「毎月決算型」「毎月分配型」と呼ばれる、分配金を毎月支払うことを目指して運用する投資信託(ファンド)の中には、「予想分配金提示型」という分配方針を取るファンドがあります。今回は、予想分配金提示型の仕組みやメリット・デメリット、注意点について見ていきます。

  • 予想分配金提示型は、あらかじめ分配金額が提示されている投資信託
  • 分配金額が予想でき、分配金による基準価額の下落を抑えられるのがメリット
  • 分配金がゼロになるリスクがあり、毎月分配金を受け取りたい方には不向き

毎月決算型の投資信託(ファンド)とは?

毎月決算型(もしくは毎月分配型)とは、決算頻度が年12回のファンドのことです。一般的に分配金を毎月支払うファンドがこの型にあたります。

毎月決算型は、2024年1月にスタートする新しいNISAの対象から除外されています。除外された理由は、ファンドの純資産から毎月分配金を支払うので、純資産が増えづらい(複利効果が期待しづらい)点です。

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しかし、一般社団法人投資信託協会が発表している「投資信託概況」を見ますと、すべての株式投資信託(株式を組み入れて運用できる投資信託)の中でファンド数、純資産総額とも20%前後のシェアがあり、現在も投資家から一定の需要があるジャンルと言えます。

【図表1】毎月決算型の投資信託の割合ファンド数
年月 株式投資信託(ETF除く) うち
毎月決算型
比率
2023年9月 5,591 1,069 19.1%
2023年6月 5,578 1,094 19.6%
2023年3月 5,559 1,104 19.9%
純資産総額(億円)
年月 株式投資信託(ETF除く) うち
毎月決算型
比率
2023年9月 1,003,583 206,009 20.5%
2023年6月 989,259 209,804 21.2%
2023年3月 889,358 193,662 21.8%

出所:一般社団法人投資信託協会「投資信託概況」より筆者作成

予想分配金提示型とは?

今回の主題である「予想分配金提示型」は、基準価額の水準に応じて、あらかじめ分配金の額が提示されている方式です。ただし「予想分配金」とあるように、該当する基準価額になっても、確実に提示された金額の分配金が受け取れるとは限りません。

予想分配金提示型ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)には以下のように、基準価額の水準と分配金の額を示した表が載っています。

【図表2】予想分配金提示型の一例
毎計算期末の前営業日の基準価額 分配金(1万口当たり、税引前)
11,000円未満 基準価額の水準を勘案して決定
11,000円以上12,000円未満 200円
12,000円以上13,000円未満 300円
13,000円以上14,000円未満 400円
14,000円以上 500円

一般的に11,000円以上で基準価額が推移していれば、提示された分配金を受け取れる可能性が高くなります。11,000円未満は「基準価額の水準を勘案して決定」とありますが、設定当初の基準価額10,000円を下回った場合、分配金は支払われないと考えておいたほうがいいでしょう。
それ以外のケースとして、前の決算から当該決算までに基準価額が急激に変動した場合も、上記の予想分配金が支払われないことがあるようです。

予想分配金提示型のメリット・デメリット

予想分配金提示型のメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  1. 基準価額の水準により提示されている分配金を参考に、保有口数に応じて受け取れる分配金額が予想できる。
  2. 市場低迷などにより基準価額が下落(10,000円以下などに)している時には、分配金が支払われないため、分配金による基準価額のさらなる下落を抑えられる。
  3. 上の例のように、基準価額14,000円以上の分配金を500円と設定しているファンドでは、基準価額が14,000円を大きく上回って推移した場合、純資産の増大による含み益が期待できる。

逆にデメリットとして挙げられるのは、購入後に市場が変化(低迷)により基準価額が下落して推移した場合に、期待した分配金を受取ることができなくなるリスクです。
特に、基準価額が10,000円を下回って推移した場合には、毎月の分配金を期待してファンドを選ぶという当初の目的から外れた運用になってしまう可能性が高くなります。

予想分配金提示型ファンドに投資する際の注意点

一般的な毎月決算型(毎月分配型)ファンドは、基準価額の水準により支払われる分配金の金額は上下しますが、0円になる可能性はほとんどありません。しかし、予想分配金提示型の場合、市場環境などの要因により基準価額が10,000円を下回って推移した場合、その間分配金が0円になるリスクがある点に注意しましょう。

市場環境が好転した場合、一般的な毎月分配型に比べ基準価額の回復が早いという良い点がありますが、基準価額の変動により分配金額が上下しても、毎月継続して分配金を受け取りたい方には不向きと言えます。

予想分配金提示型の分配金は運用が上手くいっている時に受け取れるものと考え、市場環境などにより運用がうまくいかない時期もあることを想定しておくことが必要です。

以上、予想分配金提示型の仕組みやメリット・デメリット、利用の際の注意点について見てきました。

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