4月17日に、国内の高配当株を対象とする新しいETF『iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数』が上場しました。米国のトランプ大統領の政策により株式市場が混乱する中で、「高配当株」がひときわ投資家の注目を集めているようです。この記事では、今回上場した新しいETFを軸として、国内の高配当株を対象とする投資信託やETFについて、その魅力や注意点について説明します。

  • ETFの新規上場セレモニーが開催され、運用会社と高配当株指数の開発者が登壇
  • 国内の高配当株に投資するファンドは、分散効果とともに高い分配金が期待できる
  • ファンドが連動を目指す高配当株指数は多種多様で、銘柄を選ぶ基準には特色がある

東証に国内株式の高配当株ETFが新規上場

2025年4月17日、東京証券取引所に新たに上場したETF(上場投資信託)が『iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数』(銘柄コード=354A)。その名の通り、国内株式の高配当銘柄を投資対象とするETFです。

上場日には東証で上場セレモニーが行われ、同ETFを運用する大和アセットマネジメントと、同ETFが連動を目指す「ブルームバーグ日本株高配当50指数」を共同開発したブルームバーグ社の担当者が登壇しました。

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大和アセットマネジメントとブルームバーグの関係者上場記念セレモニーでの大和アセットマネジメントとブルームバーグの関係者

高配当株=配当利回りが高い株式

株式投資で得られる利益のひとつが、保有中に年1回、あるいは年2回など定期的に株主に支払われる「配当」です。
この配当が、株価に対してどのくらい支払われたかを示すのが「配当利回り」です。具体的には、「年間の配当÷その時点での株価」という計算式で求められます。

この配当利回りが高い株式のことを「高配当株」と呼びます。高配当株に厳密な定義はないのですが、現時点では配当利回りが3%以上、あるいは4%以上のものが高配当株に分類されることが多いようです。

2025年3月時点では、市場別の単純平均利回りは下記の通りです。

【図表1】東証の市場別単純平均利回り(2025年3月末)
プライム市場 2.31%
スタンダード市場 2.44%
グロース市場 0.74%

出所:日本取引所グループ

高配当株のメリットと注意点

高配当株のメリットは、何といっても高い配当が期待できることです。いくら世の中の金利が上がっているといっても、まだまだ預金だけでお金を増やせる世の中ではありません。定期預金よりずっと高い利回りが期待できる高配当株は、魅力的な投資対象のひとつです

そして投資家にとって追い風となっているのが、東証が打ち出した「資本コストや株価を意識した経営」の要請です。多くの上場企業がこれを受けて株主還元の姿勢を強めることになり、配当を増やす例も相次ぎました。

しかもNISAで投資すれば、配当は非課税ですべて受け取れます。2024年に「新しいNISA」が始まったことも、高配当株への注目が高まった理由のひとつといえそうです。

とはいえ、予想配当利回りが高いからといって、必ずしも期待する利益を得られるとは限りません。例えば、直近の株価が下落したために配当利回りが高まったというケースもあります。投資する際は配当利回りだけでなく、株価の動向や企業そのものの中身をしっかりと確認することが大切です。

投資信託やETFで高配当株に投資

高配当株は個別銘柄だけでなく、投資信託やETF(これらを総称して「ファンド」と呼びます)を通じて投資することもできます。

ファンドで高配当株に投資するメリットと注意点

日頃忙しい個人投資家にとって銘柄選びは難しく、うまくいけば配当だけでなく大きな値上がり益も得られますが、失敗したときの損失は大きくなりがちです。1本で複数の高配当株に投資できるファンドなら、たとえ投資先の1社が破たんしても、ほかの銘柄がカバーしてくれるので、大きな損失になりにくいことはメリットといえます。

高配当株の配当は、ファンドでは分配金として投資家に支払われます。定期的な収益源としてファンドを活用したい方にとっては、高配当株のファンドは有効な選択肢になりうるでしょう。

ただし、分配金を再投資して複利効果を期待したい場合には、分配金再投資が自動でできる投資信託の方が向いています。ETFでは手動で買い付けを行う必要があります。

ファンドが連動を目指すいろいろな高配当株指数

国内の高配当株に投資するファンドを大きく分けると、株価指数への連動を目指す「インデックス型」と、銘柄の選択によって市場平均を上回る成果を目指す「アクティブ型」の2通りがあります。
インデックス型はアクティブ型と比較して、信託報酬が低い傾向があります。信託報酬とは運用中に日々差し引かれるコストのことで、わずかな差であっても長期的には運用成果に大きく関わってきます。

先ほど紹介した新規上場のETFもインデックス型の一種です。ファンドが連動を目指す高配当株指数にもいろいろあり、指数の性質によって組み入れられる銘柄も、運用実績も変わってきます。

以下は主な高配当株ETFの銘柄と、連動を目指す指数です。

【図表2】国内株式の高配当株ETFと連動対象
コード 銘柄名 連動対象指標
1478 iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF MSCI ジャパン高配当利回り指数(配当込み)
1494 One ETF 高配当日本株 S&P/JPX 配当貴族指数
1577 NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 野村日本株高配当70(配当含む)
1698 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) 東証配当フォーカス100指数
354A iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数 ブルームバーグ日本株高配当50指数(配当込み)

指数ごとに特性があり、例えば以下の点で違いがあります。

  • ファンドに組み入れる銘柄数
  • 配当利回り以外の要素(配当継続性や財務状況など)
  • 銘柄の配分(時価総額加重平均、配当総額加重平均、等金額など)
  • リバランスの回数(年1回、年4回など)

例として、このたび上場した『iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数』の特徴は、予想配当利回りとして複数のアナリストによる予想を活用する点、時価総額加重平均などを行わず各銘柄の配分が等分である点、銘柄がリバランス(組み入れ銘柄の配分の調整)を年4回と、ほかのファンドより多く行う点などが挙げられます。

ETFだけでなく投資信託でも、国内の高配当株を対象とした新しい商品が続々と設定されています。
株式市場が不安定な環境だからこそ、地に足の着いた経営を行い、株主に利益をしっかりと還元してくれる国内企業に注目が集まっているのかもしれません。