株価指数などへの連動を目指すインデックスファンドは、まさに“手数料競争”のまっただ中。そこへ新たに参戦したのが、世界的な資産運用会社のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)です。なぜ今、日本の個人投資家に向けて低コストの投資信託を打ち出したのでしょうか? 同時期に追加された海外ETFについても紹介します。

  • プロ向けの運用戦略を個人投資家に提供するSSGAの新しいインデックスファンド
  • 人気の全世界株式や米国株式だけでなく、隔月分配型の債券ファンドも用意
  • 海外ETFも、ESGやサステナビリティ関連の銘柄など11本を新たに追加

業界最低水準の手数料を実現できた3つの理由

投資信託を保有しているときにかかる手数料を「信託報酬」といいます。この信託報酬が比較的低いのが、インデックスファンドと呼ばれる、市場平均への連動を目指す投資信託です。運用担当者が銘柄を選択するアクティブファンドと異なり、銘柄選択にまつわるコストがかからないのがその理由です。

近年ではインデックスファンドの間で、信託報酬の価格競争が激化しています。全世界株式や米国のS&P500指数を対象とする投資信託では、消費税込みで年0.1%を切るものも出てきています。

新しいNISAの“裏技”教えます! ニッセイアセットマネジメントの情報発信&資産運用アプリ

そんな中で新たに登場したのが、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下「SSGA」)のインデックスファンドシリーズ『SSGAインデックス・シリーズ・ライト』です。以下の7本の投資信託が、2024年1月11日に設定されました。

最大の特徴は、投資対象資産ごとの信託報酬がほぼ業界最低水準ということ。なぜ、このような低コストの商品を実現できたのでしょうか? SSGAの担当者によると、

  1. 日本の機関投資家(年金基金や生損保などの、個人から集めた資金を運用する大口投資家)に提供している既存の運用戦略を活用していること。
  2. 徹底したコスト削減の方針。たとえば、目論見書の印刷費用を抑えることに同意してくれる販売会社を想定しています。
  3. 全世界で機関投資家を対象としたインデックス運用の経験と実績があり、従来から低コストでETFなどを提供してきました。

とのことでした。つまり、『SSGAインデックス・シリーズ・ライト』を立ち上げるために、採算度外視で新たにインデックス運用を始めたわけではなく、もともとはプロの投資家が対象だった既存の運用戦略を、個人投資家にも提供し始めたということです。

SSGAはインデックス運用の先駆者であり、世界的な資産運用会社

そもそもSSGAとは、どのような資産運用会社なのでしょうか? 日本の個人投資家にとってはなじみが薄いかもしれませんが、機関投資家の世界ではたいへん有名な会社です。SSGAの担当者にうかがいました。

トラリピインタビュー

ステート・ストリートは米国ボストンに本拠を置き、230年以上の歴史を持つ金融グループで、その資産運用部門がSSGAです。2023年12月末時点で約4.1兆ドルの資産を運用しており、世界第4位の資産運用会社です(Pensions & Investments Research Center、2022年12月31日時点)。

過去40年にわたり、インデックス運用やETF、ESG投資の先駆者として、新しい世界を切り開いてきました。日本でも25年にわたって、機関投資家をはじめとするお客さまに向けて、コスト効率に優れたアクティブ戦略やインデックス戦略を提供しています。

インデックス運用にまつわる豊富な実績が、今回設定された『SSGAインデックス・シリーズ・ライト』のコストパフォーマンスを支えているようです。

株式型だけでなく、隔月分配型の債券型も

『SSGAインデックス・シリーズ・ライト』は、株式を投資対象とする投資信託が4本、債券が3本となっています。特に日本の個人投資家に人気が高い株式型のインデックスファンドに関しては、「投資未経験者や初心者層の資産形成のきっかけとして、投資信託をもっと身近なものにできるように設定しました」とのことでした。

特徴的なのが3本の債券型ファンドです。いずれも隔月分配型であり、2カ月に1回の分配を目指して運用が行われます。その特徴や使い方について、SSGAの担当者はこのように答えてくれました。

債券のインカム(利息)を原資として、無理のない範囲で安定的に分配金を提供できるような商品設定にしています。大きな値上がりを狙うのではなく、定期的に安定した分配金を狙いたいという方にご利用いただきたいと考えています。

各商品の主な投資対象は世界国債、日本国債と米国投資適格社債(格付けが比較的高い社債)であり、それぞれ値動きの大きさや期待される分配金の水準も異なります。「3ファンドを通して、債券の違いを学ぶきっかけにもしていただけると考えています」とのことでした。

『SSGAインデックス・シリーズ・ライト』が買えるのは、2024年3月時点ではauカブコム証券と松井証券の2社となっています。SSGAは「積極的に販売網を拡大していく」とのことで、同シリーズを取り扱う金融機関は今後増えていきそうです。

メルマガ会員募集中

インデックスファンドの次の一手