700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家、そして彼らと関わる様々な業界人たち・・・と書き手のバトンは次々に連なっていきます。ヒット番組やバズるコンテツを産み出すのは、売れっ子から業界の裏を知り尽くす重鎮、そして目覚ましい活躍をみせる若手まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜くユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
今回は、連載第201回にして今年最後の一本。数々の人気バラエティー番組を担当する高須光聖さんにご登場いただきました。

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おばさんは観光地土産の値段をあまり気にしない

高須光聖さんの写真
高須光聖
放送作家
日本放送作家協会会員

12月も末になり、お正月が近くなると、僕らみたいに地方から東京にやってきた者はなぜか故郷が恋しくなる。新幹線も混んでいるのに両親の元にわざわざ帰省するのだ。そんな時に必ず買って帰るのが「東京土産」。品川駅のお土産物売り場はそんな帰省客が溢れかえっている。一人何個も買ってすごいことになっている。

うちの母もそうだが、野菜の値段が10円安くなるだけで自転車に乗って隣町のスーパーにまでわざわざ買いに行くくせに、ことお土産になると、あんなに緻密に動く金銭見極め機能が全然作動しなくなるのだ。

有名な観光地へ行った喜びからなのか、買って帰る人の人数ばかり指を折りながら、値段もろくに見ないで、買い物かごにいっぱいにしてレジに並んでいる。お土産物売り場には旅行客を惑わす魔物が住んでいるのだ。

東京土産のイメージ人は、お土産になると、「金銭見極め機能」が作動しなくなるのかもしれない 
写真:Fadhli Adnan / Shutterstock.com

全国お土産反対同盟が発足

こんな無駄なものはないとあのタレントのカンニング竹山がテレビで吠えていた。彼は「全国お土産反対同盟」なるものを作っているという。

彼に言わせると、これまで何度もお土産を人からもらってきたが、本当に心の底から喜んだとことなどただの一度もないと。さらに彼は続ける。じゃ〜貰った瞬間に「やったー」と叫びながら、飛び跳ねるほど喜んだことはありますか?

トラリピインタビュー

そう言われるとなんとも言葉を失ってしまう。確かに僕も心の底から喜んだことはないのかもしれない。家に持ち帰ってからも、なんとなく置いてあるから口に入れているだけで、食べる度に「最高だ〜〜〜っ!」と叫びたくなるほど喜んだことはない。

ただモノはなんであれ、自分のことを旅行先で思い出してくれていることが嬉しいという人もいるが、それは本当だろうか?

竹山曰く、ハワイのお土産だと言って、アロハと書かれた栓抜きを貰って嬉しいですか? 絶対に次の引越しで捨てるはずと豪語していた。もらった観光土産は自分の思い出のただの押し付けにすぎないと。

やばい! 僕はすでに全国お土産反対同盟の広告塔になっている。

次回は山田美保子さんへ、バトンタッチ!

ぜひお聴きください!

空想メディア

毎週日曜日深夜1時より「空想メディア」(TOKYO FM)でラジオパーソナリティーとして出演中。世の中をもっと面白くするために、様々なゲストをお招きし、勝手に企画を空想していく30分です。

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一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。