宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマも、前回までに引き続き「利回り」。今回は株式投資の利回りという視点から、銘柄選びのポイントについて考えていきます。

  • 賃金の上昇が物価上昇に追い付かない中で、インフレに対抗するには株式投資が有効
  • 株式投資の利回りのポイントは配当金。良い銘柄なら不景気でも配当が期待できる
  • 配当利回りが安定している企業が狙い目。安い時に買うにはテクニカル分析も重要に

投資信託の利回りは手数料を含む総額で考える

インフレに対抗する手段の筆頭が株式投資

【質問】
こんなに物価も上がってきてたいへん。お金を増やすのにはリスクは当たり前のことじゃけど、金利も上がってきたから、定期預金も良いちゃないですか? 安心、安全パイだし。

インフレリスクについて言われ始めてから年数が経っていますが、インフレの根本的問題は「物価高に伴い、実質賃金が上がっているか?」にかかっています。

アート投資を資産形成に!

今般の賃上げ定着で、実質賃金も年2%くらいは増加していると報道されますが、それは大手上場企業の話、中小企業はまさに身を切る思いで、努力の最中にあります。とはいえ、実際はそれ以上の物価上昇が続いているのが現実。これが長く続くとすれば、これはもう非常事態とも言える状況です。

これはまさしく、生産・供給サイドのコスト上昇が招く「コスト・プッシュ型」インフレです。現在の円安ドル高もコスト上昇の要因です。景気が良くて購買力が強いからモノの値段が上昇する「デマンド・プル型」とは明らかに違います。

前者のコスト・プッシュ型インフレによる犠牲者の筆頭は、働き人である私たち。多少の賃金アップでは意味などありません。
そこで働き人のやるべきことは、インフレに対抗できる手段の筆頭、「株式投資」となります。

株式は基本、インフレに強い資産と言われており、通常は物価上昇に比例する形で株価も上昇していきます。まさに最強のインフレヘッジです。株式投資は、昔から資産運用の常識でした。

ただ相談者の中には株式投資を誤解している方も多く、「古くから父が株をやっていて、悪い記憶しかない。株式投資は悪で、お金持ちがやるものだ」と豪語してNISAの活用について話しても耳を傾けない、国の政策に不満を言うだけの人もいました。

でも、冷静に考えてみてください! 確かに日本経済は、1990年からのバブル崩壊から今まで35年あまり、不況の長期化とデフレーション経済に苦しんできました。株価は、ある一定の幅の中で上下動を繰り返してきました。インフレと言われ出したのは最近のことでしかありません。この間、企業もあがいていたのです。

資産運用の王道ともいえる投資信託での運用ならともかく、これまで個別株式への投資一択で運用していた人が、どれだけ成功したでしょうか? 株価が「行って来い」のデフレ経済下では、プロでも株式の運用は難しくなるもの。一般の方々は運用知識や情報がプロより少ないため、相談者のお父様が株式運用に苦労していたのは当たり前です。
しかし、今はインフレです。相談者には、「時代の変化を感じて、行動を起こさないと取り残されますよ」と言いたくなります。

株式投資の利回りでは「配当金」に注目

利回りランキング最終回は「株式投資」。運用の「儲け頭」である株式の利回りについて、今の時代に合わせて考えていきます。

金融商品選びの注意点と利回り商品のランキング

利回り商品ランキング

①債券 10,000円~(1%~)
②外貨預金(米ドル) 30,000円~(3%~)
③不動産投資 30,000円~100,000円(3%~10%)
④投資信託 30,000円~150,000円(3%~15%)
⑤株式投資 マイナス~300,000円(~30%)

株式投資で利回りを見るときは、何を重視すれば良いのか?
1年間の利回りで考えるなら、初心者投資家には「配当金」が一番手軽に考えられる指標です。

配当利回りは、1年間の配当金を株価で割った数値でどれだけ利益が出たかを示します。例えば、1株あたり配当金が1年間30円で株価が1000円の場合、利回りは3%になる計算です。
短期投資ならば、所有期間で割り(所有期間利回り)、その値に配当金をかけ、さらに買い付け価格で割る。そうすると、配当金と売却益が加味された総合利回りとなります。

長期でも短期でも、株価の変動幅は比較的大きくなるために運用が難しく、利回り計算も難しくなります。イコール、投資に伴うリスクも高くなるということです。
株を購入するということは、その会社にお金を出す(出資)ことで、会社の成長を後押しすることです。リスクが伴う分、出資者にさまざまな特典が用意されるのもうなづけます。優待制度もその1つですが、やはり醍醐味は利回りを目指す投資です。

一般的に、出資した会社に利益が出れば、会社はその利益を株主に分配して現金配当とします。
配当の種類には3種類あり、①決算時に出す「普通配当」、②創立記念日などに出される「記念配当」、③特別な利益が出たときに配られる「特別配当」があります。これらの配当利回りを重視することで、不景気の時などの損失を最小限に抑えることもできます。

過去の不景気時でも、頑張っている企業であれば株式投資で2%以上の配当利回りが見込めて、さらに運用次第では売却益も期待できます。もちろん、NISAを活用すれば利益に税金はかかりません。
参考ですが、現在のプライム市場の予想配当利回りは、上位175社で4~7%で、そのうち144社は平均4%くらいを配当として株主に還元しています。

ただ、利回りが高いというだけで買ってしまうと損をすることもあるのが株です。今は高配当の企業であっても、先は読めないものです。この変動落差が、「株は怖いものだ、株式投資は悪だ」と言われる根拠ですが、それは投資家が企業の成長を見誤ったもので、将来の成長が見込めて安定的に配当を出し続けている企業となれば話は別です。

初心者は配当利回り4%前後の大型バリュー株から探す

では、どうやってそういう企業を探せばいいのか?
方法の1つに、「今の株価が高いか、安いか?」を見ることがあります。例えですが、1株30円の配当を出す企業の株を1500円で買うと、配当利回りは2%。しかし、配当が同額で、700円の株なら利回りは4.2%に上がります。株価が安い時に買えれば、利回りは高くなるということです。
要は、買うタイミングで利回りは変わるのです。

中・短期的な株式投資の手法で、以前テクニカル分析など説明しましたが、株式を買うにあたっては、まずは配当を主体に選び、それからテクニカル的に分析することがいいと思います。

米国株投資で重要な為替の影響と株価トレンド

ロウソク足から株を買うタイミングを測る

1つの傾向ですが、私の感覚ではバリュー(割安)銘柄とグロース(成長)銘柄の違いにも、はっきりとした配当差が出ていると感じています。どうもバリュー銘柄はグロース銘柄に比べて配当は高いようです。グロース銘柄は将来の成長を期待して資金を調達するため、今の配当より未来思考となっているからだと思います。

このように、株式は運用期間でも利回りが変わりますので安易に考えるとしっぺ返しも食らいます。

私が結論を出すとすれば、市場はプライムで、安定的に4%前後の配当利回りを出している大型株バリュー銘柄から探していくのが初心者投資家は賢明だと思います。もちろん、買う時はテクニカル分析とファンダメンタルズ分析も忘れずに、と付け加えておきます。