現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第34回は、パワーエレクトロニクス機器などに強みを持つ重電メーカー、富士電機(6504)を取り上げます。

  • 富士電機はパワーエレクトロニクス機器などに強みを持つ重電メーカー
  • 電力を制御するパワー半導体にも強み。次世代パワー半導体の開発投資も
  • 22年10月に通期の業績見通しを上方修正。業績から見ると株価は割安感あり

富士電機(6504)はどんな会社?

富士電機は産業の電力を使うのに欠かせないパワーエレクトロニクス機器などに強みを持つ重電メーカーです。

パワーエレクトロニクスとは電力を使用するため適切に変換するための技術です。家電製品やモーターなどの電気機器は、直流や交流などの適切な電気の種類と電圧を供給することで動作します。

富士電機は1923年(大正12年)に古河電気工業とドイツの重電メーカーのシーメンスが資本・技術提携を行い、富士電機製造として創業しました。その後、1935年に電話部門が独立して設立された富士通信機製造は現在の富士通に当たります。

当初はモーターや変圧器などを手がけていましたが、水力・火力発電用の設備なども製造するようになりました。ちなみに地熱発電用の発電設備では富士電機は世界トップシェアです。

1969年(昭和44年)には電力や温度の管理の技術を活かして自動販売機を発売しました。現在では中国・日本・東南アジアの飲料自販機市場では、トップシェアとなっています。

富士電機(6504)の強みは?

富士電機のもう一つの強みは電力を制御するパワー半導体です。

パワー半導体とは大きな電流や高い電圧を扱うことができる半導体です。モーターを回したり、電圧、交直流を変換したり、安定した電源を供給したりできるのが特徴で、EV(電気自動車)、工作機械、電力インフラ、電車などで使われています。

最近ではEVやハイブリッド車向けのパワー半導体の需要が伸びています。これらの自動車の生産台数は同社の予測によると2019年から2023年まで年率約40%と急速に増加しています。

さらに従来品より高性能で耐久性が高く、小型化の可能な次世代のパワー半導体の開発投資も手がけており将来の市場の拡大が期待されています。次世代のパワー半導体は材料に炭化ケイ素(SiC)を使うことにより高性能化を実現しています。

富士電機(6504)の業績や株価は?

富士電機の今期2023年3月期は売上高が前期比8%増の9850億円、営業利益が16%増の870億円を見込んでいます。

22年10月に円安進行や業績好調を受け、通期の業績見通しを上方修正しました。同時に発表した22年4〜9月期決算ではインフレによる原材料価格の高騰や中国のロックダウンの影響もありましたが、データセンター向けや産業向け変電機器などの販売が増えました。

1月6日の終値は5130円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約52万円です。

富士電機(6504)の株価(2021年1月~、月足)
富士電機(6504)の株価チャート

株価は22年は5000〜6000円のボックス圏で推移していましたが、相場全体が調整したこともあって昨年末には4950円をつける場面がありました。このまま、下落トレンドが続く場合は20年8月の安値4370円を展開も想定されます。

しかし予想利益から株価の買われている度合いを示す予想PER(株価収益率)は12倍台と市場平均並みであり、業績から見ると株価は割安感があります。

富士電機はかつては重電インフラの老舗として有名でしたが、昨今の脱炭素志向の高まりで、省エネやEVに不可欠なパワーエレクトロニクスの技術やパワー半導体の需要が本格化しています。

また、2024年にかけては次世代のパワー半導体の生産能力を強化するため投資を進めています。富士電機のパワー半導体への投資は2023年までの5年間で1900億円にものぼっており、将来の業績拡大への期待が持てそうです。

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