どんな場面でも常に高いリターンを上げられる金融商品はありません。どんな金融商品にも必ず「得意な局面」と「苦手な局面」があります。現役証券アナリストの佐々木達也さんが、今人気の金融商品や注目セクターの「とくい」と「にがて」を徹底分析する連載。第7回のテーマは「高配当株」。国内株式市場が史上最高値圏で推移する今だからこそ、高配当株投資の強みと弱みを見極めることが大切です。

  • 東証の要請や「物言う株主」の圧力により、上場企業は株主還元をかつてなく強化
  • 高配当株投資は個別株だけでなく、投資信託やETFも活用した投資もできる
  • 高配当株は下落局面やボックス相場で魅力が高まる。金利上昇局面は不得意

高配当株投資とは?

高配当株投資とは、株価に対する予想配当利回りが高い銘柄に投資する手法です。配当という現金収入(インカムゲイン)を定期的に受け取ることを目的とし、わかりやすいことから投資初心者にも人気の手法です。

東証は2023年以降、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業に対し「資本コストや株価を意識した経営」を強く要請しました。株主が期待するリターン(自己資本コスト)に応えるため、企業は余剰資金を積極的に還元する姿勢へ転換しています。

アート投資を資産形成に!

「資本コストや株価を意識した経営」に関する「課題解決に向けた企業の取組み事例」の公表等について(日本取引所グループ 2025年12月26日)

具体的には、利益の何割を配当に回すかを示す「配当性向」の下限設定や、減配せず配当を維持・増額し続ける「累進配当」を明言する企業が急増しました。
投資家への還元を強化することで株価の水準訂正を狙うこの動きは、日本株全体の配当魅力を高める大きな原動力となっています。

さらに物言う株主(アクティビスト)の圧力もあいまって、日本企業はかつてないほど「配当の継続性と水準」を重視するようになっています。

高配当株に投資する方法は?

具体的に高配当株に投資するにはどのような方法があるでしょうか?

個別株投資

証券口座を通じて、個別株の高配当株に投資する方法が一般的でしょう。証券会社の取引ツールなどでスクリーニング(条件検索)して、「配当利回りが~%以上」などの条件で探すこともできます。

ただし、配当利回りはあくまで予想で、確定したものではありません。配当利回りが高くても業績が悪化している銘柄は減配のリスクもあります。配当利回りだけでなく、利益の何割を配当に回しているかを示す「配当性向」や配当を増額し続けた「累進配当」の実績なども加味して銘柄を選ぶと良いでしょう。

投資信託を通じた投資

個別株を選ぶ自信がない方は、ファンドマネージャーに運用を任せる投資信託も選択肢の1つです。

指数に連動するインデックス型で残高が多く人気が高いのは、SBIアセットマネジメントの『SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)』です。残高に対してかかるコストである信託報酬が低いのも人気の背景となっています。

ファンドマネージャーが銘柄を選んで運用するアクティブ型では、野村アセットマネジメントの『日本好配当株投信』も残高が多く投資家に支持されています。

ETFを通じた投資

個別株と同じく市場で自由に売り買いでき、手数料が低めのETF(上場投資信託)を通じた投資もおすすめです。

中でも『NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信』(1489)は、1月に純資産総額が5000億円を突破した、国内でもっとも人気の高配当株のETFです。日経平均株価の構成銘柄の225社の中から、高配当企業50社にまとめて分散投資できます。

【図表】『NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信』(1489)の市場価格の推移(上場来~2026年1月23日、月足)
『NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信』(1489)の市場価格の推移(上場来~2026年1月23日、月足)

高配当株投資の得意局面と苦手局面は?

得意な局面:下落相場やボックス相場

高配当株が本領を発揮するのは、相場全体が下落する局面や株価が決まったレンジで上下するボックス相場です。

株価が下がることにより、配当利回りが上がるため逆張りでの買いが入りやすく、下値支えとなるためです。
また、相場が一進一退のボックス相場だとしても毎年ほぼ確実に高配当というリターンを受け取ることができる点も魅力です。

苦手な局面:成長(グロース)株優位の相場、金利上昇局面

逆に、高配当株はハイテクの高成長株が大きく値上がりするような相場展開では、相対的に魅力が下がるために相場上昇に対して出遅れがちになります。「株価が上がるから買う」といったモメンタム(勢い)が付いた相場では、投資家の目はどうしてもそちらに向かいがちです。

また、金利が上昇するような局面も苦手となります。金利が上昇する局面では、リスクの少ない債券のほうがリターンを狙いやすく、利回りが高くても価格の変動リスクのある株式の魅力が薄れてしまうためです。

高配当株の活用法と注意点

  • 配当利回りが相対的に高い株式に投資することで、定期的な現金収入(インカムゲイン)を狙う投資
  • 個別銘柄に投資するほか、高配当株を投資対象とする投資信託やETFを活用する方法もある

高配当株の得意・有利な局面

  • 下落相場では相対的に有利。配当利回りが上がり、買いが入りやすくなるため
  • 株価が決まったレンジで上下するボックス相場では、株価によらず配当が期待できるのが魅力

高配当株の苦手・不利な局面

  • 成長(グロース)株優位の局面では相対的に魅力が薄れ、株価の上昇が鈍くなる
  • 金利上昇局面では、債券など低リスクの利回り商品に注目が集まる傾向

次回(2月10日公開予定)は、日本の不動産を投資対象とするJ-REITの“とくい”と“にがて”を見ていきます。