2024年1月4日にスタートする新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設定されます。今回は、投信協会(一般社団法人 投資信託協会)が定期的に公表している「成長投資枠」対象商品の中から、公募投資信託に対象を絞って見ていきます。

  • 2023年7月10日までに公表された新しいNISAの対象商品は1260本
  • 成長投資枠は信託期間無期限のファンドが約81%を占めるが、それ以外も
  • 成長投資枠は決算頻度が年1回のファンドが約70%を占めるが、それ以外も

新NISAの対象商品は2023年7月現在1260本

今回は、投信協会(一般社団法人 投資信託協会)が定期的に公表している新しいNISAの「成長投資枠」対象商品の中から公募投資信託に対象を絞って見ていきます。

2023年7月10日に公表された対象商品は1260本(内191本は「つみたて投資枠」の対象商品)です。今後も1カ月間隔(8/1、9/1、10/2、11/1、12/1、12/19)で公表され、12月は新しいNISAが翌年1月4日スタートということもあり2回公表日があります。
(編集部註:8月1日時点で成長投資枠の対象商品は計1491本となりました)

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NISA成長投資枠の対象商品(投資信託協会)

以下、1260本の対象商品の償還日(ファンドが運用が終了する日)と決算頻度からその特徴について見ていきます。

新NISAの「成長投資枠」とは

2024年1月4日にスタートする新しいNISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設定されます。「つみたて投資枠」は、現行のつみたてNISAと同様の投資信託が投資対象商品になります。「成長投資枠」では、投資信託以外に上場株式等も投資対象商品に含まれますが、以下に該当する商品は投資対象から除外されています。

成長投資枠で対象商品から除外される主な基準は、

  1. 信託期間20年未満
  2. 毎月分配型の投資信託
  3. デリバティブ取引を用いた一定の投資信託
  4. 整理・管理銘柄(上場株式)

になります。

ただし、「成長投資枠」では、販売手数料がかからないノーロード、信託報酬も決められた年率以下など「つみたて投資枠」で設定されている基準を満たす必要がないので、つみたて投資枠の191本に比べ1260本とかなり多くなっています。(1260本にはつみたて投資枠対象商品も含みます)

「成長投資枠」の対象商品を信託期間から見てみる

「成長投資枠」対象商品1260本を信託期間で分類してみますと下表のようになりました。2045~2049年、2051~2080年と償還するファンドが少ない年は複数年をまとめています。

償還年 信託期間 ファンド数
なし 無期限 1021
2044年 20年 86
2045~2049年 21~25年 60
2050年 26年 57
2051年~2080年 27~56年 36
合計 1260

備考:投信協会のデータ(投資信託(非上場) 対象商品リスト)から筆者が作成
※信託期間は、ファンドの設定からの期間ではなく2024年1月から便宜的に計算しています。

新しいNISAは非課税保有期間が無期限化されていますので、対象商品のうち、信託期間無期限のファンドが約81%と大部分を占めます。次に多いのが2044年(信託期間20年)の86本(約7%)、3番目が2050年(信託期間26年)の57本(約5%)でした。

信託期間における対象ファンドの傾向としては、信託期間無期限のファンドでインデックス型ファンドが多く、信託期間(20年とか26年)が短いほど対象本数に占めるアクティブ型ファンドの比率が高くなっていました。

また、2044年では全体86本のうち、SDGs関連が10本、宇宙関連が6本、AI関連4本などテーマ型ファンドもある程度の本数がありましたが、2050年では、全体57本のうち、ロボットテクノロジー4本、グリーンテック&グリーンボンド2本などテーマ型ファンドの本数が少なくなっています。

ただし、新しいNISAが始まった後でも、新たなテーマ型ファンドが対象商品になることは十分考えられます。その時に投資するファンドを選んでもいいでしょう。

「成長投資枠」の対象商品を決算頻度から見てみる

今回公表されました「成長投資枠」対象商品の決算頻度は下記の表のとおりです。

決算頻度 ファンド本数
年1回 881
年2回 254
年4回(四半期ごと) 85
年6回(隔月) 40
合計 1260

備考:投信協会のデータ(投資信託(非上場) 対象商品リスト)から筆者が作成

決算頻度が年1回のものが全体の約70%を占め、成長投資枠でも資産形成を後押しする商品の比率が高くなっていますが、「つみたて投資枠」にはない、決算頻度が年4回、年6回のファンドも「成長投資枠」では見受けられます。

決算頻度が年1回のファンドの場合、決算を行い収益が出ても分配金の支払いに回さず、元本と合算して運用するファンドもあります。決算頻度が年1回のファンドから商品選択する場合は、過去に分配金の支払いがあったかどうか確認が必要です。

定期的に分配金を受け取りたいと考えている人は、年2回以上の決算頻度のものから投資するファンドを選ぶのも一案かと思います。

以上、新しいNISA「成長投資枠」の対象商品1260本について信託期間や決算頻度の側面から対象商品の特徴について見てきました。「成長投資枠」のファンドを選択する際の参考にしていただけたら幸いです。

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