豊かな人生に欠かせない健康。マネーを投資するのと同じように、健康にも価値を見出してライフスタイルをより充実したものに! 漢方薬にも詳しい薬剤師の視点で、健康投資に役立つ話題を毎月ゆるっとお伝えしていきます。
年の初めは疲れをとりながら、頭も体もクリアに、パワフルでいたいものですよね。素晴らしい一年の計を立てるには、事前準備が大切。お酒のお付き合いや、暴飲暴食からのリカバリーは、その先の明るく元気な1年へとつながります。除夜の鐘を聴いて百八の煩悩を取り去るように、健康投資にもコツコツ取り組んでまいりましょう。

  • 年末年始の疲れた胃腸はリカバリーが大切。漢方薬や健康食品に頼るのもあり
  • 大根おろしや千切りキャベツなど、消化を助ける食材を採り入れる
  • 食べない時間をつくって、胃腸を休ませることもリカバリーには有効

前回の記事では、お酒のダメージを最大限にリカバリーする方法についてお伝えしました。

忘年会シーズンのダメージを最低限に!

白井 栄里奈白井 栄里奈
well2 Lab代表
薬剤師

年末年始のシーズンは、お酒だけでなく、夜遅い食事や、脂っこい料理、しめの炭水化物などが重なり、胃腸はフル稼働状態に。体がだるくなり、思考が停滞してくることも。
「胃が重い」「朝からだるい」「食欲がない」
そんなサインは、胃腸からの休ませてほしいというメッセージです。

アート投資を資産形成に!

東洋医学では、胃腸は食べたものをエネルギーに変え、血や気を生み出す要の場所。体の一番の中心となる土台の部分です。
だからこそ、年末年始の疲れきった胃腸をそのままにせず、しっかりとリカバリーしておくことで、最高の一年のスタートダッシュを切れるのです。

食べすぎ食べすぎをしがちな年末年始。冬休みのうちに胃腸のリカバリーを!

食べ過ぎた胃腸をいたわる漢方薬

食べ過ぎてしまった状態を、東洋医学では「食積」と呼びます。文字通り、食が積み重なり、消化が追いつかず停滞している状態。この「食積」を改善するのに、心強い漢方薬があります。

加味平胃散(かみへいいさん)

あまり聞き馴染みのない漢方薬かもしれませんが、消化不良、腹部膨満感、食欲不振、胃腸虚弱、急性胃炎、慢性胃炎に使われる漢方薬です。食べすぎて弱った胃腸の働きを立て直し、消化を促進してくれる効果があります。

この漢方薬には、山楂(さんざし)、神麹(しんぎく)、麦芽(ばくが)という消化を促進してくれる3種類の生薬が入っています。
山楂は、中華料理の食前などに食べるお菓子として、見たことがある方もいるかもしれません。脂っこい食事や肉類の消化を助けることで知られています。

さんざしのお菓子お菓子を通じて摂取できる山楂(さんざし)

消化を促進するお助けアイテム

実は、先ほどご紹介した「山楂・神麹・麦芽」だけを配合した健康食品も販売されています。

参楂神(さんざしん)/コタロー製薬
晶三仙(しょうさんせん)/イスクラ製薬

「今日は胃もたれしそうだな」という食事の前後に取り入れると、消化のサポートに役立ってくれます。

また、医薬品として、脂質を分解するのに必要な胆汁が含まれる消化剤(医薬品)もあります。

新ガロール錠(医薬品)

胆汁末、ビオヂアスターゼ(消化酵素)、ウコンなどが含まれており、食べすぎ、飲みすぎ、胸やけ、二日酔い、もたれなどに効能効果が認められています。特に脂っこいものでもたれやすい方に向いている医薬品です。

これらの製品は、漢方相談薬局を中心に取り扱いがありますので、お近くの店舗にぜひお問い合わせを!

消化力UPのための、食生活のワンポイント

漢方やサプリメントだけでなく、食生活でも胃腸のリカバリーは可能です。

大根おろし千切りキャベツは、消化酵素を多く含む食材。普段の食事に少し添えるだけでも、胃腸の負担を軽くしてくれます。
ただし熱を加えると消化酵素の働きが失われてしまうため、あくまでも生で食べることが消化力UPのポイントです。

梅干しを食卓にとり入れるのも、唾液や胃液の分泌の促進につながるのでおすすめの食材ですよ。

大根おろし胃腸のリカバリーに効く大根おろし

胃腸を休ませる時間をつくる

そして最近、注目されているのが16時間断食。ダイエットが目的というより、胃腸をしっかり休ませるための方法です。
食事をとらない時間が12〜16時間ほど続くと、体は「消化・吸収モード」から「修復・リセットモード」へ切り替わるといわれています。

とはいえ、このシーズンに毎回16時間あけるのは大変なこともありますよね。

  • 週末だけは16時間空ける
  • 夜20時に食事を終えたら、翌朝8時まで食べないなど、まずは12時間空腹時間を作る
  • 夕食を少し早めの時間にする

無理しすぎず、上記のような工夫でも胃腸は休むことで力を取り戻すことができます。
オンオフをしっかり作ることが、養生の基本です。

ついこの時期だけは……と見過ごしてしまいがちな、胃腸の小さな不調。けれどそれは、体からの大切なメッセージです。
1年間頑張ってくれた、自分の胃腸。食生活の少しの工夫や解決策を知っておくことは、自分の体をきちんと整え、コントロールできるという自信にもつながります。

年末年始こそ、未来の自分への健康投資を。その積み重ねが、軽やかな一年のスタートをつくってくれるはずです。