〈記事提供:日興アセットマネジメント〉
購入時手数料は「相談料」
この点について、ちょっとお話しておきます。どこまで自分でやるか、やれるか、について。今ひとつの意見として「金融機関に相談に行く必要はない」「ネットでノーロード(購入時手数料ゼロ)の投信を買えば良い」というものがあります。
前にも話した通り、購入時手数料(ロード)を何%にするかは販売する金融機関が決めることです。つまり日興アセットのある投信を、上限値である3%の購入時手数料で販売しようがゼロ%で販売しようが、私たちは何も言えません。当社には一銭も入ってこないので何%でも構わないとも言えます。
お客様としてはどうか。一般に手数料なんて安いにこしたことはないのかもしれませんが、投信についてはそう単純ではありません。どういうことでしょうか。前に少し言ったように、購入時手数料は「相談料」なんです。買う時のあれこれと、買った後のあれこれを相談する、何かあった時は電話をしてくれる、そうした金融機関の担当者の人件費です。もし100万円の投信を2%の購入時手数料の金融機関で買ったとすると2万円です。その2万円を引いた98万円で運用が始まるということです。では、100万円の投資元本に対して2万円の相談料って、高いのでしょうか、安いのでしょうか。何がなんでもゼロじゃないと許されない!という話なのでしょうか。
投資家にとっては「購入時手数料を払えば金融機関の担当者と相談できる権利を得られる」ととらえることもできる(写真はイメージです)
今日ここにいる皆さんは、もうそれだけで今の日本人からすると相当に意識の高い方なので、この私のセミナーの後にご自身でネットを使ってベストな投信を探してスタートするのかもしれません。しかしそれでも、買った後に市場変動のストレスと一人で戦うのは結構しんどそうです。それに買う時も、あれとこれは何が違うのか、一度に買うのがいいのか分けて買うのがいいのかなど考えるべきことは山ほどあって、よほど考え方の軸をしっかり確立できていないと途方に暮れてしまいそうです。
日本でいつまでたっても投信が「普通の人の当たり前」になれないのは、こうしたいろいろなことがモヤモヤし過ぎていて、すっきり教えてくれる情報がなくて、その割に批判的なイメージばかりが強くて、という背景があると思います。だから結局、皆が必要性を感じながらも先送りにしてしまい、始められないんだと思います。
そういう意味では、今日の私のセミナーはすごく大事な役割を担っているのだと勝手に背筋が伸びる思いですが、いずれにしてもお客様としては、全部一人で情報を集めて決定しなければならないということよりも、もうちょっとリラックスして取り組めるなら、その方がいいという方も多いのではないでしょうか。
付き合いのある馴染みの銀行や郵便局であれこれ話をし、分からないことは何でも聞き、販売担当の彼や彼女でも分からないことがあれば彼らの「宿題」にし、それを教えてもらい、話し合い、何らかのアクションをし……、といった具合に一度や二度ではないコミュニケーションが必然的に生じるのが、投信の販売現場だと思います。
投信をニッチから身近な金融商品に変える試み
ちょっと脱線しますが、日興アセットは2008年の2月から「日興AMファンドアカデミー」というプロジェクトをやっています。AMとはアセットマネジメントの略です。金融機関の販売担当者専用の研修プログラムに特化した組織でして、東京と大阪にある専用施設に担当者の皆さんに集まってもらい、さまざまな研修を提供してきました。早いもので2018年で満10年となり、いつの間にか2万人以上もの銀行や証券会社の方々に参加してもらっています。
これ、お客様に言うべきことじゃないのですが、日興AMファンドアカデミーのコンセプトは「正しくたくさん販売するために」なんです。「正しく」は当たり前ですがなぜ「たくさん」なのか。それはところどころでお話ししたように、日本ではまだまだ投信がニッチで、下手するとうさん臭いとすら思われている商品だからです。ネットだけで自己完結しづらい商品だからこそ、銀行や証券会社や郵便局という身近な金融機関の皆さんには、正しくたくさんのお客様に紹介してもらいたい、というメーカーとしての想いを込めたわけです。
「正しく、たくさん」広まってほしい。