ジュニアNISAは、年間80万円の非課税枠が使える、子どもの教育資金の準備などに有利な制度です。子や孫の教育費のために非課税制度を使って有利に運用したいと考える投資家なら、ジュニアNISAを使って積み立てているという人も多いでしょう。実は、ジュニアNISAは2023年末までで廃止が決定している制度であることはご存知でしょうか。廃止後の運用資金の行き先や代わりになる手段についてまとめたので、参考にしてください。
- 引き出し制限がなくなったことで注目度がアップしたジュニアNISA
- とはいえ、新規の買い付けができるのは2023年末まで
- NISAやつみたてNISAを使っていないのならまずはそっちから検討
2023年廃止決定のジュニアNISAがいまアツい!
個人投資家が非課税メリットを受けられる口座には、一般NISA、つみたてNISAに加えてジュニアNISAがあります。このうちジュニアNISAは、2023年末に廃止が決定しています。「ジュニアNISAのことは詳しくは知らないけど、まさか廃止が決まっていたとは……」と驚いている人もいるのではないでしょうか。
ジュニアNISAとはどんな制度なのか、改めて確認しておきましょう。
ジュニアNISAは子どもが将来必要になる資産を、親や祖父母などの親権者が代理で資産形成するための制度です。未成年者が金融商品を売買する際には、親権者の同意が必要になるため、口座は子どもの名義でも実際は親権者が運用指示を行います。
一般NISAやつみたてNISAと同様、20.315%の税金が非課税となり、拠出上限額は年間80万円です。非課税期間は最大5年間のため、80万円×5年間=400万円が非課税で同時保有できることになります。
このように非課税メリットが大きい制度ではありますが、子どもが18歳になるまで引き出しができない点がデメリットとなり、口座開設数は伸び悩んでいました。そして、2020年度の税制改正によって、ジュニアNISAの廃止が決定されたのです。
ジュニアNISAがいま注目されるのはなぜ?
ジュニアNISAは2023年末で制度の終了が決まっています。そのため、2024年以降は18歳にならなくても自由に引き出しが可能になりました。
ジュニアNISAのデメリットであった「18歳まで引き出しができない」というルールがなくなったいま、改めて非課税で投資する手段として個人投資家の注目を集めているのです。というのも、NISAとつみたてNISAは、どちらか一方を選ぶ必要がありますが、ジュニアNISAはNISAもしくはつみたてNISAを利用している人でも口座開設できます。非課税での運用手段が増えるわけです。
今からジュニアNISAを始めると2023年末まで拠出して、2024年以降は自由に解約するという形で運用が可能です。それもあり、ジュニアNISAの口座数は2020年12月末比で約倍増しています。
2022年3月末 | 2020年12月末 | |
---|---|---|
一般 NISA |
1112万4332口座 | 1220万9886口座 |
つみたて NISA |
586万9555口座 | 302万2422口座 |
ジュニア NISA |
80万0143口座 | 45万4453口座 |
出典:金融庁 NISAデータ集(2022年8月8日公表分)
【ケース別】2024年以降、ジュニアNISAはどうなる?
2024年以降、ジュニアNISA口座を持っている人はどうなるのでしょうか?年齢に応じて対応が変わるので、ケース別に見てみましょう。
2024年の1月1日時点で未成年の場合
それまで運用してきた資金は継続管理勘定という特別な口座に移管され、成人(18歳)になるまでの期間は非課税で保有し続けられます。また、資金の引き出しはいつでも可能です。ただし、資産の売却はできますが、新規の買付はできないため留意しておきましょう。
2024年の1月1日時点で18歳以上の場合
2023年までに成人(18歳)になる場合は、自動的に一般NISA口座が作成されます。ジュニアNISAの資産をそのまま移管(ロールオーバー)できます。
どちらの場合も、新規買付は2023年まで
ジュニアNISAは2023年で廃止になるので、新規で買付できるのは2023年末までです。今から始めても合計で百数十万円しか買付できません。
いつでも引き出しできるようになったといっても、ジュニアNISAは数年のうちになくなってしまう制度です。教育資金のために運用できるまとまった資金があるなら、ジュニアNISA以外の方法を検討してもよいかもしれません。
ジュニアNISAよりも、まずはつみたてNISAや一般NISAを活用しよう
ジュニアNISAは使い方が分かりづらく、引き出し制限もあって使い勝手が悪い制度といわれていました。2023年に制度が廃止され、2024年以降引き出し制限が撤廃されるとはいえ、利便性が向上したわけではありません。
そのため、現在つみたてNISAや一般NISAを使っていないのであれば、まずはそちらを使った資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。その上で、2年間の限定にはなりますが、ジュニアNISAの非課税枠もあわせて活用するとよいでしょう。
ジュニアNISAの代わりとして学資保険を検討する人もいますが、リスクは少ないかわりに元本がほとんど増えません。やはり、余裕資金がある場合は、つみたてNISAや一般NISAを最大限活用するのが得策といえそうです。