達は運用会社です。運用会社なんて言っても、一般の方はほとんどご存知ありません。一部ご存知の方がいたとしても、「運用」ってことは株とかの世界で、証券会社みたいなのでしょ、程度のご認識だと思います。

それも仕方ありません。私達は街中に支店を構えて直接販売するのでなく、銀行や証券会社に販売してもらう投資信託、略して投信とかファンドと呼ばれる金融商品を作り、運用する会社なんです。銀行など販売店に商品を卸している「メーカー」と言えば分かりやすいでしょうか。

今日は会社の宣伝が目的ではないのでこれくらいにして、さっそく始めましょう。今日お話したいのは、私たちがメーカーとして、ユーザーの方に理解してもらいたいなぁと、日頃から思っていることについてです。メーカーは、いいものを真面目に作っていればいいと言われるかもしれませんが、私たちの商品は目に見えず手にもとれません。しかも買う時に品質、つまり投資の結果が決まっていないんですよね。そして何より、使う人によっていろいろな「使い方」がされがちな商品だと思います。シャンプーはどう間違ったってシャンプーとして使ってもらえそうですから、高い品質を追求して、それを効果的にテレビCMで皆さんに訴えていけばいいのだと思うのですが、投信は「どう使うか」が難しくて、そこがポイントとなる商品だと考えています。

トラリピインタビュー

投資信託は「目に見えない」

最初から押し付けがましくて恐縮ですが、私たちは、投信というものは「正しい使い方」がとても大事だと思っています。今日はそこについて、私たちの押し付けでなく、皆さん自身の役に立つ知識となるようお話ししていきたいと思っています。そのため、今日のお話の中では具体的な商品名は出しません。商品選びより手前の話が大切だと思っているんです。

商品より手前の話が、実は大切。

投資テクニックのような話もしません。そういう類の本は今たくさん書店に並んでいます。「投信で儲ける!」というのもあれば「投信に気を付けろ!」というのもあります。毎月出ているマネー誌の内容もすごいです。ネットもそう。今、本当に良くできたサイトがたくさんあります。でも、大きな声では言えませんが、私、実はほとんど読んだことありません。正直細かすぎて疲れます。皆さんもきっと同じではないですか。もっと「必要十分で本質的」なことだけでいいんじゃないでしょうか。

さて、前置きが長くなりました。ではメーカーが直接ユーザーの皆さんにお伝えしたい「必要十分で本質的」な話、まいります。

第2回 投資信託の「購入時手数料」と「信託報酬」

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