介護が必要になった理由の1位は脳血管疾患
加齢とともに、だんだん衰える判断能力。きっと、親の介護もだんだんと必要になっていく――。その認識の半分は合っていますが、半分は間違っています。
確かに判断能力は、だんだんと衰えていきます。
健常な人と認知症の人の間には、軽度認知障害(MCI)といったグレーソーンがあることが、特にアルツハイマー型では知られています。介護と言えば認知症といった印象をお持ちの人は多いかもしれません。
けれども、介護に必要になった主な理由を並べて見ると、認知症が1位ではありません。いちばん多いのは、脳血管疾患です。
図案は男女総数の統計ですが、特に男性で高く26%を占めています。
【図表】介護が必要になった主な原因(65歳以上の要介護者等)
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成25年)
脳血管疾患の代表である脳卒中は、症状が急に現れることが多いのが特徴です。
クモ膜下出血のように突然倒れるほかにも、意識がもうろうとする、ろれつが回らないといった症状が現れます。発症後は一刻も早く治療を受けるのが鉄則です。
いち早い治療とリハビリで日常生活を送るまでに回復することもありますが、後遺症から脳血管性の認知症につながるケースも目立ちます。
また、病院を退院するタイミングで、いきなり介護が必要になる場合も多いのです。
退院までの期間に、介護保険の申請をはじめ、これからの暮らしぶりを急に考えなくてはいけない事態になるわけです。
急に親の介護が必要になる、かもしれない。そんな気持ちの準備も必要です。