豊かな人生に欠かせない健康。マネーを投資するのと同じように、健康にも価値を見出してライフスタイルをより充実したものに! 漢方薬にも詳しい薬剤師の視点で、健康投資に役立つ話題を毎月ゆるっとお伝えしていきます。
二十四節気では啓蟄(けいちつ)を過ぎ、土の中で冬を越していた生き物たちも少しずつ地上に出てくる季節になりました。しかし春は寒暖差も大きく、実は自律神経が最も乱れやすい季節でもあるのです。日中だるい、イライラや不安がある、よく眠れない……など、クリニックに行くほどの不調ではないけれど、なんとなく体調がすっきりしない。そんな不調を訴える方が多いです。今回は、春のゆらぎやすい季節を快適に過ごすための養生についてお伝えします。
- ストレスの多い現代社会では副交感神経が働きづらくなりがちで、体調不調の原因に
- 自律神経を整えるには体のストレッチなどが有効。血流の改善には軽い運動が効果的
- 「肝」が乱れやすい春はリラックスできる時間を増やしたい。心身の不調には漢方も
よく聞く自律神経って、何?!
白井 栄里奈well2 Lab代表
薬剤師
「自律神経」という言葉はよく耳にしますが、実際にどのようなはたらきをしているのか、よく分からないという方も多いと思います。
私たちは、意識して心臓や胃腸を動かしているわけではありませんよね。これらを自動的にコントロールしているのが、自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は体を活動モードにする神経で、いわば「戦う時の神経」。仕事が忙しい時や、緊張している時などにはたらきます。
一方、副交感神経は休んでいる時にはたらく神経で、家でゆっくりお風呂に入ったり、リラックスしている時に働きます。
ところが現代社会では、交感神経のスイッチが入りっぱなしになり、副交感神経がはたらきづらい状態の方がとても多いのです。
その結果、
- 夜になっても頭の中で考え事がぐるぐるする
- 眠りが浅く途中で起きてしまう
- 精神的な疲れを感じる
といった状態につながることがあります。
また、胃腸は副交感神経が働くことで動くため、お通じが悪くなる、胃もたれがするといったお腹の不調が出ることもあります。
自律神経をコントロールしているのは脳の視床下部。そのため、脳の血流を良くすることは自律神経の調整にもつながります。
仕事が忙しいなど緊張した状態が続くと、夜の眠りが浅くなったり、お腹に不調が出たりすることも自律神経と血流を整える
自律神経を整えるためには、
- 寝る前や起きた時にストレッチをする
- 夜に少しあつめのお風呂に入り体を温める
- 朝日を浴びる
- アロマなどを活用してリラックスする
といった習慣が役立ちます。
また、寝る直前までスマートフォンを見る習慣も、自律神経の乱れにつながる原因の一つです。寝る前はスマホから少し距離を置き、充電する時も体から離しておくとよいでしょう。
さらに、血流を改善させるためにできることとして、運動習慣も大切です。
疲労が強い時や気分が落ち込んでいる時などは、無理して筋トレをする必要はありません。軽いストレッチやヨガ、ゆったりとした散歩など、体をゆるやかに動かすだけでも血流は改善されます。
軽いストレッチをするだけでも血流が改善自律神経を整える漢方
春は東洋医学では、「肝(かん)」が乱れやすい季節とされています。
「肝」とは、肝臓だけでなく、気の巡りや自律神経、筋肉、目、感情のコントロールなどにも関係する働きを含む概念です。
この「肝」のバランスが崩れることで、
- イライラする
- 気分が落ち込みやすい
- 疲労感が抜けない
といった症状が起こりやすくなるのです。
こうした不調に用いられる代表的な漢方薬をご紹介します。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスが蓄積してイライラしてしまう方や、胃腸の調子が悪い方に向いている漢方薬です。気の巡りを整えながら心身のバランスを調整する処方で、男女ともに使うことができます。
感應丸氣(かんのうがんき)
「氣」のめぐりを良くしてくれる漢方薬です。緊張や不安でドキドキする、気持ちが落ち込む、気が塞ぐような感覚がある方に向いています。
香りの強い生薬が使われており、舐めて服用するのがおすすめの漢方薬です。
自律神経が乱れやすくなる春は、いつもより少しリラックスする時間を増やしたり、意識的に休息を取ったりすることが大切です。
こうした時間をつくることは、決して「さぼる」ことではありません。
心と体を整えることで日々のパフォーマンスを向上させる、立派な健康投資です。
長い冬を終え、植物も芽吹きはじめる季節。
体のリズムを整えながら、春という変化の季節を心地よく過ごしていきましょう。













