手軽に使ってもらえることを意識した設計

OneStockの開発で特にこだわった点はどこでしょうか?

池田 やはり「資産寿命」のところです。健康的で豊かな生活を過ごすために資産は大事です。それは誰もが納得すると思います。しかしいざライフプランをシミュレーションしてみるとなるとどうでしょう。将来起こり得ることを、時期や必要額も含めて考えるのは意外と難しいものです。

実際にライフプランをシミュレーションするサービスは、たくさんありますが、入力する項目が細かすぎると途中で挫折する人も多いでしょう。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

確かに(笑)。入り口からあまり考え込んでしまうような、答えにくい質問だとイヤになっちゃいます。

池田 OneStockでは、必要最低限の22項目さえ入れれば、あとは当社の年金研究所が培ったノウハウや統計データを使用しながら資産寿命を算出します。まずは一度算出してもらい、その後ライフプランに変化が起きたときや、何もなくても年に1回ぐらい、多少条件を変えながら見ていただけるような、そんな手軽に使っていただけるアプリを目指しました。

池田さんの写真③

将来的には改善点まで指摘できるように

確かに手軽ですし、資産寿命を考えるきっかけとしてはとても使い勝手がいいです。でも、そもそもなぜ資産を「見える化」すべきなのですか。

池田 やはり健康管理と同じで、資産の管理も自分自身の状況を把握することが第一歩です。もちろん「知りたくない」という人もいるでしょう。でも人生100年時代といわれるいま、高齢になっても健康で豊かな生活を維持するには、資産を長持ちさせることが極めて重要です。そのためにも現状の自分の資産状況やキャッシュフローを把握していくことは、具体的な対策のうちの半分ぐらいを占めるといっても過言ではありません。

トラリピインタビュー

onestockの画面イメージ1OneStockの資産画面のイメージ
onestockの画面イメージ2OneStockの資産寿命画面のイメージ
onestockの画面イメージ3OneStockの診断サービス画面

現状のOneStockでは、資産を一元管理し、月ごとや年ごとの資産全体の推移やパフォーマンスをレポートするだけですが、将来的には、その人のキャッシュフローやポートフォリオのどこに改善点があるかまでをレポートできる機能を持たせたいと思います。

そこから先、実際に資産運用の相談が必要になった場合は、取り引きのある金融機関に相談することもあると思いますが、問題点や改善点の指摘まではOneStockで完結できるようにしたいです。

保有資産をある程度把握していたとしても、人生100年時代に向けて、いくらぐらいのお金をどの程度のリスクで運用すべきかについて理解している人は、恐らく少ないでしょう。そこで資産寿命という考え方を指針にして、それを延ばすためにはどのような運用をすればいいのか、自分の中である程度理解できれば、相談もしやすいと思います。それを可能にするツールがOneStockなのです。

診断機能の充実や、不動産・保険などとの連携も

では、将来的にはOneStockのユーザーが金融機関の窓口で「年率2%の利回りで運用できれば自分の資産は枯渇しないので、それに見合う商品を教えてください」などと相談する日が来るかもしれませんね。

池田 そうですね。その意味ではOneStockはユーザーの金融リテラシーの向上にもつながると思います。

ユーザーとしてもっともターゲットとしている年代はどこですか?

池田 すべての年代の方にご利用いただきたいと思いますが、強いてあげるとすれば40代後半から50代の方です。人生100年時代とすると、ちょうど折り返しの時期に当たり、そろそろ退職後などについても意識し始める時期です。人によっては相続なども発生するかもしれません。現時点での自分の資産寿命を把握しながら、人生の後半を健康で豊かに生きるための資金計画を立てる際の指針としてぜひ活用してほしいと思います。

池田さんの写真④

またライフスタイルの変化やさまざまイベントが想定される30~40代の方にもぜひ使ってほしいですね。資産を一元管理することでより充実したライフイベントを実現しつつ、老後についても意識してもらうきっかけになれば幸いです。

最後にOneStockの今後の展望や拡張性について教えてください。

池田 正直に申し上げまして、アプリの完成度としては、まだまだこれからだと思います。まずはリリースを優先し、どのようなサービスを求められているか、足元でユーザーの調査を実施している最中です。

調査結果をもとに優先順位をつけて機能を拡充していく予定ですが、やはり診断機能を充実させていくことがユーザーにとっても必要な機能であり、野村證券としての強みを発揮できる分野であると考えています。また不動産や保険などの資産連携などについても段階的に導入していきます。

また現状はiOSアプリのみのリリースですが、Androidアプリについても2020年秋ぐらいをめどにリリースする予定です。

わかりました。私もOneStockを使っていきたいと思いますので、今後の機能拡充に期待しています。今日はありがとうございました。

(注)インタビュー内容は、取材日時点(2020年7月20日)の情報およびサービス内容であり、現在とは異なる場合があります。

メルマガ会員募集中

ESG特集