投資の魅力のひとつが「配当」。高配当を狙った投資をするとき、投資先を個別株に絞るべきか、投資のプロが運用する投資信託を選ぶかは悩ましいところです。そこで今回は、「高配当投資」における個別株と投資信託それぞれのメリットとデメリットを解説し、選択時の基準をまとめました。

  • 個別株への投資は持株数を増やして高配当を目指す
  • 投資信託は配当を再投資して複利効果による高配当を目指す
  • 投資で目指す目的に沿った方法を選ぶ

個別株で高配当投資をするメリット・デメリット

一般的に個別株のうち、配当利回りが年3%を超える銘柄が「高配当銘柄」と呼ばれます。個別株投資には主に次の2つのメリットがあります。

メリット1 高配当銘柄にピンポイントで投資できる

個別株投資は文字通り「個別の銘柄に投資する」方法です。普段よく使うボディソープのメーカーや、世界的シェアを持つ企業など、自分が「投資したい」と思う銘柄だけに投資できます。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

メリット2 各種株主優待がもらえる

企業によっては、株を持っているだけで商品やサービスを定期的に受け取れる「株主優待」を設けています。飲食店なら無料食事券、小売店なら割引券などが一般的です。企業のファンであれば、株主優待でしか得られない「特別感」も配当と並ぶメリットといえるでしょう。

コーヒーショップ
株主優待は個別株投資ならではのお楽しみ(写真はイメージです)

一方、デメリットとして挙げられるのは、下記の2点です。

デメリット1 最低購入金額が高め

個別株投資は、例えば1株1,000円でも、最低取引単位は100株に統一されているため、初期投資として最低10万円を用意する必要があります。銘柄によってはこれ以上の資金が必要な場合もあり、投資を始めるにはハードルが高いといえるでしょう。

ただし、証券会社によっては「単元未満株」という、10株、あるいは1株単位で投資できるサービスも用意されています。

デメリット2 値動きが大きくなりやすい

高配当銘柄は、企業業績が悪化して減配や無配になると、ほかの銘柄より大きく値動きする傾向があり、株価の下落による損失が大きくなる可能性があります。

投資信託で高配当投資をするメリット・デメリット

投資信託の中には、複数の高配当銘柄を厳選して投資し、その配当収入を投資家に「分配金」として分配するタイプの商品があります。投資信託には、個別株投資にはないメリットがあります。

メリット1 分配金を再投資すれば複利効果が得られる

投資信託は、分配金をそのまま受け取らずに、その分配金で同じ投資信託を、手数料なしで買うことができます(分配金再投資)。そうすると元本が増えて、次の決算では増えた元本を基準に値上がり益や配当による利益が得られます。これを「複利効果」と呼びます。

メリット2 少額で分散投資ができる

最近は投資信託でも、条件つきながら最低100円から投資できる金融機関が増えてきました。個別株投資に比べ少額で投資できるため、手持ちのお金が少なくても気軽に始められますし、たくさんの投資信託に分散して投資することも簡単です。

積立投資
投資信託なら少しずつ積み立てながら、分配金を自動的に再投資していくことで「複利効果」が期待できる

デメリット 信託報酬などのコストがかかる

投資信託は株式の売買などを資産運用会社に任せるため、その手数料として、投資信託を持っている間、口座に預けているお金(信託財産)から少しずつお金が引かれていきます。これを「信託報酬」(運用管理費用)といいます。

このほかにも、投資信託を買うときに引かれる「購入時手数料」などのコストがあり、いずれも投資信託によって割合は異なります。どれくらいのコストがかかるのか事前に把握しておく必要があります。

株主優待も狙うなら個別株、複利効果重視なら投信

個別株投資と投資信託の特徴をまとめたのが下の表です。

  個別株投資 投資信託
投資対象 自分で選ぶ 専門家にお任せ=自分では選べない
投資コスト 運用中のコストはかからない 運用中は信託報酬が発生する
最低投資投資 高額の資金が必要な場合もある 低額から投資可能
値動き 大きくなりやすい 複数の銘柄に投資するので、個別株より小さくなりやすい
株主優待 あり(銘柄による) なし

十分な資金があって、株主優待も狙いたい方は「個別株」が、低額で投資をはじめたい方や複利効果を狙いたい方は「投資信託」がおすすめといえます。

ただし、どちらを選ぶにしても、それぞれのデメリットについて充分に理解して運用する必要があるでしょう。

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