レポート提供:三井住友DSアセットマネジメント(2019年7月26日)
【ポイント1】フォワードガイダンス変更
政策金利は据え置き
欧州中央銀行(ECB)は7月25日の理事会で、政策金利を据え置きましたが、今後追加の金融緩和に踏み切ることを示唆しました。
フォワードガイダンス(先行きの金融政策の指針)において、「少なくとも2020年前半まで政策金利は現状か、“より低い水準”を予想する」と明言し、利下げを示唆しました。加えて、18年12月に打ち切った量的緩和策の資産購入プログラム(QE)を再開する可能性についても触れました。
なお、ECBは、マイナス金利の下で銀行の負担を最小限にとどめるようにする手段の導入や新しい資産購入の規模などを検討します。
【図表1】ECBの政策金利と消費者物価
(注)データは2015年1月1日~2019年7月25日。
消費者物価はHICP、前年同月比。2015年1月~2019年6月。
政策金利はMain Refinancing Operations 金利。
預金ファシリティ金利はDeposit Facility 金利(翌日物)。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【ポイント2】景気下振れを懸念
ドラギ総裁は記者会見で、ユーロ圏経済の現状について「地政学リスクや保護主義の脅威、新興国経済の鈍化などによって、依然として減速傾向にある」と述べました。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱などの影響で、先行きの景気や物価への懸念が強まっていることが追加の金融緩和を示唆した背景です。
【図表2】ユーロ圏の実質GDP成長率
(注)データは2015年1-3月期~2019年1-3月期。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
【今後の展開】ECBは9月の理事会で利下げへ
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が今月末の会合で、利下げに踏み切ることが確実視されているなか、ユーロ高への懸念が強まっていることも、ECBの追加緩和示唆を後押ししたと考えられます。このため次回9月のECB理事会ではFRBの利下げに追随して、ECBが追加緩和を実施する可能性が高いとみられます。
弊社は、次回9月の理事会で、ECBが利下げ(預金ファシリティ金利を▲0.4%から▲0.5%へ引き下げ)とQEの再開を発表すると予想しています。
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