一円玉の表側には、葉っぱが描かれています。さて、何枚あるかご存知ですか?
正解は、8枚です。一般公募で選ばれた若木のデザイン、“末広がり”で縁起がいいから葉っぱは8つあるとの通説もあります。1円以上の含蓄がありますね。
実際、一円玉は1円では発行できません。原料のアルミニウムの価格にもよりますが、2円以上はかかっているようです。現金を世の中で使うには、お金がかかるものです。野村総合研究所の調査によれば、貨幣を作るだけでも年間650億円、現金インフラを維持させるには年間1兆円が必要だと算出しています。
その負担を誰が持つの?と想像すると、やっぱりキャッシュレスにしていかなきゃなと考えたりします。
とはいえ、まだまだ現金以外お断りのお店も多く、財布に現金がないのは不安です。
ゆくゆくは、電子マネーで生活安否確認
どのお店でも、クレジットカードや電子マネーが使えたら便利でしょうが、お店にとっては手数料が引かれる分、儲けが減っちゃうキャッシュレスは、頭の痛い問題です。キャッシュレスにしてくれたら消費税が10%になったら5%をポイント還元するなんて施策も上っていますが、果たして乗ってくれるやら。
消費者も“やっぱり現金だよね”と思う人は少なくないです。特に高齢の方ほど、その傾向は強いです。70代の私の母親もクレジットカードの印象が悪く、“サラ金に足を突っ込みたくない”との時代錯誤な理由で1枚も持っていません。そもそも、安定した収入のない高齢者は、審査で引っかかり、クレジットカードを発行してもらえるとは限らないのですけど。
とはいえ、コンビニのレジでもたつくご高齢の方を見ると、“こんな方々こそ、現金以外で買い物をすべきだ!”と感情的になってしまいます。
財布から小銭を出したりするのに手間取ってしまうと、レジに行列ができてしまうことも……
じゃあ、どんなキャッシュレス手段が、高齢者にやさしいのかと考えると、意外と選択肢はありません。
クレジットカードはダメ、銀行のデビットは外国人の名前みたいで意味が分からない、スマホのQRコードは障壁が高すぎるとなると、SuicaやICOCA、nanacoやWAONといったプリペイド型の電子マネーになるのかなといった思いです。
このところ、仕事でキャッシュレスに関係する人への取材が多いのですが、高齢者にプリペイドカードといった話は、よくよく聞かれます。
プリペイドなら使い過ぎを抑止できるし、チャージすることでお金の管理も肌感覚で分かるといった利点があります。
プリペイドの電子マネーは、そもそもキャッシュレス決済なの?といった、大きな議論はさておき、まずは高齢の方が、現金を使わない支払いは楽だよねと感じる体験が大切です。普段、公共交通機関でSuicaなどの交通系ICカードを使っている人なら、レジでマークを見つけたら買い物で使ってみるといいかもしれないです。
高齢の人がキャッシュレス決済を始めるには周りの家族が後押しするのも大事かもしれません。例えば、子が親に仕送りする際も、現金や振込じゃなく、電子マネーを差し上げるというスタイルを採用してもよいでしょう。
個人的には、子が親の電子マネーをオートチャージできたり、買い物の履歴が分かったりすれば、安否確認機能がプラスされていいかもなと思います。
現金は現金で、指先の感覚を鋭敏に保つためには、いいトレーニングツールです。一円玉も残っていてほしいです。ただ、いまは消費税が8%で、それなりに出番はありますが、もし10%に上がったら、あまり使われなくなるかもしれませんね。