宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマは、前回に続いて「経済的自由」。資産があればお金に困らないとは限りません。リスクを取り、リターンを得る「本来の投資」に慣れることが重要だといいます。

  • 不動産や株式を持つ資産家は、お金を自由に動かしにくい立場でもある
  • 投資初心者はリスクを取り、リターンを得る経験が自由にできる
  • お金を増やすには自分が働くだけでなく、若いうちから積立投資を始めることが大切

資産家が「経済的自由」であるとは限らない

【質問】
そもそもお金って、いくらぐらいあればお金持ちと言えるんでしょうか? 一生お金に困らない生活がお金持ちとは思わないけど、親の七光りで代々の資産家だからこそお金があるんでしょ。そう思いませんか?

前回までの「経済的自由とは何ぞや?」を復習していくと、経済的自由とは、若い時代の生活環境と、年を重ねた時代の生活環境で、同じレベルで生活が楽しめることにあります。何もお金持ちになって好きなものを買い、自由が得られるようになることではありません。

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「1億円貯める」は無理でも、経済的自由は目指せる

若い時は今を楽しむために、怖いもの知らずでバンバン自由な生活ができます。それは健康でもあり、背負うものがまだ少ない世代でもあるからです。しかし年齢を重ねると、家族環境も働き方も変わり、健康不安を抱え、やがて給与もない年金だけの生活へと変わっていきます。経済的自由とは、時代時代にマッチした生活が、困難なくできることではないかと考えます。

俗に言う長者番付にランクされる資産家とは、「不動産」か「株式」を多く持っている人のことです。不動産資産家の多くは、自分がリスクを取って資金を作り上げたのではありません。たまたま親から受け継いだ資産を持っているだけであり、その資産を減らすことなく子供へ承継していくのが最大の使命です。だからこそ、節税や相続税対策に汗をかくことが重要になっています。そして株式資産家は、自社株の株主がほとんどのケースであり、お金を自由に動かせない立場でもあります。そして、大半は自分の作った会社に愛着がありますから、資金調達までして投資をやろうとはしない。これでは、事業家として成功しても、本来の投資家にはなれないわけです。真のお金持ちではありません。

孤独な富裕層
資産家は「お金持ち」であっても、「経済的自由」があるとは限らない

たとえ莫大な富を獲得していても、その人が本当に裕福とは限りません。不動産と株式(自社株)の2種類の資産家は、その多くが、本来の投資に付きものであるリスクとリターンに対して慣れていません。一方、米国などの長期運用の投資家は、投資のチャンスと思ったら債券、株式、投資信託などに普通にお金を回してきます。当たり前の行動として、投資に慣れている結果です。リスクを取って、リターンを取りに行っています。

仕事でお金を稼ぐだけでなく、お金にも働いてもらう

幸い、投資初心者はこのような資産家ではないので、「資産を失うこと」を恐れずに思いっきりチャレンジもできるし、運用の楽しさを味わうチャンスも体感できます。リスクとリターンの体験、それはリスクを取った結果のリターンです。リターンの快感(例えば「1万円儲かった」)を1度でも味わうと、2度目、3度目とリスクを取ろうとします。リスクが当たり前になっていくことが、リターンの始まりなのです。そうしたリスク・リターンの関係を実感すると、お金はじわじわと増えていきます。それは長期積み立て運用でも十分体感できるものです。

「物事にとらわれた生き方」から「不要なものを切っていく生き方」へとシフトできれば、経済的自由は生まれてきます。まずは、チャレンジできるか? 日本人は勤勉ですから、組織や自分の立場など、すぐに計算ありきで物事を考えがちです。それを取り払うことができれば、リスクとリターンに対する印象は変わっていくのではないでしょうか?

自分に正直であれと言いますが、本当にそう思うのであれば、枠にとらわれたりしません。しかし、今のところは残念ながら、日本の金融リテラシー教育は限られた都市部での、教育機関の自己満足にとどまっています。金融リテラシーが浸透していくには、ここから時間がかかります。長期運用には時間が必要なのに、時間をかけて運用する意義が伝わっていないのでは、地方で若い投資家が増えていくわけがありません。日本がスピード感を持って金融リテラシー教育を進めていきたいのならば、損得勘定などなしにして、力を貸してくれる人材を増やすことが、国が本来やるべきことだと感じています。

そんな状況ではありますが、もしあなたが若いうちからお金を貯めたいと思うなら、実は簡単に貯めることができます。18歳からコツコツと積み立て始めた人と、30歳から積み立て始めた人の間には、驚くべき差が出ます。時は金なりです。すなわち、現在の仕事に加えて、2つ目の働き手を用意する。自分だけではなく、お金にも働いてもらう。これこそ長期運用の醍醐味です。

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新社会人には金融リテラシーも大事ですが、周りの金融リテラシーを持つ人が新社会人の投資環境を整えて、運用についてアドバイスをしてあげるのも忘れてはいけません。金融リテラシーがなければ、投資する環境もないのですから……。

「貯蓄から投資へ」と言いますが、貯蓄しながら投資できれば一石二鳥です。お金の不安から解消され、将来に対しての自信を持つことが経済的自由、ファイナンシャル・インディペンデンスの始まりです。次回も、経済的自由を手にする方を考えていきます。

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