Jリート(J-REIT、不動産投資信託)に投資する方法として、個別のリートに投資する方法と、投資信託やETF(上場投資信託)を活用して投資する方法があります。後者の場合はファンドマネジャーが銘柄選びを行いますが、前者の場合は投資家自身が銘柄選びを行うことになります。そのため、Jリートに対してある程度の知識をもっておくことが必要です。
この記事では、Jリートの投資対象の用途による区分と、投資判断をするための各種指標について解説します。

  • Jリートは投資対象により「単一用途」6区分、「複数用途」2区分に大別される
  • Jリートの投資口価格を評価する指標はNAV倍率、FFO倍率、分配金利回り
  • Jリートの財務状況を確認する代表的な指数はLTVとDSCR

Jリートの投資対象の用途による区分

Jリートには、単一の用途の不動産で構成された銘柄と、複数の用途の不動産で構成された銘柄があります。
東証公式Jリートガイドブック」によりますと、単一用途はオフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテル、ヘルスケアの6つに分けられています。ヘルスケアは医療施設や介護施設などが該当します。

複数の用途の物件で構成されたリートには、複合型総合型があります。2つの用途の不動産に投資するものが複合型、3つ以上の用途あるいは用途を限定していないものが総合型になります。

また、オフィスや商業施設は景気の動向に影響されやすく、住居は景気の動向に左右されにくいなど、用途区分による特徴があります。

【図表】Jリートの用途による区分
区分 内容
単一用途 オフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテル、ヘルスケアの6つ
複合型 2つの用途の不動産に投資するもの
総合型 3つ以上の用途あるいは用途を限定していないもの

投資判断をするためのJリートの各種指標

Jリートにも、個別株を選択する時に活用するPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)のような指標があります。指標は投資口価格を評価するものと、財務状況を評価するものに大別されます。

Jリートの投資口価格を評価する指標

Jリートの投資口価格を評価する主な指標には、「NAV倍率」、「FFO倍率」、「分配金利回り」があります。

NAV倍率

NAV倍率は、Jリートの投資口価格が割高か割安かを判断する指標として使われます。
NAV(Net Asset Value)とは、Jリートを時価評価した修正純資産のことです。
計算式は以下の通りです。

NAV倍率 = 投資口価格 ÷ 1口当たりNAV

一般的にNAV倍率が1倍を超えている場合は割高、1倍を下回る場合は割安と判断します。

FFO倍率

FFO倍率は、そのリートの収益力を見るための指標になります。
FFO (Funds From Operation)は不動産の賃貸収入を指し、

FFO = 当期純利益 - 不動産売却損益 + 減価償却費

という計算式で求めます。
そして、FFO倍率の計算式は、

FFO倍率 = 投資口価格 ÷ 1口当たりFFO

となります。

分配金利回り

分配金利回りは、Jリートの投資口価格に対する分配金の割合を示す指数です。

計算式は以下の通りです。

分配金利回り = 1口あたりの分配金額 ÷ 投資口価格

Jリートの平均分配金利回りや、個々のリートの分配金利回りを比較する際に利用します。

リートの財務状況を確認する指数

リートの財務状況を確認する指数として「LTV」「DSCR」があります。

LTV

LTVは、そのリートの財務の健全性を確認するための指標です。

LTV (Loan To Value)とは、総資産に対する有利子負債の比率です。銀行からの借入や投資法人債などが有利子負債に当たります。LTVが高いと金利変動の影響を受けやすくなります。
計算式は、

LTV = 有利子負債 ÷ 総資産額

となります。

DSCR

DSCR (Debt Service Coverage Ratio)は、Jリートの借入金の返済余力を確認するための指標です。
計算式は以下の通りです。

DSCR = NOI ÷(支払利息+元本返済額)

NOI(Net Operating Income)とは、そのリートが保有する不動産が生み出すキャッシュフローのことです。

まとめ

以上、個別のJリートに投資を行う際に押さえておきたいポイント(用途による区分、各種指標)について解説いたしました。

また、個別リートもNISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を利用して投資が可能です。ただし、個別リートは証券会社でしか購入できない点に注意しましょう。