宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマも、前回までに引き続き「利回り」。今回は投資信託の利回りについて、投資対象ごとの違いや算出方法などを見ていきます。
- リスクを抑えながら預金より高い利回りが期待できる投資信託は「資産運用の王道」
- 債券(公社債)、株式、バランス型と、投資対象によって利回りとリスクは異なる
- 投資の成果をより表すのは、利益全体と手数料を含む投資額で割り出す平均利回り
投資信託はインフレ時代の資産運用の「王道」
【質問】
こんなに物価も上がってきてたいへん。お金を増やすのにはリスクは当たり前のことじゃけど、金利も上がってきたから、定期預金も良いちゃないですか? 安心、安全パイだし。
新年のスタートが始まりました。皆様は年末、ご自身のキャッシュフローなどお金の棚卸、いかがだったでしょうか? 私は取り崩し方を考えなければならない年齢なので、吟味の最中で、迷っていながらリスク商品と戦っています。
日本人のお金の保存先は現預金が中心だった中で、NISAの盛り上がりによって、やっと50%くらいまでリスク商品などに分散ができてきました。多くのタンス預金を、いかにしてリスク商品に誘導できるのかという政府の思惑はまだ道半ばですが、半分くらいは達しているのかもしれません。しかし、本格的なインフレを迎えるにあたって、ここから訪れるであろうジェットコースター相場に、初心者投資家はこれからが正念場です。実体経済成長が弱い中での株高は危険だと言わざるを得ません。
今回も「利回り」をメインに、相談室第147回の内容に沿って、資産運用の王道にして利回りが2番目に高い「投資信託」について考えます。
利回り商品ランキング
①債券 10,000円~(1%~)
②外貨預金(米ドル) 30,000円~(3%~)
③不動産投資 30,000円~100,000円(3%~10%)
④投資信託 30,000円~150,000円(3%~15%)
⑤株式投資 マイナス~300,000円(~30%)
投資信託ほどリスクを分散させることができる商品はありません。株式投資よりリスクが低く、預貯金よりも利回りの高い、理想的な金融商品が多い。運用商品の代表格であり、これからの超インフレ時代に少額から投資できる、うってつけの商品とも言えます。
言っておきますが、インフレは悪いことではありません。経済が順調に良くなっていればインフレは当たり前のこと。問題は、物価上昇に私たちのお金(賃金水準)の価値が追いついていないことにあります。物価が上がり続ける時代に、節約するのみの選択では先が見えてくるわけもありません。節約でお金を守る姿勢から、積極的に運用に回して「お金の価値を守る」姿勢に早くシフトしなければ、将来の展望は見えてきません。
今回のランキングは1年間の利回りで比較していますが、株式中心の投信を長く保有し、運用することで、トータルでの利回りは3%から30%、そして60%、100%と、株式投資と同等の効果を期待することもできるのが特徴です。それには長く保有する忍耐も必要になってきますが……。
今までの連載でも詳細についていろいろな形で述べている投資信託ですが、今回はさまざまな商品がある中で、入り口となる低リスク商品、そして高リスク商品にスポットを当てて説明していきます。
投資信託は投資対象と利回りで3つに分けられる
投資信託を大きく分けると3つあります。主に①債券(公社債など)に投資するものと、②株式に投資するもの、そして債券や株式などを組み合わせた③バランス型投資信託です。
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)、MMF(マネー・マーケット・ファンド)など聞いたことがあるかもしれませんが、この商品もれっきとした投資信託の一種である「公社債投資信託」です。①は信用度が高い短期金融商品の公社債などで運用して、銀行などの定期預金を上回る利回りを目指す、低リスク商品の代表格です。
両者は混同されがちですが、MMFは個別に申し込みが必要なのに対して、MRFは証券口座に入金と同時に自動で運用されるので銀行の普通預金に近い位置付けだとイメージしてください。MRFは、証券口座をお持ちであればすでに運用している可能性があります。
例えば現在、日興MRFなら利回りが年率0.360%前後です。為替リスクはありますが、外貨建て米ドルMMFであれば約3.248%。国内MMFも金利上昇に伴いそろそろ復活かと言われていますが、おそらく0.6%前後の利回りになるでしょう。ただし、MRFとMMFの2商品はNISA対象外となりますので、儲けは税金で持っていかれます。
もうお分かりでしょうが、公社債に投資する商品は低リスクのため、安定重視の運用を求める方にお勧めです。
一方の②株式に投資する投資信託は値動きのリスクを伴いますが、利回りの目安は1年で約10%、さらに長期運用により通算では倍以上の利回りを望むことができます。
そして2つの商品の他に、債券と株式をバランスよく組み合わせた投資信託として③バランス型投資信託があります。バランス型の利回りの目安は、1年で5%もあれば十分な成果です。
この3つの商品群で投資信託が分けられています。後は自身のライフプランに当てはめ、利回りの数値と運用期間を決めて商品を選んで待つのみです。
投資信託の利回りは日々変動する
では、投資信託の利回りはどう考えればいいのか?
