700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家、そして彼らと関わる様々な業界人たち・・・と書き手のバトンは次々に連なっていきます。ヒット番組やバズるコンテツを産み出すのは、売れっ子から業界の裏を知り尽くす重鎮、そして目覚ましい活躍をみせる若手まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜くユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第195回は、アニメや実写の戦隊モノでおなじみの脚本家・渡辺麻実さん。

日本放送作家協会リレーエッセイ一覧はこちらから

絶対に引っ掛かるまいと思っていたのに!!

渡辺麻実さんの写真
渡辺麻実(わたなべ・まみ)
脚本家
日本放送作家協会会員

所用で久方ぶりに新宿に出た、あの日は10月なのに、気温が30度超えだった。
いや、気候のせいもあるかもしれないが、慣れているはずの街で2度『遭難』。
まずは歌舞伎町で映画を観に行くのに、地下通路を上がったら
「え? 区役所通り?」
ご存知の方なら「何やってるの?!」と思われるだろう。
それでもとりあえず方向は分かったので、地下道に潜らずに映画館の方向に引き返した。
すでにここで、頭は沸き始めていたかもしれない。
やっとお目当ての映画を鑑賞できた。
が、帰りにまた一騒動。新宿駅の西口で
なんで小田急線の改札にしかいけない?!
この段階で既に歌舞伎町遭難と合わせると、炎天下を2時間近く彷徨っていた。フワフワしながら帰宅したが、既に脳内沸騰は一晩寝たくらいでは収まらなかったらしい。

新しいNISAの“裏技”教えます! ニッセイアセットマネジメントの情報発信&資産運用アプリ

翌日、午前中からPCに齧りついていて、小休止とSNSを覗くと大物タレントのトーク記事。
読んでいるうちに既に沸騰頭に催眠がかかってしまったのかもしれない。

いわゆる「投資詐欺」だ。

いつもなら、途中で引き返すことができたのに、頭が沸いていることに気づいてない私はフラフラと、滅多に出ない「家電」の電話番号を入れた途端、かかってきたではないですか!!

タドタドしい日本語の女性の声に、いつもならここで切る、はずなのに、なぜかスマホの電話番号を教えてしまった!(なぜ、教えた?!……頭、沸いてたからです)
普段はほとんど使ってないクレジットカードまで教えた。
なんてこったい!
ここでタドタドしい日本語から解放され、一旦、電話を切って責任者からの電話を待つように言われた。
約20分ほど、待つがかかってこない。
ここでやっと沸騰していた頭にカチ割り氷投入開始。

スマホを操作する女性のイメージいつもなら、途中で引き返すことができたのに、頭が沸いていることに気づかずに番号を教えてしまった……。

一気に始めた脳内クールダウン

座っているだけでAIが勝手にお金を増やしてくれるなんて話があるわけがない。
慌てて、会社名を検索して詐欺認定。
引っかかっているのだから偉そうなことは言えない。
が、返す刀でクレジットカード会社に電話すると、どうやら金額を言っただけで、「こちらでもおかしいと思って止めたのですが」(素晴らしい!!)
「すみません、詐欺ですよね? これって?」
カード会社の落ち着いた対応に、私は少し声が震えていたかもしれない。

で、詐欺会社からの折り返し電話の時間が約束の10分程過ぎた頃、家電が鳴った。
カード会社とはスマホで話していたので、絶対に切り替えない。
電話にもでない。
カード会社とその場で、速攻、カードの破棄と新規登録をお願いした。

たくさんのクレジットカードのイメージ全てのカード会社に連絡し、カードの破棄と新規登録をお願いすることに。

いつもなら電話で誘導されそうになると、絶対に途中で切るのに、いやいやその前に誘導されてPCに個人情報打ち込むか?!
前日の新宿遭難で頭が沸いていて、翌日は午前中からPCに齧りついていたために「沸いている自分」に気が付かず、ひっかかった、初めての詐欺…。疲れているからといって、SNSは気分転換にはならない。
大きな落とし穴もあるのだと学習(今更?)。
もちろん、全てカード会社と連携して、何もかも新しくしたが、それでも次の決済の時期をビクビクして待っている、自分が我ながら情けない。頭が沸いている時に余計なことをしてはいけないと自戒を込めて……泣かないもん!

次回は青木江梨花さんへ、バトンタッチ!

ぜひ、ご覧ください!

『重戦機 エルガイム』40周年記念公式サイト

放送40周年を迎えた『重戦機エルガイム』の全TVシリーズ、OVA、設定集や当時のメンバーのインタビューや座談会、幻のカセットドラマの復刻等が詰まった集大成が発売されます。よろしければ一家に一セット!

『重戦機 エルガイム』画像
一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

メルマガ会員募集中

ESG特集