医療保険選びは、なかなか難しいものです。入院給付金日額はいくらにするか、支払限度日数は何日にするか、など考えることが多いのも理由のひとつでしょう。また、女性の場合には医療保険と女性保険という二つの選択肢があるため「どちらに入るのが自分には合っているのか?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回は、医療保険と女性保険の違いはどういった点にあるのか?それぞれどういった特徴があるのかを見ていきましょう。
入院・手術に備える「医療保険」
医療保険は、病気やケガでの入院・手術に備えられる保険です。自分のニーズに合わせて特約を付加すれば、最低限の保障から手厚い保障まで、保障内容の広さ・厚さを選べるのが特徴です。
例えば、入院・手術への保障だけ準備する こともできれば、特約を付加することで三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)・七大疾病(三大疾病にプラス糖尿病・高血圧性疾患・腎疾患・肝疾患)(※) への保障を手厚くしたり、病気やケガで働けなくなった場合の就業不能状態への保障を付加 したりもできます。
最近では1日の平均歩数が一定以上であったり 、健康診断の結果が良好であったりすれば還付金を受け取れるなど、健康増進を意識したものも販売されています。
※三大疾病・七大疾病の定義は保険商品によって異なります。
女性にやさしい「女性保険」
女性保険は、医療保険と同じく病気やケガでの入院・手術に備えられ、特に女性特有の疾病への保障が手厚いのが特徴です。
乳がん・子宮がん・子宮内膜症・子宮筋腫などの女性特有の臓器に関する疾病や、妊娠高血圧症候群などの妊娠に関する疾病、流産や帝王切開など出産に関するトラブルなどをまとめて「女性特有の疾病」としている場合 が多いです。
これら女性特有の疾病で入院や手術を受けた場合に、受け取れる給付金額が上乗せされるのが一般的です。女性疾病だけでなく、胃がんや大腸がんなどすべてのがんも上乗せ対象としている 場合もあります。
また、子宮・卵巣・乳房の摘出手術や、乳房摘出後の乳房再建術を受けた場合に一時金を受け取れるもの 、妊娠前に加入していた場合は正常分娩での入院も保障対象になるものも販売されています。
※女性特有の疾病の定義は保険商品によって異なります。また、妊娠中・出産後の加入に制限がある場合もあります。
まずは医療保険、出産も視野に入れるなら女性保険
以上の特徴から、念のため最低限の保障だけ確保したい場合や、色々な病気に備えたいと考えた場合には、まずは医療保険を調べてみると良いでしょう。
女性特有の疾病への不安が特に強い場合や、将来的に出産を希望していてそれに関連したトラブルへの心配ごとがある場合には、女性保険も調べてみると良いでしょう。
【図表1】医療保険と女性保険の比較
医療保険を検討したい場合 | 女性保険を検討したい場合 |
---|---|
・「とりあえず入院に備えておこう」など、最低限の入院や手術への保障だけ確保したい ・入院や手術への備えをベースに、自分の心配ごとに合わせて保障をカスタマイズしたい ・必要な保障だけを確保し、保険料を抑えたい |
・乳がん、子宮内膜症など女性特有の疾病での入院に備えたい ・今後出産を希望しており、帝王切開など出産時のトラブルに備えたい ・がん治療後の見た目へのケアにも備えたい |
など | など |
今後出産を希望しているなら女性保険も選択肢に
年齢によってかかりやすい病気
ただし、保険は入ってそれで終わりではありません。年齢を重ねていくと、健康への心配ごとやライフイベントにより、それまでと違う備えが必要だと感じる場面もあるでしょう。実際に、年代によってかかりやすい病気は異なるというデータもあります。
がんを例に見てみると、30代から40代にかけて罹患数が増えていき、高齢な方ほど罹患数が多くなっていきます。
【図表2】 がん年代別罹患数(全部位、単位=人)
出所:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録全国合計によるがん罹患データ(2014年~2015年)より抜粋・作成
罹患数の増える年代は部位により異なり、乳がんや子宮がんは30代~40代に罹患数が増加し、50代~60代がピークとなっています。胃がんや大腸がんは40代から右肩上がりとなっています。
【図表3】 がん年代別罹患数(部位別、一部抜粋)
出所:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録全国合計によるがん罹患データ(2014年~2015年)より抜粋・作成
また、医療の進歩などにより、保障内容が医療の現状に合わなくなる場合もあります。
通院治療の増加に対応し、通院保障を加えた医療保険も増えてきています。また、日帰り入院の機会も多くなっているため、日帰り入院の場合は一律で数日分の入院給付金を受け取れるものも販売されています。
保険選びは「心配ごと」と「医療事情」にあわせる
一度保険に入ったからといってそのままにするのではなく「自分の今の年代でかかりやすい病気は何か?」「今の医療事情に自分の入っている保険で対応できるか?」などの情報収集をしましょう。
その情報をもとに自分が入っている保険の保障内容に不安はないか、定期的に考えてみることをおすすめします。不安があった場合には、手厚くしたい保障に合わせて保険の追加加入を検討するのもいいかもしれません。
上記に出した例以外にも、特徴的な保険が色々とあります。高額療養費制度や出産育児一時金、各種医療費助成などの公的医療制度を利用することも踏まえつつ、自身の将来を見据えて保険選びができるようにしたいですね。