「20代や30代は積極的に、50代以降は守りを意識した保守的な運用に……」など、年代によって適した資産運用の方法があるといわれます。もちろん年齢が同じでも資産規模やライフプラン、家族関係は異なるので、一概に年齢で区切ることはできませんが、自分に適切な資産運用を考えるうえで年齢は一つの目安になるのは間違いありません。本記事では、年代別やライフステージ別にどのような資産運用を検討できるかを紹介します。ぜひ本記事を参考にして、ご自身の資産運用方法を見つけてください。

  • 20代は無理のない金額でまず始めること。つみたてNISAやiDeCoを検討
  • 30~40代は、人生で最もお金がかかる時期。それでも、継続あるのみ
  • 退職前に保守的な運用に切り替えつつ、退職後も運用し続けることが肝心

まずは中長期的なライフプランありき!

人生100年時代といわれる現代、現役時代に貯蓄と資産運用を通じて老後資金を準備し、リタイア後はそれまでの蓄えや運用益を基に悠々自適に暮らす……という考え方は、もしかしたら過去のものなのかもしれません。長い人生に備えるためにも、年代を問わず、そのときのライフスタイルやライフステージに合った資産運用をする必要がありそうです。たとえリタイア後であっても、運用を通じて資産を減らさない努力をすることが必要なのです。

2024年1月からは新しいNISAが誕生し、NISA口座内で資産を非課税で運用できる期間も恒久化されることになりました。恒久化といっても一生涯で使える投資枠は、1800万円と制限はあります。しかし現行の一般NISAの非課税枠5年、つみたてNISAでは20年であることを思えば、恒久化を通じて政府が国民の「生涯投資」「生涯資産運用」を積極的に後押ししていると考えられるでしょう。

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資産運用は生涯継続するとして、資産運用を始めるのに適した時期はいつなのでしょうか。もちろん人それぞれ最適なタイミングは異なるでしょう。しかし「自分や子どもの生き方の選択肢を増やしたい」「経済的に不安のない老後を送りたい」と考えているのであれば、できるだけ早く資産運用を始めるほうがよいでしょう。

あまりにも遅く資産運用を始めると、運用期間が短くなってしまいます。そのためどうしても、株式の個別銘柄や、値動きの大きい投資信託に集中投資するなど、ハイリターンを期待できる運用方法を選んでしまう可能性が高まります。ハイリターンな方法は当然ハイリスクであることが多く、短期で大きなリターンを期待できる半面、一気に損失を被る確率も高くなってしまいます。

短期間で増やすつもりが、資産を大きく失ってしまう、なんてことになったら老後は不安です。リスクを抑えた資産運用を実現するためには、そのときの収入や家計の状況に応じた無理のない金額で時間をかけて行うことが確実な方法といえそうです。

資産運用を始める際には、まず中長期的なライフプランを立てることが肝心です。具体的なライフイベントをお金と結びつけて考えてみることで、どのタイミングでどのくらいのお金が必要になるかがわかり、準備や備えがより具体的にイメージできるようになります。

例えば、現在30歳なら、「5年以内に結婚を考えているので、結婚資金と新生活資金として300万円用意しておきたい」「結婚して5年後ぐらいに住宅購入を検討したいので、頭金として1000万円を用意したい」というように、ざっくりでも構わないためライフイベントと必要な金額を書き出してみましょう。

金融庁がホームページで公開している「ライフプランシミュレーション」も参考になりそうです。

【20代の資産運用】まずは始めること!

