子どもの誕生は、人生の一大イベントなだけあり、まとまったお金が必要になるものです。コツコツ貯蓄をして備えてきたという人も多いでしょうが、費用負担を軽減するために、公的制度でもらえるお金をしっかり把握しておきましょう。

  • 令和5年4月以降、出産育児一時金は最大50万円に!
  • 中学生までの子どもは児童手当の対象
  • 独自に出産・育児支援の制度を用意している自治体もある

出産・育児で活用したい5つの制度とその概要

出産や育児に関連して受け取れる手当には、いくつかの種類があります。また、加入をしている健康保険の種類によっては、受け取れるもの・受け取れないものがあります。

【図表】出産や育児に関連する手当一覧
健康保険(協会けんぽなど)、
雇用保険
共済組合 国民健康保険
妊婦健診費用助成

(住んでいる自治体に助成制度がある場合)

出産育児一時金
(出産費・
家族出産費)

50万円または48万8千円

出産手当金

支給開始日以前の12カ月間の標準報酬月額を
平均した額の3分の2相当

×

育児休業給付金・
出生時育児
休業給付金

休業開始時賃金日額×
支給日数×67%
(181日以降は50%)

1日につき
標準報酬の日額
(標準報酬の月額の
1/22相当額)×67%
(181日目以降は50%)

×

児童手当

3歳未満:1万5千円
3歳以上から小学生:1万円(第3子以降は1万5千円)
中学生:1万円
所得額が一定以上の場合:5千円

各制度の概要を順番に見ていきましょう。
(ここでは各制度の概要を説明しています。詳細は必ず各自治体・健康保険組合・共済組合などのウェブサイトや資料をご確認ください)

妊婦健診費用助成は自治体によっては助成あり

妊婦さんが定期的に受ける妊婦健診の費用は、基本的に全額自己負担ですが、自治体によっては助成を受けられます。所定の医療機関で健診を受けた時のほか、里帰り時の受診も、助成対象となることもあるようです。

ただし、助成には上限額が定められており、助成対象となる健診・検査内容や対象医療機関も決められています。受けた健診・検査の内容や回数などによっては、助成のある自治体でも自己負担が発生する可能性もある点は把握しておきましょう。

1児につき最大50万円を受け取れる出産育児一時金

健康保険、共済、国民健康保険の被保険者(共済の場合は組合員)またはその被扶養者が出産をした場合に、出産育児一時金(共済の場合は出産費または家族出産費)を受け取れます。

令和5年4月以降に受け取れる金額は50万円で、産科医療補償制度対象外(在胎週数22週未満や、産科医療補償制度に加入していない医療機関などでの出産)の場合は48万8千円となります。これに加えて、健康保険組合や共済組合によっては、2万~5万円などの付加給付を受けられることもあるようです。

受け取り方法は、現金給付・医療機関に直接支払われる直接支払制度・受取代理制度の3種類があります。それぞれ必要な手続きや書類が異なりますので、詳細は加入している健康保険または共済のサイトを確認してみてください。

産休中・育休中の収入減少に備える出産手当金・育児休業給付金

お仕事をされている方の場合、産休中の収入減少に備えるための給付として、出産手当金が用意されています。出産手当金は、出産日以前の42日間と、出産の翌日以後56日間の範囲(出産が予定より遅れた場合は、その期間分も)で、給与の約3分の2程度の金額を受け取れます。

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子どもが生まれてから1歳になるまでの育休期間には、育児休業給付金を活用できます。育休開始前6カ月間の給与を基準に、育休開始から180日までは1日当たりの給与の67%、181日からは50%を、育休取得日数分受け取れます。なお、保育園に入れなかったなど育休の延長が必要であると認められた場合には、最長で2歳まで育休延長が可能です。

また、令和4年10月から導入された「産後パパ育休」を取得した場合には、要件を満たしていればその期間に応じた出生時育児休業給付金を最大28日間受け取れます。この給付金を受け取った日数は、育児休業給付金の受け取り日数に通算されます。

育児休業給付金のイメージ
1歳になるまでの育休期間には育児休業給付金を活用できる

いずれの給付金も、会社から給与を受け取っている場合は、給与との差額を受け取れることもあります。ただし、加入しているのが国民健康保険の場合は、どちらの手当ても原則受け取れません。

出産手当金・育児休業給付金を受け取れる場合でも、その額は普段の給与額より少ないのが一般的です。どちらの場合でも、出産前後の生活費への備えは考えておきたいポイントですね。

中学生までの子どもは児童手当の対象

子どもが中学生までの間は、児童手当もあります。児童手当は、養育中の子どもが中学校卒業までの間に受け取れる手当です。3歳未満は1万5千円、3歳以上から小学生は1万円(第3子以降は1万5千円)、中学生までは1万円、所得額が一定以上の場合は年齢に関係なく一律5千円が受け取り月額です。

申請月の翌月分から支給を開始され、6月に2~5月分、10月に6~9月分、2月に10~1月分がまとめて支給されるしくみです。

毎年6月には受給要件を確認するための現況届提出が必須です。その時期が近付くと、郵送でもお知らせが届きますので、しっかり確認しておきましょう。

中学生の写真
中学生の間は児童手当が支給される

自治体独自の制度もあるので要チェック

これら健康保険・雇用保険による助成や給付に加えて、自治体が独自に出産・育児支援の制度を用意している場合があります。

例えば、0歳児を養育していて収入が所定の額未満だと月々1万3千円を受け取れる「乳児養育手当」(東京都江戸川区)、一妊娠につき一時金4万5千円を受け取れる「誕生準備手当」(東京都千代田区)、1人の出産につき最大で10万円を受け取れる「ハッピーマザー出産助成金」(東京都渋谷区)などがあります。

出産前後は何かと入用な時期ですので、お住いの自治体で活用できる制度がないか、ぜひ確認してみてくださいね。

参考サイト

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