「せっかく資産運用をするなら、iDeCoでもハイリターンが期待できる方法を選びたい」。そんな人にとっては、株式比率が高い投資信託が魅力的に映ることでしょう。値動きが比較的大きい株式ファンドは長期の積立投資に向くとされていますが、iDeCoを使って運用するなら少し注意が必要かもしれません。株式ファンドのみのiDeCo運用で気をつけたいことをまとめました。
- 成功のコツ1 長期積立投資で価格変動リスクを味方につける
- 成功のコツ2 資産全体でリスクのバランスを整える
- 成功のコツ3 60歳が近づいてきたら少しずつ低リスク資産へ移行
長期投資で積み立てのメリットを生かす
iDeCoの対象商品は、定期預金や保険などの元本保証型商品と投資信託・ETF(上場投資信託)に大きく分けられます。投資信託やETFの投資対象は主に株式や債券、REIT(不動産投資信託)となっており、市況によっては元本割れの可能性がある点が特徴です。
株式、債券、REITの中で最も価格変動リスクが大きいとされているものが株式です。
株式投資は相場の下落局面で、資産価格が大きく目減りする可能性があります。しかし、積立投資であれば、価格下落時に自動的に多くの口数を買えるため、平均購入単価を下げる効果が期待できます。その後の上昇局面では有利になり、結果として値動きのリスクが抑えられるのです。
価格上昇と下落を何度も繰り返しながら徐々に市場が成長していく状況が、積立投資にとって理想的な環境だといえます。これが、株式のように価格変動が大きい商品が積立投資に向いていると言われる理由です。長期投資を前提とするiDeCoと株式ファンドの相性は良いと考えられます。
資産全体のバランスを見る
株式100%の投資信託のみでiDeCoの運用をする場合は、短期的には大きな元本割れが起こる可能性もあります。そんなときも慌てたり不安を募らせたりすることがないよう、資産全体でのリスク管理を怠らないようにしましょう。
いったんiDeCoに投資したお金は、原則として60歳になるまで引き出しができません。余裕資産の大半をiDeCoに振り向けると、いざというときに必要なお金を工面するのに苦労することにもなりかねません。「iDeCoへの投資額は無理のない範囲にする」「十分に預金を確保する」などの方法で、資産全体でリスクのバランスを取ることが大切です。
終わりが近づいてきたら少しずつ低リスク資産へ
老後を迎え、いざ引き出すときにリーマンショックやコロナショック級の暴落が起きた場合、株式ファンドのみだとそれまでの利益が吹き飛んでしまうことも考えられます。そうなってしまう前に、積立期間の終わりが近づいてきたら、iDeCo運用の出口戦略も考えていきましょう。
具体的には、60歳が近くなり運用の出口が見えてきたら相場の上昇局面で利益の一部を確定し、少しずつ元本保証型の定期預金などにシフトするのがおすすめです。こうすることで老後資金を安全に確保することが可能になります。