積立投資を長く続けている人でも、分散投資のメリットをちゃんと理解している人は多くないかもしれません。本記事では分散投資の基本的な考え方となる「分散の4つのアプローチ」と、そこから得られるメリットを詳しく解説しています。この記事を読めば、分散投資の効果についてスッキリ理解できるでしょう。

  • 分散投資には、「資産」「時間」「地域」「通貨」の4つのアプローチがある
  • つみたてNISAを活用すれば、この4つの分散効果を手軽に得られる
  • 単に複数の銘柄に分散すればいいわけではない。投資対象の中身をちゃんと確認する

分散投資の基本的なアプローチは4つある

分散投資は、安定的な資産形成を実現するうえで欠かせない考え方です。しかし、すでに分散を意識して投資をしているけど、実は分散投資をよくわかっていない人は案外多いかもしれません。投資初心者はもちろん、何となく分散投資を続けているという人も、分散投資の4つのアプローチについて再確認してみましょう。

分散投資には「資産」「時間」「地域」「通貨」の4つのアプローチがあります。

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「資産」の分散投資

まず「資産」とは、資産クラスを分散させることを指します。資産とは、実際に投資する対象のことで、株式や債券、不動産など。これらは景気動向や金利環境によって、基本的には異なる値動きをすると考えられます。

例えば景気後退局面では、株価は下落しますが債券価格は上昇(金利は低下)するといったことです。そのため、これらを組み合わせて分散投資することで、景気動向に関わらず安定的な資産形成が実現するメリットが期待できるというわけです。

「時間」の分散投資

次に「時間」です。時間を分散させるとは、同じ銘柄の購入タイミングを分散させることを意味します。日々変動する価格で商品を購入することで平均購入価格を下げるメリットが期待できるでしょう。この仕組みは「ドル・コスト平均法」という名前でも知られています。

「地域」の分散投資

「地域」を分散させるとは、北米や欧州、日本、アジア(もしくは先進国と新興国など)の国や地域を分散させて投資することを指します。特定の国・地域が不景気や政情不安に陥ったとしても、別の国・地域がその影響を受けていなければ、リスクを抑えながら安定したリターンを得られるメリットが期待できます。

「通貨」の分散投資

最後に「通貨」です。通貨の分散は、地域の分散とも関係が深い分散方法です。資産の値動きと同様に各国通貨も日々為替が変動しています。1つの通貨だけに投資すると為替変動の影響が大きくなるため、それを避けるために通貨も分散させるのが効果的です。

集中vs分散の勝者は? 分散投資のメリット

長期的な時間軸で、安定的に資産形成をしたい人にとっては、集中投資より分散投資のメリットのほうが大きく、「勝者」になる可能性は高まるでしょう。

まず、資産を分散させることで値動きのリスクを抑えられます。もし株式だけに集中投資をしていれば、株式市場全体が値下がりする事態となった場合、大きな影響を受けることは避けられません。資産を株式だけでなく、債券や不動産に分散していれば、全体での値下がりは抑制できる可能性が高まります。

また、時間を分散させることには平均購入価格を下げる効果があります。積立投資では毎月決まった金額で買える口数だけ購入していきます。安い時にはたくさん買い、高い時には少しだけ買うことで平均購入価格が下がるため、長い目で見れば運用のパフォーマンスが高くなるのです。

また、積立投資は、毎月1,000円など無理のない金額から始められるのもメリットといえます。もし時間を分散しないで投資すると、たまたま高いタイミングで買ってしまう可能性もあります。金融商品の値動きは、プロでも完璧に読み切ることは困難ですので、個人投資家こそ時間分散のメリットを重視すべきです。

時間分散のイメージ
時間分散で高値掴みのリスクを避ける

地域を分散させることは、資産が特定の国に偏るリスクを軽減できます。地域ごとに経済や財政、潜在的な政治リスクは大きく異なります。今は景気がよくみえる国でも、国の財政が破綻して経済が混乱すれば、株価も暴落することでしょう。あらかじめ地域を分散させておけば、このようなリスクを最小限に留められるメリットが生まれます。

最後に通貨の分散ですが、円建ての資産しか持っていない人は真剣に通貨の分散を考えたほうがいいかもしれません。預貯金や日本株、不動産、国内の資産に投資する投資信託などしか持っていない場合、日本円の価値が相対的に落ちる(円安)と資産が目減りしてしまいます。ちなみに、2021年12月の実質実効為替レート(2010年=100)は68.07と、1972年並みの水準となりました。日本円の対外的な購買力は、50年前の水準になっているということです。

外貨預金、海外の資産に投資する投資信託や米国株など、外貨建ての資産を保有していれば、日本円だけに偏るリスクを和らげることができます。

円の購買力低下のイメージ
日本円の対外的な購買力は、50年前の水準にまで低下している

おすすめの分散投資のやり方=積立投資

分散投資を手軽に実践する絶好の手段があります。そう!積立投資です!
つみたてNISAは、少額から始められ、対象となる商品はいずれも資産分散の効いた投資信託です。毎月コツコツ投資し、最長20年間運用益が非課税になる制度なので、時間分散のメリットを生かすのにもぴったりな制度です。

ここまでで紹介した分散投資のメリットは、すべてつみたてNISAを通して得られます。分散投資のメリットを最大限に活用するなら、つみたてNISAで複数の国や地域に投資する投資信託を選びましょう。こうすることで4つの分散投資(「資産」「時間」「地域」「通貨」)が一気に実現できます。

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分散投資の注意点

分散投資のメリットは絶大ですが、意識していないと陥りがちな注意点もあります。

例えば、全世界株の投資信託に加えて米国株の投資信託を購入するというパターンです。名前だけ見ると分散効果が高まったように感じますが、そもそも全世界株の投資信託は資産の半分以上を米国株で運用している場合が多く、資産全体の割合を見ると米国株への偏りがさらに強まってしまっています。このように分散投資では、名前ではなく実際の組入れ銘柄に注目してバランスを考える必要があります。

また、分散投資に「損切り」の考え方は禁物です。値下がり局面は「安くたくさん買えるチャンス」と思って、辛抱強く積立を続けましょう。

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