通常の投資信託では、アクティブ運用の商品ではファンドマネージャーと言われる運用責任者次第で儲けは日々変わっていきます。インデックスに連動して運用される商品も、市場にお任せのため、市場の変動によって儲けは変わります。つまり、投資信託の利回りは常に変動しているということです。
商品のパンフレットなどには高い利回りが実績として載っていますが、日本・世界経済の影響で株価などは日々左右されるので、たとえ直近1カ月の利回りが年率換算で10%だとしても、1年後の価格はマイナス20%ということもざらにあります。
利回りには2つの算出法がありますので、説明していきます。
基準価額と分配金から割り出す「分配金利回り」
投信を購入する際は基準価額が一つの目安となります。基準価額は株価のようなもので、1口当たりの投信の価値に値します。基準価額は毎日変わり、新聞などでも確認できます。買った時の基準価額より上がればオッケー、下がれば元本割れと、得か損かが一目でわかります。
この基準価額と分配金から割り出す利回りが、1つ目の算出法である①分配金利回りです。
投資信託の中には、決算時点で基準価額が元本を上回っていれば、収益が出たということで分配金が支払われる商品もあります。あくまでも一般論ですが、基準価額が高いときに買うと継続した分配金が期待できるが利回りは低く、逆に基準価額が低いときに買うと分配金が出ない可能性もありますが、運用がうまくいけば高い利回りが期待できます。
投信の運用報告書に出ている1年当たりの分配金利回りは、決算時に支払われる分配金の1年間の合計を、投資金額に手数料や諸経費(購入時手数料・信託報酬など)含んだ投資総額で割れば算出されます。
すべての損益と、手数料を含む投資金総額から割り出す「平均利回り」
そして、より投資の参考にしやすい利回りとして、②平均利回り(総合利回り)があります。その算出方法は、
1年あたりの平均利回り(総合利回り)=(分配金+譲渡損益)÷運用期間÷投資金総額(諸経費を含む)×100
となります。
こちらの方が、基準価額と分配金だけを見る分配金利回りよりも、投資の成果がわかりやすいと思います。
投信は短期や中途で解約せず、長期で運用するのが基本です。特に株式に投資する商品は基準価額の変動が激しいので、長期運用した方が投資タイミングによるリスクが分散され、利益が出る可能性が高まります。
投資家の本来の利回りと、運用報告書や商品パンフレットなどに載っている運用利回りは、大きな違いが生じる場合もあります。自身の負担した手数料を含めた投資金額と、実際に保有している期間を基準に、利回りを算出するのが原則です。なお、運用報告書の3カ月・1年・3年など期間別の利回りに関しても、②平均利回り(総合利回り)の考え方で計算されていますので、参考にしてください。
次回(1月23日公開予定)は、株式投資についての利回りを考えます。

















