国が「男女共同参画」や「女性活躍」をスローガンに掲げ、日本でもようやく女性の活躍する場が少しずつ広がってきました。一方で、妊娠中の女性を支える体制はまだまだ不十分であり、真の女性活躍には妊婦さんへの社会的なサポートが欠かせないと、MamaWell代表取締役の関まりかさんは言います。助産師として出産に立ち会い、大学院で「妊婦の運動」に関する研究活動をしてきた関さんがMamaWellを創業し、妊婦さんのためのサービスを立ち上げた理由や思いについて、お話をうかがいました。

関まりかさん

株式会社MamaWell 代表取締役
関まりかさん
1991年富山県生まれ。助産師として4年間総合病院で勤務し、千葉大学大学院に進学して「妊婦の身体活動」をテーマに研究を行う。自身の経験や研究成果を生かし、同大学院在籍中の2022年にMamaWellを設立。千葉大学・筑波大学発ベンチャーに認定される。2020年に第一子を出産し、一児の母として子育てにも奮闘している。

専属の助産師さんが、ウェアラブルデバイスのデータに基づいてアドバイス

MamaWellのサービスについて教えてください。

関さん MamaWellでは、助産師とデジタルヘルス技術をかけ合わせた「妊婦伴走サポートサービス」という、妊婦さんが健康に働くためのサポートをしています。妊婦さんひとりひとりに専属の助産師が付いて、妊婦さんのヘルスデータに合わせてプランニングを行うというものです。

妊婦さんにはウェアラブルデバイスを無料でレンタルします。そのデータを助産師が遠隔で見ながら、適切な仕事量や活動量を維持できるように健康のモニタリングをして、週1度のフィードバックと生活のプランニングを行います。このほか、妊婦さんに困ったことや不安なことがあれば、いつでもチャットで相談できます。すべてオンラインで完結するサービスです。

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妊婦さんの健康の維持や増進はもちろん、ご自身が気付かない小さな兆候にも助産師が気付いていち早く対応することで、異常の予防や早期発見、改善ができます。何より、医療者が常に妊婦さんのそばにいるという安心感が、妊婦さんの不安の解消や、孤立化を防ぐことにつながります。

妊婦さんにとっては、特に初産の場合は不安が大きいでしょうし、一方で仕事もできる限り続けたいという方も多いかと思います。関さんも過去に助産師の経験があるということで、実際に妊婦さんと触れ合う中で、妊娠と仕事のバランスに関して問題意識などあったのでしょうか。

関さん 私は総合病院で助産師として4年間勤務して、100人以上の赤ちゃんを取り上げてきました。その過程で、多くの妊婦さんが流産や早産を心配して、体を動かすのを必要以上に控える姿を見てきました。

本来は妊婦さんも適度な運動をすべきなのですが、そうした知識を持っている方は非常に少なく、なおかつ妊婦さんの運動について正しい情報を得られる機会がほとんどないことに、助産師として違和感を抱いていました。

トラリピインタビュー

そんな違和感を解消したいという思いと、これまでの経験を生かしてキャリアチェンジをしたいという思いから、千葉大学大学院に入学して、「妊婦の運動」について研究を始めました。そして、研究で得た知識をより多くの方に、より早く知ってもらえるにはどうすべきかと考えたときに、「起業しよう」と思い立ち、在学中の2022年にMamaWellを設立しました。

MamaWellのサービス
医学に基づいた知見とウェアラブルデバイスからのデータをもとに、妊娠中の女性の活動や体調管理について助産師がオンラインでサポートする(MamaWellのホームページより)

企業主体の利用を想定。2月末までは利用料が無料に

妊婦さんがサービスを利用するには、どうすればいいのでしょうか?

関さん 妊娠や出産にまつわる負荷やコストは妊婦さん個人だけでなく、社会全体で分け合えるような世の中がいいなと思っています。MamaWellのサービスの利用料についても、できるだけ個人の方から直接いただかない仕組みをつくりたいと思っていました。企業様や健康保険組合様がサービスを導入して、社員様が無料でご利用いただけるようにしています。

とはいえ、企業様もすぐに導入するのは難しいでしょうし、「妊娠してもできる限り働きたい」という個人の方からのニーズもあるので、個人様でのご利用も受け付けています。

サービスを利用される企業は、どういった業種で、どれくらいの規模が多いのでしょうか?

業種は、新聞社や金融関係、食品関係などさまざまです。規模も従業員が200人くらいの企業様から、何千人、何万人のところまで幅広くご利用いただいています。利用者数に応じた料金体系なので、どんな規模の企業様でも導入しやすいようになっています。

MamaWellは経済産業省の「補助事業者」に採択されたそうですね。

関さん はい、働く妊婦さんをサポートするという事業内容で評価をいただいて、2023年度の「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の補助事業者に採択されました。

経済産業省 令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の補助事業者に採択

現在、補助事業の募集は終了していますが、引き続きモニター利用者を募集しています。この機会に、ぜひお問い合わせ・ご登録いただければと思います。

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