ライフイベントと必要額を考えるうえで参考になるよう、ここからは年代別に資産運用を考えていきます。まずは20代からです。

20代は資産運用の練習期間と捉えてみましょう。実際のところ、20代は働き始めたばかりで収入も多くはなく、中には奨学金の返済で余裕がないという方もいるでしょう。しかし、逆説的に考えれば、資産運用できる資金が少ないということは、多額の資金をハイリスクな商品で運用して、大きな損失を被るリスクは避けられるということでもあります。将来に向けてまずは5,000円、10,000円程度の少額でいいので、まずは資産運用を始めてみることが重要です。

初めての資産運用に適した方法としては、つみたてNISAやiDeCoを活用することがいいでしょう。いずれも毎月自動的に投資信託などを積み立てられるので、手間がかからず、資産運用にあまり時間をかけられない方でも続けることが可能です。家計をやりくりして毎月投資資金を捻出するとなると、継続するのが難しいかもしれません。つみたてNISAやiDeCoは、自動で積立投資してくれる仕組みであり、給料から天引きされるイメージです。継続するには最適な方法といえます。

20代のイメージ
20代は、少額からでいいのでまずは資産運用を始めてみることが肝心

また、つみたてNISAやiDeCoで実践するような長期・分散・積立・継続を念頭にした手段であれば、資産余力のない20代に適した、リスクを抑えた資産運用を実現できます。いずれも運用益は非課税になるため、効率良く資産をふやすことができる点も魅力です。

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【30代の資産運用】お金がかかる時期だけど……続けよう!

30代は結婚や子育てなど、多くの人にとってお金がかかる時期といえるかもしれません。20代と比べると収入は増えてきたものの、支出も多く、「思うようにお金が貯まらない」と悩む人も多いでしょう。

また、30代は住宅の購入を検討し始める方も増えてくる時期です。住宅ローンの頭金や引っ越し資金、新生活に必要な家具・家電など、高額の支出が目白押しです。しかし、それでも資産運用は続けることが肝心です。20代につみたてNISAやiDeCoを始めた方であれば、それを継続しつつ、もし余裕資金があれば、つみたてNISAで扱っていない投資信託や、個別株投資なども検討していいかもしれません。

30代のイメージ
結婚、出産、住宅購入など、何かとお金がかかる時期の30代。それでも資産運用は続けよう!

つみたてNISA・iDeCoを始めていない方は、できるだけ早めに始めることで、非課税で運用できる期間を長期で確保しましょう。つみたてNISAは2024年1月から恒久化されますが、iDeCoで運用できるのは75歳まで。早く始めれば始めるほど長く非課税で運用できます。

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【40代の資産運用】いろいろ入用だけど、それでも継続!

40代は、子育て世帯であれば最もお金のかかる時期といわれています。子どもが中学受験に向けて塾に通いだしたり、私立の中学・高校に入学したりすると、教育費が増えてさらに支出が増えます。

経済的な理由で子どもの進学先を狭めたくないと考える場合は、できるだけ早く貯金や学資保険などを開始して、学費を準備しておきたいところです。貯金や保険を始めると、当然のことですが支出が増え、投資に回す資金の確保が難しくなってしまうでしょう。

それでも、可能な限り資産運用は続けていくようにしましょう。20代や30代でiDeCoやつみたてNISAを始めた方なら、解約せずに毎月積み立てていくことが大切です。住宅ローンの返済や教育費、預金、保険などが同時に圧し掛かる40代は、もしかしたら資産運用にとっては一番厳しい時期かもしれません。しかし、その厳しい時期を乗り越えて資産運用を続けることで、子どもの将来の可能性が広がり、自分自身の老後も明るくなるのです。

40代のイメージ
子どもの学費など、40代以降は人生で最もお金のかかる時期に差し掛かる人が多い。それでも資産運用は継続あるのみ

また、厳しい中でも節約をして投資に励む姿が、子どものマネー教育につながることもあるでしょう。子どもが将来正しいお金の感覚を身につけるためにも、親が手本になることが必要です。

一方、子どもがいない人は、収入も増えて投資に回せるお金も増える可能性のある時期です。つみたてNISAやiDeCoは、運用できる金額に上限があるため、非課税枠を超えた分は、通常の課税口座で個別株式や投資信託などを運用してもいいでしょう。

つみたてNISAを利用しなくても、積立投資の運用は可能です。毎月自分自身で投資信託や個別株などを買い付ければいいからです。家計に余裕があれば、投資に回すお金を増やして、資産運用の規模を拡大してみてもよいかもしれません。

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