住宅ローンを借り換えることで総利息額を削減できることがあります。返済期間を短縮したり、毎月の返済額を減らしたりと、より返済しやすく調整することも可能です。しかし、借り換えは常に成功するとは限りません。どのような失敗が想定されるのか、失敗を回避するためには何ができるのかについてまとめました。
- 金利上昇の前に住宅ローンを借り換えておきたいと考える人が増えてくる?
- 低金利の住宅ローンへの借り換えが必ず成功するとは限らない
- 審査に通らない、トータルコストでむしろ損するなど、失敗パターンを知っておく
世界の金利は上昇傾向にある
世界の金利は上昇傾向にあります。アメリカでは急速な利上げが実施され、住宅ローンの金利も急上昇しています。例えば、30年の固定金利型住宅ローンの金利は2022年10月時点で平均約年7%となっており、2001年以来の高水準となりました。
日本では、日銀が金融緩和政策の修正を行ったものの、今もゼロ金利政策は続いており、住宅ローンの金利に大きな変化は見られていません。しかし、今後、世界的な金利上昇の波の影響を受ける可能性や、日銀がさらなる緩和の修正を行う可能性があり、大幅な上昇が起こらないと断言することはできません。金利上昇の前に住宅ローンを借り換えておきたいと考える方も増えてくると予想されます。
借り換えの失敗例と対応策は?
住宅ローンは返済期間が長いため、契約した時点から金利情勢が大きく変わることも珍しくありません。利用中の住宅ローンの適用金利が現在の水準よりも高いのであれば、借り換えをすることで利息削減を試みることができます。
しかし、低金利の住宅ローンへの借り換えが必ず成功するとは限りません。ここでは、借り換えの際によくある失敗例とその対応策を紹介します。借り換えを申し込む前にご確認ください。
ケース① 審査に通らなかった
住宅ローンを借り換えるときには、必ず審査が実施されます。利用中の金融機関でローンの条件を変更する(例:返済期間を長くする、毎月の返済額を減らすなど)だけでも審査があり、審査に通過しないときはローンの変更はできません。
借り換えをしようと書類を提出したものの、審査に通らず、借り換えができないという可能性は十分に想定されます。例えば、審査では担保となる物件の価値を確認されますが、担保評価が大幅に下落しているときは審査通過が難しくなるでしょう。
また、団体信用生命保険の加入が条件となる場合、申込者の健康状態も確認されます。健康状態が思わしくない場合には、団体信用生命保険に加入できず、住宅ローンの借り換えも実現できない可能性があります。
審査に通らないケースに備えて、複数の金融機関に審査を申し込んでおきましょう。審査基準は金融機関ごとに異なるため、担保や申込者が同じでも審査に通過する可能性があります。
ケース② トータルコストでは借り換えしないほうが得だった
低金利の住宅ローンに借り換えても、利息が減るとは限りません。利息は金利だけでなく返済期間の影響も受けるため、利用中のローンよりも返済期間を長く設定すると、総利息額が増えることもあります。
また、総利息額が減ったとしても、トータルで見れば損をするケースもあるため注意が必要です。借り換えの際には事務手数料や保証料などの諸費用が発生するため、諸費用も加えた総支払額が減るのかどうか調べてから申し込むようにしましょう。
ケース③ 変動から固定に借り換えたが変動金利は低いままだった
これから金利が高くなると予想し、変動金利型から固定金利型のローンに借り換えるケースもあります。しかし、変動金利の適用金利が思うように上昇しない場合は、固定金利型で借りるほうが高金利となり、総利息額も高額になるため注意が必要です。
金利上昇のタイミングを見分けるのは、簡単ではありません。慌てて借り換えをすると、かえって損をすることにもなりかねません。ただし、将来の金利上昇がどうしても不安なら、返済額が増えるのを覚悟のうえで固定金利に切り替えるのも一案です。固定金利なら、金利がどう動いても一喜一憂せずに済むでしょう。