食の欧米化と社会進出が乳がん増加の理由?
近年、乳がんにかかる女性が増加している背景のひとつとして、食生活の欧米化があるといわれています。食の欧米化がなぜ乳がんの増加と関係あるのでしょうか?
男性ホルモンや女性ホルモンは、コレステロールから作られます。肉の消費量が増えれば、コレステロールの摂取量も増えます。それによってホルモンの分泌量が増え、前立腺や乳房で細胞増殖が活発になります。その結果として、がんができやすくなるといわれています。
食の欧米化以外にも、乳がん特有の原因として、女性の社会進出も指摘されています。社会進出が増えた半面で、妊娠や出産を経験しない女性も増加しています。その結果として、生涯に経験する月経の回数が多くなる傾向にあります。
月経中はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが、多量に分泌されるため、月経の回数が増えたことが、乳がんの発生などにも影響を及ぼしている可能性があるのです。
そう考えると、日本よりも肉中心の食文化で、社会進出も活発な欧米の女性は、日本人以上に乳がんになる可能性が高そうですが、実際はどうなのでしょうか?
諸外国に比べてがん検診受診率の低い日本
国立がん研究センターがん情報サービスのホームページを見ると、乳がんの欧米比較のデータがありました。
少し前のデータではありますが、確かに日本よりもアメリカやイギリスの方が発生率は高そうです。
しかしここでも注目したいのは、アメリカやイギリスでは、発生率は上昇しているにも関わらず、死亡率は減少し続けている点です。この背景には、欧米では乳がん検診を徹底していることが挙げられます。
一方、日本のがん検診受診率はというと、残念ながら諸外国と比較してきわめて低い水準です。
【図表】乳がん検診の国際比較
出所:OECD,OECD Health at a Glance 2015,Nov 2015
乳がんは、セルフチェックもできます。がんの中には1~2割の確率で検診では追いつかない進行の早いがんがありますが、乳がんであればセルフチェックできるので、早い段階で発見できる可能性もあります。
乳がんのセルフチェックは下記の通り。習慣的に自分の胸にふれることで異常を発見しやすくなりますので、ぜひ実践してください。
乳がんのセルフチェック方法
月に一度、月経終了1週間くらいの間に行う。閉経後の人は毎月、日にちを決めて行う。
① 鏡に向かい、乳房の変形や左右差がないかチェックする。
② 次に仰向けになり、外側から内側へ指の腹で軽く圧すようにして、しこり(硬い部分)がないかどうか、まんべんなく触れる。
③ 最後に乳頭から分泌液がないかどうかチェックする。