2024年からスタートする新NISAに向けて、投資信託市場の動きが活発化しています。新たな顧客を獲得するために、各社の信託報酬引き下げ競争は激化している模様。こうした流れは既存の投資家にとってもプラスです。YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」(2023年4月20日現在登録者数37.4万人)を運営し、「投資家ぽんちよのブログ」も大人気の投資YouTuberぽんちよさんに昨今の投信市場について解説していただきます。
- インデックスファンドの信託報酬の引き下げ合戦が激化している
- これは2024年からスタートする新NISAを見据えた動きといえる
- 個人投資家にとってはプラスであり、この流れにうまく乗りたい
次々と行われる信託報酬引き下げ合戦
どうもこんにちは、投資YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」や「投資家ぽんちよのブログ」を運営しているぽんちよです! 投資初心者の中には、積立NISAを通じて投資信託、特にインデックスファンドを購入している人も多いでしょう。そしてこれらの投資信託選びで重要なのは手数料です。特に投資信託の保有残高に応じてかかる維持コスト「信託報酬手数料」は、長期投資においてリターンに大きく影響します。
例えば仮に毎年40万円ずつ20年間積立投資をして、年利5%で運用した場合、信託報酬が0.1%違うと20年後には14万円の差、0.01%違うと1.4万円の差となります。そして現在、各投資信託会社が新規の投資家を取り込むために、この信託報酬の引き下げ合戦を激化させています。
信託報酬0.1%を下回る投資信託が続出
特に今年の3月~4月にかけて、S&P500や全世界株式を投資対象とした投資信託で、新たな投資信託が生まれたり、信託報酬の引き下げが行われたりして、話題となりました。まずアセットマネジメントOneが手掛けるファンドシリーズ「たわらノーロード」に新たに人気の米国株指数S&P500を投資対象とした「たわらノーロード S&P500」が登場。
信託報酬は年率0.09372%(税込)となっており、競合他社のS&P500系投資信託に比べ安い手数料水準となりました。また、たわらノーロードシリーズはS&P500以外にも、先進国株式・全世界株式といった主要なインデックスファンドの手数料引下げを行い、手数料が業界最低水準となりました。
※たわらノーロードシリーズの信託報酬引き下げに関するニュースリリースはこちらから
このアセットマネジメントOneによる手数料引下げの発表を受け、三菱UFJ国際投信が手掛けるファンドシリーズ「eMAXIS Slim」でも動きがありました。
そもそもeMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の手数料を目指し続ける」というコンセプトのもと運用されている投資信託です。そして今回「たわらノーロードシリーズ」の手数料引下げに追随する形で、全く同じ手数料水準へ引き下げました。
また日興アセットマネジメントが手掛けるファンドシリーズ「Tracers」から、2023年4月26日に「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」が新規設定されることが発表され、この信託報酬が年率0.05775%(税込)であることが話題となりました。従来、全世界株式系の信託報酬手数料が0.1133%(税込)ほどだったため、約半分の手数料水準のファンドが登場したことになります。
引き下げ合戦の背景と、個人投資家の付き合い方
今年に入ってから投資信託の手数料引き下げ合戦が激化していますが、これらの競争は2024年から始まる新NISAも見据えたものといえるでしょう。2024年は新NISAが開始されることで投資の新規参入者が増えることが予想されます。それまでに「手数料の安いファンド」というブランドイメージをつけておくことが、投資参入者の取り込みには重要になります。
そして、これらの手数料引き下げ合戦激化の流れは、個人投資家にとってはよりよい環境で投資をできるチャンスであるため、ぜひこの流れに乗じて、より安い手数料のファンドに切り替えるなどの対応をすることがおすすめです。