「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。
年が明け、NISAの2026年の非課税投資枠が使えるようになりました。本記事では、ETFの決算月や株価にまつわるカレンダーアノマリーを参照しながら、1月からNISAを有効活用する方法について考えます。

  • 1月決算の株式やETFに投資すると、年初から配当や分配金を得られる
  • 株式相場にはアノマリー(経験則)があるが、株価がその通りに動かない年もある
  • アノマリーを信じれば1月は「売り」、2~3月は「買い」のタイミングだが……

皆さん、明けましておめでとうございます。21世紀になって、はや四半世紀が経ちましたね。そして、恒久化したNISAも、今年でいよいよ3年目です。今年もNISAを有効に活用したいものです。
言うまでもありませんが、NISAの枠は「暦年」で計算します。そうです、NISAの2026年の枠は今月からスタートです!

NISAの有効活用は1月にあり?

冒頭に述べた通り、NISAの枠は暦年、つまり1~12月で計算します。もしNISAの枠を効率よく活用することを考えたら、1月中に1月決算の株式・ETF・REITに投資するのが良さそうです。
もっとも、株式やREITの投資に当たり、決算月だけで判断するのは……微妙ですね。しかしETF、特に「高配当」をうたうものでしたら、決算月で検討する余地があるかもしれません。なぜなら、ETFから分配金を得るための投資だからです。

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1月決算のETFを1月決算前に買うことができれば、2026年は、効率良く非課税の配当金を得ることができます。図表1は高利回りと思われるETFの本数を、決算月ごとにまとめたものです。1月に決算月(奇数月決算や毎月決算を含む)があるETFは38本中、21本あります。

【図表1】分配金利回りが4%以上(2025年12月19日時点)のETFの決算月ごとの本数
1月が決算月のETF 21
1・4・7・10月 12
1・7月 2
奇数月 4
毎月 3
1月が決算月でないETF 17

いわゆるカレンダーアノマリーについて

アノマリーとは、合理的に、もしくは科学的な説明ができないものの、これまでの経験則に基づいた、株価変動の傾向を今に伝えるものです。例えば、アメリカ大統領選挙の年(=オリンピックイヤーでもある)は、円高になりやすいといわれています……これもアノマリーの一つです。

よく言われる「セルインメイ」、つまり「売りの5月」もカレンダーアノマリーの一つです。

12月は、その年の売却益や配当などの損益通算をする目的で、含み損を確定損にする傾向があるようです。そのことから、12月は「一般的に株価が下落しやすい傾向にある」というのが、カレンダーアノマリーです。含み損を確定損にする……大掃除のようなイメージでしょうか?

売却して含み損を確定損にすれば、現金が入手できますね。ですので、1月は株価が上昇しやすいようです。新年最初の取引というご祝儀相場もあるかもしれませんが、12月に損失を確定したことで得た現金によって投資をするからです。これが1月のカレンダーアノマリーです。
そして、その買いは2月上旬ごろまで続き、節分を過ぎたあたりから、下落に転じる。「節分天井」といわれる2月のカレンダーアノマリーです。

カレンダーアノマリー……実際のところは、どうか?

さて、カレンダーアノマリーは、実際のところは当てにならないこともあるようです。図表2は、年ごとの傾向をまとめたものです。確かにアノマリー通りではない年もありますね。

【図表2】12月・1月・2月のカレンダーアノマリーと各月の日経平均株価の振り返り(太字がアノマリー通りに株価が動いた年)
12月「節税効果で株価は下落」
2021年12月 2022年12月 2023年12月 2024年12月
3カ月ぶりに上昇 3カ月ぶりに下落 2カ月ぶりに下落 2カ月ぶりに上昇
1月「12月の資金が流入。特に小型株が狙われる」
2022年1月 2023年1月 2024年1月 2025年1月
2カ月ぶりに下落 2カ月ぶりに上昇 2カ月ぶりに上昇 2カ月ぶりに下落
2月「1月から上昇した株価は節分で天井をつけ、以後は下落する」
2022年2月 2023年2月 2024年2月 2025年2月
2カ月連続で下落 2カ月連続で上昇 2カ月連続で上昇 2カ月連続で下落

※日経平均株価の上昇・下落は「日経平均 読む・知る・学ぶ」サイトから引用して筆者作成

振り返ってみると、一応、合理的な説明をすることができます。例えば、2024年1月は「新NISA元年」とニュースでも頻繁に取り上げられ、その1月半ばから2月ごろまでは「オルカン」という言葉が流行っていたように記憶しています。
翻って、昨年の1月はというと、いわゆる「トランプ関税に戦々恐々としていた」のではないでしょうか? 1月に続き、2月も下落しています。

本稿執筆時点では、前年の「トランプ関税」に代表されるようなアメリカのリスクは報道されていません。円安株高の期待が高まる日本の首相も高い支持率を誇っています。

政治的なリスクがなければ……NISAの有効活用のために、1月は上がりやすいのでは?

昨年の12月の動向が気になるところですが。筆者はNISAの有効活用のためには、12月は株価が下落し、1月は株価が上昇しやすいのでは……つまり「アノマリー通りの傾向では?」と予想しています。

12月は含み損を確定損にし、損益通算をするための「売りが多い」傾向にあることは先述の通りです。しかし、他にも「課税口座(特定口座など)にある株式の利益確定などの売りも多いのでは?」と踏んでいます。何せ、日経平均が5万円前後で推移していますからね。課税口座で古くから持っている株式などを利益確定しても不思議はありませんよね。そうして、投資資金を作り、翌年から始まるNISA枠を利用するのです。
つまり12月は、翌年のNISA枠活用のための資金調達の期間だといえそうです。

もう一つは、先ほどチラリと述べた高配当ETFの存在。高配当をうたうETFの中には「1月決算」のものが多いのは先述(図表1)のとおりです。つまり、このタイミングで権利を確定しておかないと、2026年の「非課税分配金」を1回、もらい損なってしまうことにもなります。

もし「節分天井、彼岸底」のアノマリー通りなら?(過去には「節分底、彼岸天井」もあったようです)

2~3月のカレンダーアノマリーに「節分天井、彼岸底」があります。2月頭の節分(今年は2月2日)頃に株価が天井をつけて、以後は下落して彼岸(春分の日とその前後3日間。今年の春分の日は3月20日)頃に底値をつけるというものです。

もし「節分天井、彼岸底」というアノマリー通りの傾向があるなら、1月から節分に向かっては、むしろ「株式の売り」のタイミングではないでしょうか?
そして、株価は節分で天井を付け、3月に彼岸に向かって下落し、彼岸で底を打ってから、3月決算の権利確定日までが株価が上昇しやすい……もし、その通りなら、2月の節分から、3月の彼岸までが「買いのタイミング」ということになりそうです。ただし、1月決算の配当金を逃してしまうことになりますが……。

アノマリーを信じるか? 筆者の予想通りか?

本稿を執筆している12月16日は、筆者の思惑通り、日経平均は下落しています。しかし、ネットニュースには「トランプ頼みの選挙戦に限界……共和党の地盤で連敗止まらず!」などという見出しも踊っています。先のことはわからないですね。

ですので、株式投資をするときも、一度のタイミングにすべてを託すのはなく、投資時期を複数回に分けて投資するのもありかもしれません。ただし、その場合、売買手数料が気になるところですが。

皆さまにとっても、幸多き1年間であることを祈念します。